FC2ブログ

2020-05

Bee Gees 「Odessa」

Bee Gees 「Odessa」■ アルバムデータ
タイトル:Odessa
アーティスト:Bee Gees
リリース:1969年3月30日
レーベル:UK:Polydor Records/US:Atco Records


アルバム総評価:92


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  Odessa (City on the Black Sea)  ★★★★★  youtube02
02  You'll Never See My Face Again(私を見ないで)      ★★★★★youtube02
03  Black Diamond(黒いダイヤ)★★★★★youtube02
04  Marley Purt Drive(日曜日のドライヴ)★★★★☆youtube02
05  Edison★★★★☆youtube02
06  Melody Fair★★★★★youtube02
07  Suddenly★★★★★youtube02
08  Whisper Whisper★★★★★youtube02
09  Lamplight(ランプの明り)★★★★☆youtube02
10  Sound of Love(恋のサウンド)★★★★★youtube02
11  Give Your Best★★★★☆youtube02
12  Seven Seas Symphony(七つの海の交響曲)★★★★☆youtube02
13  With All Nations (International Anthem)★★★★☆youtube02
14  I Laugh in Your Face★★★★★youtube02
15  Never Say Never Again★★★★★youtube02
16  First of May(若葉のころ)★★★★★youtube02
17  he British Opera★★★★☆youtube02

※( )は日本語タイトル(#01,#13を除く)
※ A面:#1-#3, B面:#4-#8, C面:#9-#13, D面:#14-#17

■ 講評
今回紹介するアルバム「Odessa」は、イギリス出身の Gibb 3兄弟によるポップグループ Bee Gees が1969年に Polydor Records(UK)/ Atco Records(US) からリリースした6thスタジオアルバムである。

なお、Bee Gees の詳細については、15thアルバム「Spirits Having Flown」の講評を参考にしていただきたい。

アルバムプロデュースは、Robert Stigwood と Bee Gees が担当。全曲 Barry、Robin 、Maurice の Gibb 3兄弟の作詞・作曲による、インストゥルメンタル3曲を含む全17曲を収録している。この内、「With All Nations (International Anthem)」は、リリース当時 US リリースの Atco Records ヴァージョンには収録されたが、UK リリースの Polydor Records ヴァージョンには収録されておらず、当時の UK 盤は16曲構成であった。

リードヴォーカルは、Robin が #01,#03,#09 を、Barry が #02,#04,#08,#10,#11,#15,#16 を、Maurice が #07 を、Robin と Barry が #05,#14 を、Barry と Maurice が #06 を担当すると共に、それぞれがハーモニーとバックヴォーカルも担当。また Barry(Rhythm Guitar)、Robin(Organ, Piano, Mellotron) 、Maurice(Rhythm and Bass Guitars, Piano, Mellotron)、Vince Melouney(Lead Guitar:#04,#05,#08,#10,#11)、Colin Petersen(Drums)のメンバー5人がそれぞれ演奏を担当。更にオーケストラの音楽監督として Bill Shepherd が参加。

加えてサポートミュージシャンとして、バンジョーの名プレイヤー Bill Keith(Banjo:#4,#11)、ブルーグラス系のヴァイオリン奏者 Tex Logan(Fiddle:#11)、グラミー賞受賞者で Elton John とのコラボで知られる Paul Buckmaster(Cello:#1)、The Beatles のレコーディングでも知られる Adrian Barber(Sound Engineer)など錚々たる名プレイヤーが参加している。

本作は、U.S.Billboard 200 第20位、UK Albums Chart 第10位とヒットを記録し、初期の Bee Gees サウンドの最高傑作とも言われている。

▼「Odessa」初回UK盤(Polydor Records)
画像


▼「Odessa」初回UK盤 裏面
画像


▼「Odessa」初回UK盤 見開き
画像


▼「Odessa」初回UK盤 LP盤ラベル
画像


画像


画像


画像



▼「Odessa」2009年リリース盤(Reprise Records)インナーシート
画像


画像


画像



本作からは1969年1月に唯一のシングルとなる「First of May」(邦題:「若葉のころ」)がリリースされており、U.S.Billboard Hot 100 第37位、U.S.Cash Box Magazine Charts 第55位、UK Singles Chart 第6位を記録。日本でも1969年にオリコン・シングル・チャート第80位、1996年にはテレビドラマ主題歌として再リリースされ、第25位を記録している。

「First of May」は、Barry Gibb のリードヴォーカルによる楽曲で、シングル盤の B面には、Robin Gibb がリードヴォーカルを務めた「Lamplight」(邦題:「ランプの明り」)を収録。「Lamplight」ではなく「First of May」を A面に選んだのは、当時 Bee Gees のマネージャーであった Robert Stigwood であった。同曲は、1971年に日本で、また1976年と1980年に RSO Records から再リリースされているが、その際の B面は「Lamplight」でなく「Melody Fair」に変更されている。「First of May」は、メンバーである Vince Melouney(lead guitar)がグループを脱退し4人組となった後初めてリリースされたシングルとなる。また、その後 Robin Gibb もグループを離れることになるため、2枚組の大作アルバムである「Odessa」から正規にシングルカットされたのは、意外にもこの1曲だけとなっている。

▼「First of May」Germany盤
画像


▼「First of May」France盤
画像


▼「First of May」Austria盤
画像


▼「First of May」UK盤
画像


▼「First of May」日本盤
画像


画像



「First of May」は、まず1968年8月16日にニューヨークの Atlantic Studios でピアノとヴォーカルだけのデモテープが録音され、同年遅くにロンドンの IBC Studios でアルバムの音楽監督であった Bill Shepherd の編曲によるオーケストラと合唱が加えられて完成しており、そのサウンドはデモから大きく作り替えられた。Barry Gibb は、1990年にリリースされたベストアルバム「Tales from the Brothers Gibb」のブックレットで、タイトルである「First of May(“5月1日”という意味)」は、彼の愛犬 Barnaby の誕生日から思いついたことを明らかにしている。

この楽曲は、Robin Gibb が Bee Gees を離れる原因の一つとなったことでも知られており、当時 Robin Gibb は、自分がリードヴォーカルを務めた「Lamplight」をアルバムからの第一弾シングルにしたいと考えていたが、一方で Barry Gibb は、自分がリードヴォーカルを務めた「First of May」を第一弾シングルにするよう主張。結局マネージャーである Robert Stigwood は「First of May」を A面に採用したため、アルバム制作過程で生じていたメンバー間の亀裂が決定的なものとなり、Robin Gibb はグループを離れる(ただし1年後には復帰)ことになるのであった。

初回リリース以降、「First of May」は何度かチャートを上昇。1971年には、幼い少年少女の恋心を描いたイギリス映画「Melody」(邦題「小さな恋のメロディ」)のサウンドトラックに使用され、1983年には、日本でもトヨタ・カムリ(2代目)の CM ソングとして、また1996年には、KinKi Kids 主演の TBS 系テレビドラマ「若葉のころ」のテーマ曲としても使用されている。こうして日本でも人気の高い楽曲として CD により再発売がされ、1996年には「How Deep Is Your Love」とカップリングでリリースされてオリコン・シングル・チャート第25位を記録するなどマイナーヒットを収めており、総売上は10万枚以上に上っている。

また、Matt Monro、Jose Feliciano(1969年に RCA Records からリリースされた「Feliciano/10 To 23」に収録)、Cilla Black(1971年のアルバム「Images」に収録)、Tony Hadley(1998年のシングル盤)など多くのアーティストにカヴァーされており、2005年には Robin Gibb が、イギリスのボーカルグループ G4 との共演で「First of May」を再録音し、このヴァージョンは G4 のアルバム「G4 & Friends」に収録。イギリスのシンガー Sarah Brightman も公演でしばしば取り上げており、One Night in Eden、La Luna、Symphony といったツアーでも歌われている。更にアイルランドのフォークバンド The Wolfe Tones も、1972年のアルバム「Let the People Sing」でこの曲を取り上げるなど、今なお世界中で愛されるポップミュージックのクラシックナンバーとなっている。

ちなみに「First of May」は歌詞も実に素晴らしく、子どもの頃の淡い初恋の思い出(実はその思いは大きくなった今も変わらない)の相手が成長して別の男性の元へ去ってしまう(嫁いでしまう)悲哀を、子どもの頃と大人になった時の目線によるクリスマスツリーの高さの変化と5月1日という「若葉のころ」に去ってしまう季節の移ろいを詩的な歌詞で見事に表現しており、実に心を打つ内容となっている。ぜひ歌詞の世界観もじっくり感じていただきたい Bee Gees の名曲だ。

▼「Melody Fair」日本盤
画像


画像


画像


画像



一方、シングルカットこそされていないものの収録曲「Melody Fair」もアルバムリリース当時から世界中のラジオ局で盛んにオンエアされて人気を博し、初期の Bee Gees を代表する名曲に掲げられている。この楽曲も「First of May」同様映画「Melody」の主題歌に起用され、特に日本では映画とともに大きな話題となったため、1971年5月には日本でのみシングルカットされて50万枚近くを売り上げ、オリコン・シングル・チャート第3位を記録する大ヒットとなった。なお、同シングルのカップリング曲は「First of May」であった。

この楽曲の日本での人気は非常に長期にわたり、発表から20年以上経過した1990年代後半においてもスズキ・アルトの CM で使用され、再度シングルが発売されている。こうした人気を受けてカヴァーするアーティストも多く、BEGIN が1998年のシングル「未来の君へ」のカップリングとして、また、クレモンティーヌが 2006年のアルバム「ルミエール」でカヴァーしている。

▼ 映画「Melody」(邦題:「小さな恋のメロディ」)のポスター
主演の Mark Lester と Tracy Hyde
画像




「Odessa」は、グループのアメリカデビュー3年目に当たる1969年3月30日にリリースされた Bee Gees の6thスタジオアルバムである。日本でも人気の高い Bee Gees の初期のヒット曲「First of May」、「Lamplight」、「Melody Fair」を収録する本作は、グループの音楽性やキャリア等を考察する上で、1960年代にリリースしたスタジオアルバムの中でも最も重要な意味を持つアルバムと位置付けられている。

本作は最初、Gibb 3兄弟が、アメリカの政治劇を音楽で表現する、彼らなりの解釈によるポップ・ロックポペラのアルバム作りという発想が原点となっており、シンフォニックかつフォーキーでメロディアスな大作アルバムを構想したということで、最初、アルバムタイトルを「An American Opera」にしようと考えたが、その後「Masterpeace」(「傑作」とか「名作」と言った意味)に変更され、最終的に「Odessa」(ウクライナにある港の名前)となっている。

当時の日本盤 LP の帯のキャッチコピーが「ビー・ジーズ・サウンドが集大成された美しい宝石箱!!」となっているように、初回盤のアルバムジャケットは特に印象的で、全面華やかな赤色で彩られたベルベット地の豪華カヴァーに金色の文字をあしらったグループ初の2枚組 LP(ただし日本盤の内装は UK・US 盤とは異なる仕様)としてリリースされた。

元々1899年2月14日に行方不明になった実在のイギリス船ヴェロニカ号に関するコンセプトアルバムという野心的なアルバムとして制作される予定であったが、アルバムの方向性についてグループ内で緊張と意見の相違が発生。最終的にシングルとしてリリースする楽曲の選定を巡る論争の末、Robin Gibb が一時的にグループを去る事態にまで発展してしまう。またリリース時、アルバム自体はリスナーや音楽誌から期待したような評価が得られず、1970年代半ばにグループがディスコミュージックで成功を収めるまで、Bee Gees は不遇の時期を過ごすことになり、Bee Gees にとってもそのキャリア上大きな分岐点となるアルバムとなった。

本作は、1969年3月、オリジナル曲によるグループ初にして唯一の2枚組アルバムとして、イギリスでは Polydor Records から、アメリカでは Atco Records からそれぞれリリースされるとともに、それまでグループがリリースした6枚のアルバムの内、ワールドワイドにリリースされた4枚目のアルバムとなっている。また、結果的にグループのオリジナルメンバー5人による最後のアルバムにして Vince Melouney(guitar)が参加した最後のアルバムともなった。

1976年、Bee Gees 人気が復活する中で改めて「Odessa」が多くの批評家から高い評価を得始めたことを受け、シングル CD として再リリースされる。また、2009年には豪華3枚組 CD として再リリースされており、2005年に出版された音楽批評書「死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバム」にも取り上げられるなど、リリース以降長い年月をかけて高い評価を受けるに至った Bee Gees にとっても意義深いアルバムとなっている。

▼ The Bee Gees
画像



このアルバムが制作された頃、1968年には Robin Gibb がマネージャーである Robert Stigwood の秘書 Mollie Harris と結婚(1980年離婚)。また1969年には Maurice Gibb がスコットランド人のポップスター Lulu と結婚(1973年離婚)するなど、Bee Gees はプライベートで非常に充実した年を送っていた。そうした中でアルバム「Odessa」は制作されることになるわけだが、一方で音楽活動では、ギタリストの Vince Melouney がアルバム制作途中でグループを脱退。この脱退がグループ内のパワーバランスに微妙な変化を生じさせたことは想像に難くなく、元来 Robin と Barry の二人は非常に野心的な性格の持ち主で、Maurice がそんな2人の兄弟をおとなしく安定させるパワーバランサーであったと言われていているが、このアルバム制作中に Robin と Barry の確執が顕著化してしまうことになる。

その端緒として、アルバムにはカントリーミュージックの影響を受けた楽曲も収録されているが、こうした選曲には長男である Barry Gibb の意向が強く反映されているようで、メンバーの Colin Petersen(drums)は「思った通りそんな楽曲構成になっちゃったよ。Maurice は僕の話を聞くために多くの時間を取ろうとしてくれたけど、グループ内のことなのにいちいち Barry の了解が必要なんだ。」と当時の状況について語っている。またマネージャーの Robert Stigwood も、「Barry は Bee Gees のコーディネーターなんだ。Bee Gees にはリーダーというものがないから敢えてそういう言い方をするんだけどね。イギリスのロックデュオ The Marbles(オーストラリア時代から親交のあった Graham Bonnet と Trevor Gordon が結成) の1stアルバム「The Marbles」への楽曲提供等で見せたようにソウルミュージックにも強い思いがあったんだけれど、同時に彼は本来素晴らしいソロシンガーでもあるんだ。」 という表現で当時の Barry Gibb のグループ内での立ち居地について語っており、Robin Gibb がグループ内で浮いた存在であったことが窺える。

1968年7月12日、アルバムのために最初に「I Laugh in Your Face」をレコーディング。同日、5thアルバム「Idea」のアメリカリリースヴァージョンに収録された「I've Gotta Get a Message to You」もレコーディングするという慌しさのかなでのレコーディングであった。こうして8曲をレコーディングし終えた1968年12月、ギタリストの Vince Melouney が、よりブルース指向の音楽を追及すべく新グループ Fanny Adams に参加するため Bee Gees を円満に脱退。アルバム制作中にグループは4人体制となる。

1968年11月24日、「オーケストラによるラフミックス」と呼ばれた「Odessa (City on the Black Sea)」、「First of May」、「Melody Fair」の3曲のモノミックスによるデモテープが完成。このデモテープを持ってグループは直ぐにスタジオに戻り、 音楽監督の Bill Shepherd とともにアルバムを完成すべく楽曲アレンジとオーケストラトラック制作に取り掛かる。こうして「First of May」は、オーケストラ編成により大きくリメイクされ、この楽曲のセッションがグループとしてアルバム制作上最後のセッションとなるはずであった。しかし、「First of May」レコーディング後も、 Bill Shepherd はインストゥルメンタルトラック「Seven Seas Symphony」、「With All Nations」、「The British Opera」をレコーディングを敢行し、併せてヴォーカルの最終調整と「Edison」のオルガンパート追加まで行う。

こうして完成した「Odessa」の初回盤は、Atco Records から全面豊潤な赤色のベルベット地に金色の文字でグループ名とレーベルのシンボルマークをあしらったグループ初の2枚組 LP としてリリース。ダブルジャケットの見開きには、救命艇で船から離れる人々をイメージした絵ががあしらわれたが、メンバーの写真は一切使用されず、全楽曲が Gibb 3兄弟により作曲されたということ(それも「B, R & M Gibb」という簡略的な表記)以外個々のメンバーの名前さえ表示されなかった。だがこの豪華なジャケットデザインは、制作会議でスタッフがアレルギー反応を示すとともに制作費の高騰を招いたため、結局中止せざるを得なくなる。ちなみにこの初回盤は、アメリカではその市場規模を考慮してある程度の枚数を生産したため広く流通したようだが、イギリスでは生産を抑制したため Robin Gibb 脱退のニュースを受けて即完売状態となり、翌1970年にジャケット仕様を変更し、2枚組の内 C 面と D 面を「Sound Of Love」、A 面と B 面を「Marley Purt Drive」と2枚のシングル仕立てのアルバムに分けて廉価版としてリリースされている。

更にアルバムリリースに先立ち、シングルリリースする楽曲が Robin Gibb が主張した「Lamplight」(邦題:「ランプの明り」)ではなく Barry Gibb のソロヴォーカル曲「First of May」となりグループ内で意見が対立。この結果、1969年初めに Robin Gibb が1970年8月の再加入まで一時的にグループを脱退するに至る。

こうしたグループ内の亀裂は、アルバムの最終ミキシング作業開始からの数か月間に及ぶメンバー相互の軋轢から生まれたものであったが、 Barry Gibb は当時のことを「全てが手に負えなくなっていたんだ。僕たちはどちらへ向かっているのか分からなかったんだよ。僕たちはこのアルバムで本当に終わってしまうわけじゃないし、自分たちの作品としてとても誇りに思っていたんだ。でも結局それは全部思い違いであったんだけれどね。メンバーは別々になってしまい、その間お互いに話もしなかった。だから僕たちはほとんど一緒にスタジオにいることはなかったし、お互いに打ち解けることもなかったんだ。レコーディングには3、4か月かかったけれど、あの頃は時間がとても長く感じられたね。「Bee Gees 1st」なんて1か月で完成したんだよ。」と語っている。

▼ The Bee Gees
画像



1969年2月21日のテレビ番組「The Tom Jones」と同年3月6日の「Top of the Pops」における「First of May」の演奏が、Robin Gibb を加えた3兄弟揃ってのグループ最後のパフォーマンスとなった。3月15日には Robin Gibb はグループを去り、19日に公式にグループ脱退を表明。後の2003年、Robin Gibb はこのアルバム「Odessa」リリース後のグループ脱退について、音楽雑誌「Mojo」で「当時僕たちはうぬぼれていたんだ。」と語っている。

一方 Maurice Gibb は、後にこのアルバムを実に「重い(heavy)」アルバムであったと語っており、「人はみんなこのアルバムを「Bee Gees はこの歌詞で何を言いたかったんだろう?」とか「一体これは何について歌っているんだろう?」というように非常に緻密で深い意味を持ったアルバムのように考えていたんだ。アルバムに関しては地域によっていろいろな評価があるし、場所によって人気の差があったけれど、多くの人はこのアルバムを The Beatles が1967年にリリースした実験的なサウンドの集大成アルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のようなアルバと捉えていたんだ。でも少なくとも僕はこのアルバムを僕たちの一番のアルバムだったとは思っていないんだ。「Odessa」というアルバムタイトルは気に入っているけどね。」と語っている。そう言う Maurice Gibb に Barry Gibb は「僕もたぶんこのアルバムには個人的に強い思い入れがあると思うよ。何て言ってもグループが分かれたときのアルバムだからね。」と答えている。

リリース当時、アルバム「Odessa」は、リスナーや音楽誌等から十分な評価を得られず、グループの人気も1970年半ばのディスコミュージックブームの到来まで低下することになる。一方で、リリース以降歳月が流れる中で、多くの批評家たちからグループが60年代にリリースしたアルバムの中で最も重要なアルバムであるという肯定的な意見も受けるようになり、1976年には、RSO Records から、オリジナル盤から#3,#5,#7-9,#12,#17の7曲を除いて1枚のアルバムに編集され、明瞭な赤色のアルバムカヴァー仕様で再リリース。

更に2009年1月13日には、Reprise Records から CD 3枚組み(リマスターステレオ録音、モノラル録音、未発表テイク集)の BOX 仕様のデラックスリマスター盤として再販されている。なお、「Sketches for Odessa」と名付けられたボーナスディスクである未発表テイク集には、「With All Nations (International Anthem) 」のヴォーカルトラック、未収録曲トラック「Nobody's Someone and Pity」、デモ音源などを収録。このデラックス盤はオリジナルの初版盤 LP と同じアルバムジャッケットの体裁となっている。

(出典:「Odessa (Bee Gees album)」(2 November 2016 15:37 UTC) 『Wikipedia英語版』他)

▼ The Bee Gees
画像



こうして見てくるとアルバム「Odessa」は、非常にすったもんだの末生まれたアルバムであったことがよく分かるが、反面、メンバー間で激しい意見の対立が生まれるほど力を入れて制作されたアルバムとも言えるだろう。アルバム全体を聴くとインストゥルメンタル曲3曲を含む全17曲という大作で、派手さのない分オーケストラによる落ち着いた雰囲気の牧歌的で美しいメロディの楽曲が多く、初期の Bee Gees のサウンドの雰囲気が実によく表れたアルバムだと感じる。と同時に名曲と言われる「First of May」、「Lamplight」、「Melody Fair」以外はインパクトという点で物足りなさが残る印象は否めない。全般に The Beatles ライクなブリティッシュポップの香りが強いが、時折見せるブルーグラスなアメリカンサウンドも Bee Gees らしい新たな試みといったところだろうか。

こうしたコンセプトアルバムには、概して何か深い制作背景や意義を求めがちであり、事実このアルバムもその精神性を捉えて Bee Gees の最高傑作として高く評価するリスナーも多いようである。確かに「Odessa」は、Bee Gees 初のコンセプトアルバムとして意欲的かつ野心的に制作されたアルバムではあるが、純粋にサウンドだけを楽しみたいポップミュージックファンにとっては、メンバーの Maurice Gibb が語るように、少し「重い(heavy)」アルバムに感じられるかもしれない。

そうした印象もあって、余計に「First of May」や「Melody Fair」の美しさや爽やかさが際立つアルバムとなっているように感じられた。個人的には名曲「Melody Fair」を収録したアルバムとして特に気に入っているのだが、まさに初回盤のジャケット仕様も含めて Bee Gee のアルバムの中でも別格の雰囲気と気高さを持ったアルバムと言えるのではないだろうか。

それにしてもこのグループが後に「Saturday Night Fever」のサウンドトラックのようなダンスミュージックを手掛けることになるとは当時誰も予想だにしなかっただろう。「Odessa」と「Saturday Night Fever」を聴き比べると、その音楽指向のあまりの違いに驚かざるを得ない。

*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表された Wikipedia の項目「Odessa (Bee Gees album)」を素材として二次利用しています。


love3  最後まで御覧いただきありがとうございました。よろしければ1拍手いただけるとうれしいです。


スポンサーサイト



  

● COMMENT FORM ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://758ongakudohonpo.blog.fc2.com/tb.php/305-d334a79d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Roberta Flack 「I'm the One」 «  | BLOG TOP |  » Roberta Flack 「Killing Me Softly」

プロフィール

香山蔵之介

Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
Life is music. Music is life.
Let's enjoy music for your wonderful life.

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

邦楽(あ行) (32)
邦楽(か行) (25)
邦楽(さ行) (31)
邦楽(た行) (12)
邦楽(な行) (10)
邦楽(は行) (25)
邦楽(ま行) (5)
邦楽(や行) (11)
邦楽(ら行) (9)
邦楽(わ行) (2)
洋楽(あ行) (19)
洋楽(か行) (10)
洋楽(さ行) (29)
洋楽(た行) (11)
洋楽(な行) (0)
洋楽(は行) (18)
洋楽(ま行) (4)
洋楽(や行) (1)
洋楽(ら行) (14)
洋楽(わ行) (1)
洋画(か行) (2)
洋画(は行) (1)
アート (6)
文化 (13)
ファッション (1)
グルメ (7)
PC (1)
健康 (1)
BLOG (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

アクセス数

オンライン数

現在の閲覧者数:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログランキング

ブログランキング参加中


ブログランキング参加中

Please Click !