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2020-05

黒川沙良 「Prelude」

黒川沙良 「Prelude」■ アルバムデータ
タイトル:Prelude
アーティスト:黒川沙良
リリース:2016年11月22日
レーベル:FROG MUSIC

アルバム総評価:95
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  Embrace  ★★★★★  
02  Keep on trying★★★★☆
03  Blue★★★★★
04  Allnight★★★★☆
05  Now Best One★★★★★
06  Find out~One Thing~          ★★★★★
07  Appreciate★★★★★
08  17さい★★★★☆
09  その光を私に射して★★★★★
10  Goodbye★★★★★
11  I Think Of You★★★★★


■ 講評
今回紹介するアルバム「Prelude」は、ピアノ弾き語り系のシンガーソングライターである 黒川沙良 が2016年11月22日に FROG MUSIC からリリースした1stフルアルバムである。全曲の作詞・作曲を 黒川沙良 本人が手掛けている。

本作は、2015年7月22日に自身の作品ストックにアレンジを施しレコーディングしたミニアルバム「On My Piano」を amazon で通信販売、音楽配信で限定リリースし、そのリード曲「ガールズトーク」が数々の FM 局ディレクターの目に留まり多くの FM 局でパワープレイ、へヴィーローテーションされて、一躍インディーズシーンで脚光を浴びた 黒川沙良 が、音楽プロデューサー 今井了介 率いる気鋭の音楽制作チーム Tiny Voice Production のフルサポートを受けて、「On My Piano」から1年4か月ぶりに満を持してリリースしたフルアルバムである。

なお、現時点では、本作にかかるプロモーションビデオが公開されていないため、その音源を御紹介することができないのは極めて残念である。販促のためにも、今後プロモーションビデオが制作されることをぜひ期待したい。

▼「Prelude」
画像



さて、以前から心地よいメロディーに凛とした芯の強さが伝わるピアノの調べが相まって生まれるサウンドに定評があった 黒川沙良 であるが、本作には、2016年8月10日にデジタル配信された、壮大で流麗なヴォーカルとピアノサウンドが Christopher Cross の「Minstrel Gigolo」を思い起こさせるミディアムテンポなクールサウンド「Blue」と、同じく2016年11月4日にデジタル配信されたダブルシングル曲「Keep on trying / Now Best One」を含む全11曲が収録されている。

このうちイントロのアップビートなピアノプレイも印象的でポジティヴマインドな「Keep on trying」は、三浦大知、清水翔太、加藤ミリヤなどのプロデュースや編曲で知られる MANABOON(TinyVoice Production)と、20代という若さながら日本の R&B シーンのフロントラインで活躍するギタリスト Sho Kamijo の共同プロデュースにより制作された楽曲で、Sho Kamijo 自身がギタリストとして参加するとともに、メジャー・インディーズを問わずジャンルを超えて数多くのアーティストのサポートで注目を集める サカモトノボルが ベーシストとして参加している。

また、疾走感溢れるダンスビート「Now Best One」は、黒川沙良 が15歳の時に UK Jazz Funk をモチーフに制作した作品に MANABOON がアレンジを加えた楽曲で、ギタリストとして KENNEL の 川相賢太郎 が参加して、そのスピード感を増幅させるカッティングやテクニカルなフレーズを随所で披露している。

その他アーバンでスタイリッシュな R&B アレンジも印象的なダンサブルナンバー「Allnight」や、アルバムのラストトラックにしてピアノ独唱による渾身のラブバラッド 「I Think Of You」など、本人曰く一曲一曲の「世界観」を大切にして制作やレコーディングに挑んだという充実のアッパーチューンがラインアップされている。

▼「Blue」
画像


▼「Keep on trying / Now Best One」
画像



本作に関する本人へのインタビュー記事などを見ると、今回は「このアルバム「Prelude」から黒川サウンドを炸裂させていく!!」というコンセプトが根本にあり、初のフルアルバム制作ということもあって納得出来るものを作ろうという強いこだわりの下で前作のミニアルバム「On My Piano」以上に凝ったテイストの楽曲を時間をかけて制作したということで、“はじまり”や“序章”という意味を持つ「Prelude」というアルバムタイトルが示すとおり、まさに“黒川沙良”の序章と言える作品に仕上げることが出来たということだ。

また、表現が1つ1つに細かく豊かになるようにこだわったというエモーショナルな歌は「流れ」を大切にしたということで、全体の「世界観」を重視したアルバムは、ハイレゾ配信もするほど「音」にもこだわっており、マスタリングエンジニアの森崎雅人氏曰く、ライブのステージを後ろの席ではなく前の方の席で聴いているような温度感のサウンドを目指したとのことである。

今回は残念ながらハイレゾ音源で聴くことはできなかったが、そうしたこだわりもあってか、凝ったアレンジながら非常に臨場感溢れるダイナミックなサウンドに仕上がっているという印象を受けた。

▼ 黒川沙良
画像



以前、1stミニアルバム「On My Piano」の講評でも記したのだが、黒川沙良 の最大の魅力は、その美しいルックスからは想像できない非常にソウルフルで奥行きのある重厚なヴォーカルにあると感じている。

それも決して重過ぎず、時にクラシカルな雰囲気さえ漂わせる安定感を持った歌声で、硬質で力強いミドルレンジな歌声に加えてハイトーンで歌う際の揺らぎのあるファルセットも艶めいて、その美貌と相まって実に魅力的なヴォーカルとなっている。

そんな 黒川沙良 初のフルアルバムとなる本作は、前作同様、全体に R&B とジャズをミックスしたようなアーバンテイストのピアノサウンドをベースとしながらも、適度にポップな味付けを加えた非常に心地良いメロディーが印象的で、彼女の凛とした芯の強さが伝わってくるような力強さも感じさせる、アダルトコンテンポラリーなアルバムに仕上がっている。

また、前作以上にジャズ、R&B、シティポップなど様々なテイストのサウンドを変幻自在に奏でるフレキシブルなピアノプレイも斬新で、かといって決して最近の J-R&B にありがちなこれ見よがしなアレンジではなく、メインとなるピアノも出過ぎることなくストリングスを加えたセッション感もしっかり伝ってくる臨場感溢れるサウンドとなっており、特に叙情的で哀愁漂うバラッド曲のオーケストラなアレンジには、個人的に心酔している Double のサウンドが持つグルーヴ感を彷彿とさせるものがあり、1stフルアルバムとしてのグレード感は非常に高く、贅沢な音に仕上がっていると感じた。

初のフルアルバムということでかなり意気込みが感じられる充実のラインアップとなっているが、特に前作に続いてピアノ伴奏のみの楽曲「I Think Of You」でアルバムを締めくくるとともに、アルバムの導入部にピアノ独奏曲「Embrace」を配するあたりに、黒川沙良 のピアノプレイヤーとしてのプライドとこだわりが感じられて実に興味深いレイアウトとなっている。

▼ 黒川沙良
画像



ミニかフルかにかかわらず、初めて制作するアルバムに込めるシンガーソングライターの思いとエネルギーには、恐らく特別なものがあるだろう。そのため、そうした思いが詰まったデビューアルバムを乗り越えてリリースする2枚目のアルバムには、1枚目以上の苦悩や不安が伴うに違いない。事実、このブログで紹介した多くのアーティストやグループが、2作目で相当苦戦を強いられているようで、このブログで続けて紹介したいと思えるほどのインパクトを持った2ndアルバムがなかなか出てこない状況の中、黒川沙良 は見事1stアルバムを凌駕できた数少ないアーティーストの一人であると確信している。

ピアノプレイヤーとシンガーソングライターとしての2つの顔を持つ 黒川沙良 のそれぞれの力量がダイレクトに伝わってくる1stフルアルバム「Prelude」。以前、R&B やジャズの女性ソロシンガーにも引けを取らない本格的な歌唱力を持ったピアノ奏者という立ち居地は、今のミュージックシーンにおいても稀有で非常に貴重な存在と言えるのではないかと申し上げたが、まさにそんな 黒川沙良 という存在の魅力を余すところなく伝えるアルバムといえるだろう。

なお、彼女の CD ジャケットは、いずれもクラシック系の女性アーティストに多く見られるようなポートレート調なアートワークとなっているが、こうしたこれといって特徴のないシンプルなジャケットも、最近前髪を上げて一段とその美しさに磨きがかかった 黒川沙良 だからこそのデザインなのかもしれない。(その色香はとても24歳とは思えませんが・・・。)

ちなみに、2015年7月のデビュー以来、ピアノの弾き語りを中心としたライブパフォーマンスを主に行ってきた 黒川沙良 であるが、1stフルアルバム「Prelude」のリリースを契機に、現在は Vocal & Keyboard 黒川沙良、Guitar 川相賢太郎、Bass サカモトノボル、Drums 吉岡優三 でバンドを編成し、関東中心にライブ活動に専念しているということである。

本作収録曲の「Keep on trying」は、既に多くの FM 局でパワープレイされ、また、テレビ東京の生活情報番組「なないろ日和!」の2016年11月と12月のエンディングテーマになるなど、好評を博しているとのこと。2016年10月からオンエアされている JA 共済の CM ソングも担当するなど活躍著しい 黒川沙良 に、今後も大いに注目、期待したい。

▼ 黒川沙良
画像




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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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