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2020-07

古内東子 「夢の続き」

古内東子 「夢の続き」■ アルバムデータ
タイトル:夢の続き
アーティスト:古内東子
リリース:2012年3月14日
レーベル:avex trax

アルバム総評価:95
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  笑顔  ★★★★★   
02  夢の続き★★★★★ 
03  冬の終わり★★★★☆ 
04  ここまで来るために★★★★★ 
05  時間を止めて★★★★★ 
06  流れ星★★★★☆ 
07  ずっと探してた★★★★☆ 
08  あの部屋に帰ろう★★★★★ 
09  何も言わずにさよならを★★★★★ 
10  コンパス★★★★★
 
11  時間を止めて(monochrome version)        ★★★★★youtube02


■ 講評
今回紹介するアルバム「夢の続き」は、女性シンガーソングライターである 古内東子 が2012年3月14日に avex trax からリリースした17thオリジナルスタジオアルバムである。古内東子 は、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースしており、本作も2011年2月23日リリースの16thアルバム「透明」から1年後のリリースとなっている。

前作「透明」は 古内東子 自身のセルフプロデュース作品であったが、本作では2010年3月3日リリースの15thアルバム「PURPLE」でプロデュースを務め、映画やテレビドラマの劇伴作曲家としても知られる 河野伸 を再びサウンド・プロデューサーに迎え、大人が心地良く楽しめる、上品でメロウな作品に仕上げており、2012年3月26日付オリコン週間 CD アルバムランキングにおいて第36位を記録。

また、アルバムからのシングルカット曲はないが、収録曲 #10「コンパス」は、TOKYO FM「Blue Ocean」銀座美人テーマソングに採用されている。

なお、リリース当時は CD+DVD と CD+LIVE CD+DVD の2形態で発売されており、DVDには「時間を止めて」の MUSIC VIDEO(韓流スターの JUNO が出演)、メイキング、2011年11月に行われた弾き語りツアー「The Piano Night 2011 at COTTON CLUB」のスペシャル映像(オフショット映像 & インタビュー映像)を収録。 LIVE CD には The Piano Night 2011 at COTTON CLUB での LIVE 音源が収録されていた。ちなみにアルバムジャケットのデザインは両者で微妙に変わっているので、ぜひ違いを見つけていただきたい。

▼「夢の続き」(CD+DVD)
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▼「夢の続き」(CD+LIVE CD+DVD)
画像



先日、愛車のカーオーディオのハードディスク内に溜まったミュージック・データを整理していた際にプレイリストに発見したのが、今回紹介する 古内東子 のアルバム「夢の続き」である。

以前ドライヴの際によく聴いていたものの最近では再生されることもなくハードディスクの片隅に眠っていたものであるが、改めてカーオーディオで聴き直してみたところ、5年経った今でもそのサウンドは全く色褪せることなく、実にメロディアスなアーバンシティポップで、非常に聴き心地の良い素敵なアルバムであったため、消去することなくそのまま残すこととした次第である。

▼ 古内東子
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古内東子といえばストレートなロングヘアにスレンダーで美しい容姿、鼻にかかったような艶のあるヴォーカルが魅力的で、自身の恋愛経験を基に制作した楽曲で「OLの教祖」、「恋愛の神様」といったキャッチフレーズで OL にカリスマ的人気を博したシンガーソングライターである。最近では目立った音楽活動は展開していないものの、多くのオリジナル曲がテレビ番組やドラマの主題曲、CM ソングに採用されるなど、特に1990年代から2000年代にかけてヒットチャートを賑わせており、御記憶の方も少なくないのではないだろうか。

ちなみに最近では、音楽業界が注目する女性リスナーの層が若年化してきているため、OL 云々というキャッチフレーズは死語となりつつあるようで、古内東子 同様に現在女性に人気の高い 西野カナ なども、より若い世代である「女子大生の恋愛の教祖」などと言われているようである。確かに OL という言葉の響きには、一昔前のショムニ的な古臭さが感じられなくもなく、今や小中学生がスマホで気軽に音楽を楽しみ、そうした世代が業界の売上げを支えている現状からすれば、社会人たる OL にフォーカスした販促戦略は、音楽業界ではもはや過去のものとなってしまったのかもしれない。

さて、今ではアラサー、アラフォーとなった元/現 OL 女子に恋愛のバイブル的な楽曲を提供し続けてきた 古内東子 であるが、私生活では本作をリリースした2012年に結婚、2014年には出産を経験しており、結婚以降の音楽活動はお世辞にも芳しいとは言えないようである。そのため残念ながら実質的に本作が、活動後期のラストアルバムのような位置付けとなってしまっているようだ。

充実した人生を羨望する悩み多き女性からすれば、結婚や出産という幸福を手に入れたリア充な女性シンガーソングライターが繰り出すラブソングやサッドソングに共感すること自体なかなか難しいとも推察するが、シンガーソングライターとファンのいずれもが必然的に年齢を重ねる中で、その楽曲の内容、特に歌詞の世界観についても年齢相応の成長や経験が反映されなければ、陳腐な楽曲に終わってしまうのもまた必然ではないだろうか。

その意味で、時代の動きが速く、趣味・嗜好が多様化する今日、特にラブソングを主体とする 古内東子 のような女性シンガーソングライターが、長年にわたって同じ世界観のままで音楽活動を展開し続けることは、なかなか困難なことなのかもしれない。

事実 古内東子 も、自身が経験した恋愛の歌のみを歌うことを最大の売りとしており、それこそが主に同世代の女性に支持されている源泉となっていたことを自覚していたようで、かつては恋について歌えなくなったら歌手を辞めるとまで言っていたようである。

そうした逸話を踏まえると、自身の結婚を控えた時期にリリースされたアルバム「夢の続き」は、そのリリース時に40歳を迎えようとしていたことを考えても、まさに古内東子流ラブソングの集大成といった趣きで、そのラインアップも過去の作品に比べるとメロディ、歌詞共に成熟した楽曲という印象が強く、彼女のアルバムの中でも「円熟」という言葉が相応しい完成度の高い落ち着いた作品に仕上がっていると感じた。

古内東子 の楽曲の魅力は、何といっても叙情的なメロディと R&B やジャズライクでアダルトコンテンポラリーな楽曲アレンジ、20代の女性をターゲットにした日常的で等身大のメランコリックな歌詞の世界観にあり、もちろん本作もその例外ではない。

特に思わず聴き込んでしまうようなストーリー性のある歌詞は、映画やドラマのワンシーンのようにその情景が目に浮かぶようなドラマティックな世界が構築されており、その歌詞を体感するにつけ、「OLの教祖」とか「恋愛の神様」というキャッチフレーズも伊達ではないと改めて感じる次第である。

また、心に深く染み入るような表情豊かでどこか切なさを漂わせるなメロディも、何とも言えずセンチメンタルな感情を呼び起こす不思議な心地良さを持っている。

一方、本作ではバラッド系の楽曲が多く、アルバムのリードトラックとなるようなアップテンポな楽曲が少なくなり、アレンジ面でもサビの部分でよく見られたユニゾンコーラスが影を潜めるなど、従来からのファンにとっては若干物足りなさが残る作品となったというレビューもリリース当時に散見されたところである。

更に以前のストレートでナチュラルな歌い方に比べると、前作あたりから R&B を意識したようなアンニュイな歌い方に変化しており、恐らくは自身の楽曲にマッチした歌い方の完成形と思われるのだが、若干言葉のこねくり感が強いような印象もあり、この点についてもリスナーの評価が真っ二つに分かれたようである。

ただ前述のとおり、個人的には非常に円熟味を感じさせるアルバムといった印象が強く、アップテンポよし、スローバラッドよしと非の打ち所がないアルバムに仕上がっていると感じた。

確かに従来の楽曲で多用されていたユニゾンコーラスが影を潜めたアレンジには若干物足りなさを感じなくもないが、おそらくはサックスやピアノなどを多用することで R&B やジャズライクなライヴ感やグルーヴ感を重視したであろう音作りから考えれば、そうした選択もありではないかとサウンドの変化については好意的に評価したい。

総体的にプロデューサーである 河野伸 らしい映画音楽のような大きなスケール感を持ったサウンドにうまくまとまっていると感じさせる出来栄えのアルバムといった印象だ。

中でも特に後半の「何も言わずにさよならを」、「コンパス」、「時間を止めて」の3曲は、古内東子 の魅力全開のキラーチューンで、最近如何にも狙った感が強い仰々しいセツナ系ラブソングが多い中で、今改めて聴いてもシンプルながらもグッと胸に迫るようなミディアムテンポのバラッドが却って新鮮で、派手さがない分そのベテランがゆえの安定感が堪らなく心地良く、何度聴いても聴き飽きることのない実に彼女らしい佳曲となっている。「何も言わずにさよならを」のサビの部分のドラマティックなメロディ展開などは、思わず身震いするほど素晴らしく、特にお薦めの一曲である。

2016年にレコードレーベルを avex trax からユニバーサルシグマへ移籍し、同年久しぶりにカヴァー・アルバムをリリースした 古内東子 であるが、様々なアーティストに楽曲提供していることでも知られる才能溢れるシンガーソングライターとして、妻となり母親となった今だからこそ、「恋愛」というカテゴリに縛られることなく新しい世界観のオリジナルアルバムにも挑戦し、ぜひ新たな魅力を発揮してもらいたいものである。

▼ 古内東子
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古内東子(ふるうち とうこ、1972年11月1日生)は、日本の歌手、シンガーソングライター、ラジオDJである。東京都練馬区出身。

音楽好きな両親の影響で、少女時代からピアノを習う。跡見学園中学高等学校在学中にアメリカ・コネチカット州の高校に1年間留学。その後、上智大学比較文化学部(現在の国際教養学部)在学中のデビュー前には姉が作詞、古内がピアノで作曲を担当していた。

姉と共同作品であるデモテープを姉に内緒で持ちこんで、ソニー・ミュージックの新人発掘セクションのディレクターで音楽プロデューサーでもあった遠藤亮に見込まれ、1993年2月21日にソニーレコードより1stシングル「はやくいそいで」でデビュー。デビュー曲がいきなり MBS・TBS 系テレビ「地球ZIGZAG」エンディング・テーマに採用される。その2か月後の4月21日には、当時20歳(大学1年生)にして制作された1stアルバム「SLOW DOWN」をリリース。

▼「SLOW DOWN」1stアルバム
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1993年11月21日、初期の代表曲「逢いたいから」を収録した2ndアルバム「Distance」をリリース。

▼「Distance」2ndアルバム
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1994年9月21日、3rdアルバム「Hug」をリリース。

▼「Hug」3rdアルバム
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1995年9月21日、初の海外のレコーディングとなる4thアルバム「Strength」をリリース。全国の CD ショップのチャート上位にランクイン。

▼「Strength」4thアルバム
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1996年5月21日、7thシングル「誰より好きなのに」をリリース。YTV・NTV 系ドラマ「俺たちに気をつけろ。」挿入歌に採用され、古内東子のシングルヒットとしては最高の売上げを記録。彼女の代表作となる。
1996年6月21日、ロサンゼルスレコーディングの5thアルバム「Hourglass」をリリース。発売後すぐに全国の CD ショップのチャート1位を独占。以降2000年にかけて作品が好調にヒット。恋愛を主題にした曲のスタイルから、「恋愛の神様、教祖」などと称えられ、松任谷由実に次ぐ逸材、といった高い評価も受ける。

▼「Hourglass」5thアルバム
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1997年8月21日、6thアルバム「恋」をリリース。それまでのアルバムの売上記録を大きく上回るダブルプラチナの大ヒットとなり、第39回日本レコード大賞アルバム賞を受賞。同年、仕事が多忙となり大学を中退。

▼「恋」6thアルバム
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1998年2月14日、初のベストアルバム「TOKO~best selection」をリリース。5枚のオリジナルアルバムからよりすぐりの14曲を収めたこのアルバムは、第一期をしめくくるにふさわしいゴージャスな一枚となり、ダブルプラチナを記録。
1998年8月19日、7thアルバム「魔法の手」をリリース。オリコン・アルバムチャートで初登場1位を獲得。

▼「魔法の手」7thアルバム
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1999年12月1日、セルフ・プロデュースによる8thアルバム「winter star」をリリース。全曲打ち込みによるタイトなサウンドと華麗なコーラス・ワークで新境地を開く。

▼「winter star」8thアルバム
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2000年12月6日、自分の原点である「切なさ」という感情を極限まで見つめた9thアルバム「Dark ocean」をリリース。

▼「Dark ocean」9thアルバム
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2002年9月4日、10thアルバム「10stories」をリリース。

▼「10stories」10thアルバム
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2003年、レコードレーベルをポニーキャニオンへ移籍。

2004年3月10日、11thアルバム「フツウのこと」をリリース。
2004年から原宿 Blue Jay Way を拠点に、ピアノ弾き語りライヴを定例化。

▼「フツウのこと」11thアルバム
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2005年11月30日、12thアルバム「CASHMERE MUSIC」をリリース。

▼「CASHMERE MUSIC」12thアルバム
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2008年、デビュー15周年にあたる本年、レコードレーベルを avex trax へ移籍。
2008年10月15日、レコード会社移籍第一弾となる13thアルバム「IN LOVE AGAIN」をリリース。

2009年2月18日、14thアルバム「IN LOVE AGAIN ~ENCORE EDITION~」をリリース。

▼「IN LOVE AGAIN」13thアルバム
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▼「IN LOVE AGAIN -ENCORE EDITIO-~」14thアルバム
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2010年3月3日、15thアルバム「PURPLE」をリリース。

▼「PURPLE」15thアルバム
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2011年2月23日、16thアルバム「透明」をリリース。

▼「透明」16thアルバム
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2012年3月14日、17thアルバム「夢の続き」をリリース。
2012年10月29日、オフィシャルブログで一般男性との入籍を発表。

2013年2月20日、20周年ベストアルバム「and then... ~20th anniversary BEST~」をリリース。

▼「夢の続き」17thアルバム
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2014年12月28日、オフィシャルブログで第一子男児の出産を発表。

2016年、レコードレーベルをユニバーサルシグマへ移籍。
2016年3月30日、カヴァー・アルバム「Toko Furuuchi with 10 legends」をリリース。

(出典:「古内東子|TOKO FURUUCHI Official web site」他)

▼ 古内東子
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*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表された Wikipedia の項目「古内東子」を素材として二次利用しています。


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Author:香山蔵之介
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