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2020-04

Kenny Rogers 「Love Will Turn You Around」

Kenny Rogers 「Love Will Turn You Around」■ アルバムデータ
タイトル:Love Will Turn You Around
アーティスト:Kenny Rogers
リリース:1982年
レーベル:Liberty Records

アルバム総評価:94


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  Love Will Turn You Around  ★★★★☆  youtube02
02  A Love Song★★★★★youtube02
03  Fightin' Fire with Fire★★★★☆youtube02
04  Maybe You Should Know★★★★★youtube02
05  Somewhere Between Lovers and Friends          ★★★★★youtube02
06  Take This Heart★★★★★youtube02
07  If You Can Lie a Little Bit★★★★★youtube02
08  I'll Take Care of You★★★★★youtube02
09  The Fool in Me★★★★☆youtube02
10  I Want a Son★★★★★
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■ 講評
今回紹介するアルバム「Love Will Turn You Around」は、アメリカカントリーミュージック界の重鎮 Kenny Rogers が1982年、44歳の時に EMI,Inc.系(1982年当時)のレーベル Liberty Records からリリースした13thスタジオアルバムである。本作は、Liberty Records 在籍中にリリースした3枚のスタジオフルアルバムの内の2枚目に当たる。全10曲を収録。

アルバムプロデュースは、Kenny Rogers(#1-#4,#6,#7,#9,#10)の他、Kenny Rogers 作品ではお馴染みの David Malloy(#1)、カントリーミュージックの女性デュオ The Judds をプロデュースして多くのグラミー賞受賞作品を世に送り出したことで知られる Brent Maher(#5)、1978年の Anne Murray の「You Needed Me」を始め40年にわたり U.S.Billboard Hot 100 No.1 ヒット曲を作曲し続けたことでも知られる Randy Goodrum(#5)、1982年に Kim Carnes の「Bette Davis Eyes」のプロデュースで Kim Carnes とともにグラミー賞年間レコード賞を受賞した Val Garay(#8)が担当。またアシスタントプロデューサーとして、ソングライターで Lionel Richie の妻(1993年離婚)である Brenda Harvey Richie も参加している。

サポートミュージシャンには、バックヴォーカルに、Kenny Rogers and The First Edition のメンバーでもあった Kin Vassy(#1,#3,#4,#7,#10)、Kenny Rogers の所属した The First Edition の設立メンバーでもあった Terry Williams(#1,#3,#4,#6,#7,#10)、Herb Pedersen(#2,#9)、1981年放映のコメディTVドラマ「The Greatest American Hero」(邦題:「UFO時代のときめき飛行 アメリカン・ヒーロー」)のテーマ曲「Believe It or Not」で知られる Joey Scarbury(#2,#9)、Cindy Fee(#3,#4,#6,#10)、Donna McElroy(#5)、Viki Hampton(#5)、The Eagles のメンバーとしても知られる Don Henley(#6)、1982年リリースの AOR サウンドの傑作 Frankie Bleu の「Who's Foolin' Who ?」(邦題「潮風のバラード)のプロデューサー としても知られる Joe Chemay(#6,#7)、Kenny Williams(#10)、ベースに、前述の Joe Chemay(#1,#7,#9)、「世界最高峰のベーシスト」、「そのベースプレイを聴いたことのない人はいない」と評される Nathan East(#2,#4,#10)、カントリーグループ The Notorious Cherry Bombs の Emory Gordy(#3)、Jack Williams(#5)、Charles L. Jacobs(#6)、Bryan D. Garofalo(#8)、ギターに、作曲家・プロデューサーとしても活躍した Billy Joe Walker Jr.(#1.#2,#4,#9)、サザンロックバンド Little Feat の Fred Tackett(#2,#3,#4,#7,#9,#10)、Kin Vassy(#3)、Jon Goin(#5)、Larry Byrom(#5)、その数多なアーティストとのセッションの多さからセッション王と称されるジャズ・フュージョンギタリスト Paul Jackson Jr.(#6,#7,#9,#10)、Randy P. Dorman(#6)、Richie Zito(#7)、Waddy Wachtel(#8)、Josh Leo(#8)、ピアノ・キーボード・オルガンに、Randy McCormick(#1)、John Hobbs(#3)、Billy Preston(#4)、セッション・ミュージシャンとして知られる Lincoln Mayorga(#4,#10)、 Randy Goodrum(#5)、Shane Keister(#5)、Eugene Golden(#6)、John Hobbs(#7)、Steve Goldstein(#8)、ドラムス・パーカッションに、Michael Jackson の「Billie Jean」にもドラマーとして参加した Ndugu Chancler(#2,#10)、アカデミー・オブ・カントリーミュージック賞 ドラマー・オブ・ザ・イヤー賞 にもノミネートされた Paul Leim(#1,#2,#3,#7,#9)、Ndugu Chancler(#4)、Kenny Malone(#5)、Bobby Daniels(#6)、Craig Krampf(#8)、フルートに、Gary Herbig(#6)、ハーモニカに、ハーモニカのセッションミュージシャンの第一人者として500を超える作品に出演した Tommy Morgan(#8)、サックスに、Joel Peskin(#9)ら多彩なスタジオミュージシャンが参加。

またアートディレクションは、Kenny Rogers のアルバムを多く手掛けるアートディレクター・デザイナー Bill Burks が、写真のような繊細なイラストレーションは、Bette Midler などのアルバムジャケットも手掛けたイラストレーター・グラフィックデザイナー Richard Amsel、フォトグラフは、Ray Parker Jr. And Raydio などのアルバムも手掛けたフォトグラファー Gary Regester、コンサートマスターは、Murray Adler、Sidney Sharp がそれぞれ担当した。

本作は、U.S.Billboard Top Country Albums Chart 第5位、U.S.Billboard 200 第34位とヒットを記録。アメリカレコード協会(RIAA)からプラチナ・ディスクにも認定されている。また Canadian RPM Top Albums Chart でも第23位と健闘した。

なお Kenny Rogers の詳細については、19thアルバム「They Don't Make Them Like They Used To」の講評を参照いただきたい。

▼「Love Will Turn You Around」
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▼「Love Will Turn You Around」ジャケット裏面
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▼「Love Will Turn You Around」インナーシート
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▼「Love Will Turn You Around」LP盤ラベル
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本作からはアルバムタイトルトラック「Love Will Turn You Around」と「A Love Song」の2曲がシングル・カットされており、このうち1982年6月28日に第一弾シングルとしてリリースされた「Love Will Turn You Around」は、Kenny Rogers、David Malloy、Thom Schuyler、Even Stevens が作詞・作曲、Kenny Rogers、David Malloy がプロデュースした楽曲で、U.S.Billboard Adult Contemporary Chart と U.S.Billboard Hot Country Songs Chart の両方で第1位を獲得するとともに、U.S.Billboard Hot 100 でも第13位を記録。またカナダの Canadian RPM Country Tracks Chart でも第1位を獲得するなど大ヒットし、グラミー賞「Best Male Country Vocal Performance」賞にもノミネートされている。

なお、Kenny Rogers 自身はこの楽曲を、かつて所属していたグループ The First Edition のように機敏ながらもリラックスしたバックヴォーカルに切れの良いアコースティックギターが乗ったサウンドにしようとしたということで、人間関係に関する鋭い比喩を歌った楽曲だと説明している。その説明の通りソリッドなギターは Billy Joe Walker Jr. が、バックヴォーカルは Kin Vassy と Terry Williams が担当している。この楽曲は、1982年 Kenny Rogers 自身が Diane Lane と主演したコメディ映画「Six Pack」(邦題:「幸福のチェッカー」)のテーマ曲ともなった。

なお映画「Six Pack」は、ツイてない中年レーサーと、ひょんなことから彼のクルーとなった6人の孤児姉弟のふれあいを描いた映画ということで、そうした内容も考慮してか7inchシングル盤のB面には、同じくアルバム収録曲の「I Want a Son」が収録されている。

▼「Love Will Turn You Around」US盤
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▼「Love Will Turn You Around」US盤ジャケット裏面
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▼「Love Will Turn You Around」UK盤
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一方、1982年10月4日に第二弾シングルとしてリリースされた「A Love Song」は、カントリーミュージシャンである Lee Greenwood が作詞・作曲を行った楽曲で、U.S.Billboard Adult Contemporary Chart 第10位、U.S.Billboard Hot Country Songs Chart 第3位とヒットを記録したが、U.S.Billboard HOt 100 では第47位とマイナーヒットに終わっている。その一方で Canadian RPM Country Tracks Chart では第1位を獲得し健闘した。また7inchシングル盤のB面には、同じくアルバム収録曲の「The Fool in Me」が収録されている。

なおこの楽曲は、作詞・作曲した Lee Greenwood 自身も、1982年にリリースしたメジャーデビューアルバム「Inside Out」でセルフ・カヴァーしている。

▼「A Love Song」Canada盤
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またシングルカットはされていないが、収録曲 #8「I'll Take Care Of You」は、シンガーソングライターでお馴染みの J. D. Souther が作詞・作曲、Val Garay がプロデュースを担当した楽曲で、J. D. Souther の名曲「The Last In Love」を彷彿とさせるラブバラッドとなっている。

▼ Kenny Rogers(1982年主演映画「Six Pack」から)
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Kenny Rogers は、1980年に United Artists Records から9thスタジオ・アルバム「Gideon」をリリース後 Liberty Records に移籍し、更に1983年に RCA Records へ移籍するまでの3年間に、1980年に10thコンピレーションアルバム「Greatest Hits」(U.S.Billboard Top Country Albums Chart 第1位)、1981年に11thフルアルバム「Share Your Love」(同第1位)、12thホリデーアルバム「Christmas」(同第10位)、1982年に13thフルアルバム「Love Will Turn You Around」(同第5位)、1983年14thフルアルバム「We've Got Tonight」(同第3位)、15thコンピレーションアルバム「20 Greatest Hits」(同第16位)の計6枚のアルバムをリリースしており、そのうち5枚が U.S.Billboard Top Country Albums Chart Top10入りするとともに、全アルバムがアメリカレコード協会(RIAA)からプラチナ・ディスク以上に認定されるなど大ヒットを記録し、アメリカカントリーミュージック界における人気の絶頂期を迎えていた。

今回紹介した「Love Will Turn You Around」もその人気絶頂期にリリースされたアルバムの中の一枚であるが、特にこの Liberty Records 時代は、Kenny Rogers が自身の領分であるカントリーを主体としながらも、そのサウンドに徐々にポップミュージックの要素を取り入れていた時期であり、1983年に RCA Records に移籍後、先にこのブログでも紹介した19thフルアルバム「They Don't Make Them Like They Used To」に代表されるように一気にポップミュージックへと傾倒するまでの移行期にも当たる。

そうしたサウンドの傾向の変化は、Liberty Records 時代のアルバムプロデューサーに Lionel Richie、Bob Seger、David Foster などカントリーミュージックとは縁遠いサウンドクリエーターを迎えたことを見ても明らかであり、こうした事実からも Kenny Rogers が現状に満足することなく非常にアグレッシブかつポジティヴに自身の音楽の可能性に挑み続けた時期でもあったことが窺える。

そんな時期の作品の中でも特に「Love Will Turn You Around」は、カントリーとポップのバランスが絶妙な作品で、シンセサイザーに頼り過ぎることのないナチュラルテイストなサウンドにも好感が持てるアルバムとなっている。

特にポップトラックに関してはバラッドをパワープッシュしており、Lee Greenwood 提供の #2「A Love Song」、1977年に Peter McCann 自身が作曲してヒットさせた「Do You Wanna Make Love」を彷彿とさせる Peter McCann 提供の #4「Maybe You Should Know」、カントリーポップバンド Exile のリードシンガーとして知られる J. P. Pennington が提供した #6「Take This Heart」、以前このブログでも紹介したシンガーソングライター J. D. Souther 提供の #8「I'll Take Care of You」、ピアニストで多くの映画音楽を手掛ける Steve Dorff と初期の Barry Manilow の共作者として知られている作詞家 Marty Panzer 提供のまさに映画音楽のような #10「I Want a Son」など、珠玉のバラッドが目白押しだ。

Kenny Rogers の場合、デュエット曲を含めてそのバラッドには定評があり、いずれのアルバムにもヒット性の高いメロディアスで心に染み入るバラッドが最低1曲は収録されているのだが、アルバム「Love Will Turn You Around」は特にバラッド曲の多さが顕著で、なおかつカントリーミュージックとほぼ交互にラインアップされていることも心憎い演出となっており、こうした両サウンドのベストバランスにより、飽きることなく何時間でも聴いていられるような心地良いサウンドのアルバムに仕上がっていると感じた。

特に、父親としてまだ見ぬ子供への愛情を歌った「I Want a Son」は、思わず目頭を押さえたくなるような父親としての愛情と優しさに溢れる歌詞も素晴らしいバラッドである。またメロウスィートな「I'll Take Care of You」も、いかにも J. D. Souther らしい彼の名曲「The Last In Love」を思い起こさせるような素敵なラブバラッドだ。こうしたバラッドの佳曲を聴くにつけ Kenny Rogers の持つカントリーミュージシャン独特の無骨ながらハートウォーミングな魅力を改めて感じずにはいられない。そのハスキーで低音の歌声とひげ面の優しさ溢れるルックスを含め、男女の区別なく人を惹き付けるアメリカのおやじ的な魅力を持ったミュージシャンである。

アルバム「Love Will Turn You Around」は、そんな Kenny Rogers が44歳の時にリリースしたアルバムである。そのアルバムジャケットのデザインを含めてリリース当時の年齢以上に渋さを感じさせるアルバムとなっており、特にポップサウンドのクオリティーの高さから Liberty Records 時代の作品としては最も気に入っているアルバムとなっている。良質なカントリーミュージックとポップミュージックを一度に堪能することができる、Kenny Rogers のクロスオーヴァーなサウンドを体感するには持って来いのアルバムとしてぜひお薦めしたい一枚である。

▼ Kenny Rogers(1981年当時)
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love3  最後まで御覧いただきありがとうございました。よろしければ1拍手いただけるとうれしいです。


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
Life is music. Music is life.
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