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2020-05

Laura Branigan 「Branigan」

Laura Branigan 「Branigan」■ アルバムデータ
タイトル:Branigan
アーティスト:Laura Branigan
リリース:1982年3月
レーベル:Atlantic Records

アルバム総評価:93


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  All Night With Me  ★★★★★  youtube02
02  Gloria★★★★★youtube02
03  Lovin' You Baby★★★★☆youtube02
04  Living a Lie★★★★★youtube02
05  If You Loved Me★★★★★youtube02
06  Please Stay, Go Away★★★★☆youtube02
07  I Wish We Could Be Alone          ★★★★★youtube02
08  Down Like a Rock★★★★☆youtube02
09  Maybe I Love You★★★★★youtube02


■ 講評
今回紹介するアルバム「Branigan」は、アメリカの女性シンガーである Laura Branigan が1981年にレコーディング、1982年に Atlantic Records からリリースしたソロデビュースタジオアルバムである。なお、Laura Branigan の詳細については、3rdアルバム「Self Control」の講評を参照していただきたい。

アルバムには、彼女を代表するバラッド曲「If You Loved Me」と「I Wish We Could Be Alone」が収録されており、「I Wish We Could Be Alone」は、Laura Branigan 自身が作曲。他にもポップ・ロックな「Please Stay, Go Away」やストレイト・ロックな「Living a Lie」などバラエティーに富んだ楽曲がラインアップされており、U.S.Billboard 200 第34位を記録するとともに、50万枚以上を売り上げてアメリカレコード協会(RIAA)からゴールドディスクにも認定されている。また「Gloria」のユーロディスコヴァージョンは、グラミー賞の「Best Female Pop Vocal Performance」部門にノミネート。エネルギッシュでアップテンポな4曲とミディアム・スロウバラッド5曲の計9曲を収録した非常にサウンドバランスのとれたアルバムに仕上がっている。

プロデューサーは、Greg Mathieson と、4thアルバムまで Laura Branigan のアルバムプロデュースを担うことになるドイツ出身のプロデューサー Jack White が担当。

エンジニアは、Jurgen Koppers と John Kovarek が、アレンジャーは、Greg Mathieson が、アートディレクションは、Foreigner のアルバムを始め数多くのアルバムデザインを手掛けたことでも知られる Bob Defrin が、フォトグラフは Billy Joel の「The Stranger」のフォトグラフでも知られる Jim Houghton 担当した。

また、レコーディングミュージシャンには、シンセサイザー奏者に、後に1984年の映画「Flashdance」に Laura Branigan が提供した「Imagination」の作曲家としてグラミー賞を受賞する Michael Boddicker が、ギタリストに、浜田麻里、氷室京介、松任谷由実など多くの日本人ミュージシャンの作品にも参加している人気スタジオ・ミュージシャン Michael Landau、TOTO のメンバー Steve Lukather、カナダ人ミュージシャン Trevor Veitch が、ベーシストに、2,000枚を超えるアルバムにセッション・ミュージシャンとして参加したベテランベーシスト Leland Sklar、Bob Glaub が、ドラマーに、キューバ生まれの Carlos Vega が、バックヴォーカルに The Joe Chemay Band の Joe Chemay、Roger Waters 率いる The Bleeding Heart Band のメンバー Jim Haas、Jon Joyce、Lisa Sarna、Stephanie Spruill など錚々たる一流ミュージシャンが参加している。

ちなみに、当時の日本盤 LP の帯のコピーは「ブリリアントなニュー・ヴォーカリスト誕生!! ローラ!! サッドな気分で心が一杯の時、夜は涙色。輝きの時、それはあなたの腕の中!! ローラの歌は揺れるハート!!」と今読み返すと全く意味不明な残念なコピーとなっていた。

▼「Branigan」
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▼「Branigan」ジャケット裏面
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▼「Branigan」LP盤ラベル
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本作からは2曲がシングルカットされており、第1弾シングル「All Night With Me」は、U.S.Billboard Hot 100 第69位と惜しくも Top40 入りを逃したものの、イタリアで Umberto Tozzi がヒットさせた楽曲の英語によるカヴァーヴァージョンである第2弾シングル「Gloria」は、世界中で大ヒットを記録し、Laura Branigan はこの一曲で一躍スターシンガーの仲間入りを果たした。

▼「All Night With Me」Germany盤
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▼「Gloria」UK盤
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▼「Gloria」Germany盤
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▼「Gloria」Netherlands盤
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▼「Gloria」Spain盤
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▼「Gloria」France盤
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▼「Gloria」日本盤
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▼「Gloria」オリジナル曲 by Umberto Tozzi
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「Gloria」は、元々1979年にイタリアのポップロックシンガーソングライターである Umberto Tozzi と音楽プロデューサー・作曲家である Giancarlo Bigazzi が作曲し、Umberto Tozzi がワールドワイドにヒットさせた楽曲(その後イギリスの音楽家 Jonathan King が英語の歌詞に翻訳)で、1982年に Laura Branigan がカヴァーしてアメリカ国内だけで2千万枚以上を売り上げた彼女を代表する大ヒット曲である。

当時 Atlantic Records のマネージングディレクターであった Doug Morris が、Laura Branigan にドイツ出身のプロデューサー Jack White との仕事を提案。その Jack White が「Gloria」の英語ヴァージョンを歌うよう勧めたのがきっかけとなったとのことで、Laura Branigan ヴァージョンは、Jack White と、オリジナル曲のアレンジとキーボードにも参加し Laura Branigan の1stアルバム「Branigan」に第一キーボード奏者としても参加した Greg Mathieson が共同でプロデュースを行っている。

Laura Branigan がアメリカの週間娯楽雑誌「People」で語ったところによると、最初彼女とプロデューサーたちは、オリジナルのロマンティックな調子で「Gloria」の英語ヴァージョンをタイトルを「Mario」に変えて試したが、期待した効果が出なかったため、結局、Laura Branigan の言葉によれば「人生を生き急いでいる女の子」というキャラクター(自分の目標のためには周りだけでなく自分自身も見えなくなるタイプの女の子といったイメージのよう)を設定し、改めて英語の歌詞を創作して「Gloria」のリメイク版としてレコーディングを行ったということで、英語の歌詞は、制作陣が「オリジナル曲にアメリカンキックを食らわてオリジナルの Gloria が消し飛んでしまうぐらいの歌詞を書いてみせる」という意気込みの下、Laura Branigan 自身も参加して1stアルバム「Branigan」でギターも担当したカナダ人音楽家 Trevor Veitch が作詞を行ったということである。

また Laura Branigan は、2003年に「「Gloria」はもちろん私の代表曲よ。どこで歌ってもいつも同じように大喝采を受けるわ。だから私はコンサートのラストで「Gloria」を歌わうようにしているのよ。でないとみんな納得しないのよ。」と語っており、本人にとっても「Gloria」が特別な意味を持つ楽曲であったことがうかがえる。

なお Laura Branigan は、亡くなる数か月前に「Gloria」のハイエナジーヴァージョンを再録音しており、2004年4月に他のリミックス・ヴァージョンと合わせて「Gloria 2004」としてリリースされている。

▼「Gloria 2004」
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「Gloria」は、1stアルバム「Branigan」の収録曲の中で最初にシングルカットされ、かつ最もヒットした楽曲となったが、当初は「All Night With Me」をリードシングルとして売り出す計画であったということで、1982年初めにアルバムリリースのプロモーションのために出演したテレビ番組で「Gloria」を披露し、その時の反響が良かったため、結果的にその夏に第一弾シングルとしてリリースされる運びとなったとのことである。こうしたレーベルサイドの迅速な決断が、その後の大ヒットのまさにきっかけとなったようだ。

「Gloria」は、最初ディスコで大流行し、その盛り上がりを受け、当初ヨーロッパテイストな「Gloria」を、当時アメリカのミュージックシーンで懸念されていた第2次「British invasion(イギリス音楽の侵略)」の流れを汲む楽曲として積極的に取り上げなかったラジオ局においても徐々にオンエアされるようになり、次第に U.S.Billboard Hot 100 チャートを上昇。こうして1982年11月27日週には、Lionel Richie の大ヒット曲「Truly」に次いで U.S.Billboard Hot 100 第2位を記録し、翌週 Lionel Richie の「Truly」が Toni Basil の「Mickey」に第1位の座を明け渡す中、12月11日までの2週連続で第2位をキープする勢いを見せた。

Laura Branigan は、こうした大ヒットを受けて、1982年のグラミー賞「Best Pop Vocal Performance Female」部門にもノミネートされることとなる。

また、22週にわたって U.S.Billboard Hot 100 Top40 入りを果たすとともに、36週にわたって100位以内を維持し、女性ソロアーティストのシングルとして記録を更新。更に音楽専門誌の Cashbox Magazine Top 100 第1位を獲得した他、アメリカ国内だけで2千万枚以上を売り上げて、アメリカレコード協会(RIAA)からプラチナディスクにも認定されている。

その勢いはアメリカ国内に留まらず世界的にも大ヒットし、特にオーストラリアでは1983年2月7日から3月21日まで7週連続でヒットチャート第1位を獲得。そのほかカナダで第1位、UK で第6位、アイルランドで第4位、南アフリカで第9位、ニュージーランドで第6位、イタリアで第36位を記録して、1980年代のポップミュージックを代表するヒット曲となった。

さらに1983年の映画「Flashdance」の挿入曲としても使用されたが、残念ながら大ヒットを記録したサウンドトラックには収録されなかった。

▼ Laura Branigan
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こうして見てくると、デビューアルバムの中でも「Gloria」が特別な楽曲であることがよく分かる。Laura Branigan はシンガーソングライターながら、生涯にわたり数多くのカヴァーソングをアルバムに収録しており、活動初期には1stアルバムから4thアルバムまでのプロデューサーを務めた Jack White の戦略もあって、特にイタリアのヒット曲のカヴァーで注目を集め、中でもこの「Gloria」はその代表曲でもあった。

1982年当時のアメリカは、ディスコミュージックが飽和状態となる中でヨーロッパ的なサウンドに注目が集まりつつあった時期にあり、イタリアのヒット曲「Gloria」のカヴァーは、まさにそうした時代の潮流に乗った楽曲であり、その意味で当時のヒットチャートの中では斬新な楽曲であったといえるかもしれない。

以下のとおり「Gloria」が第2位を記録した1982年11月27日週の U.S.Billboard Hot 100 のチャートを見ると、当時非常にアメリカ的なロックポップがチャートの主流を占める中で、異色の存在といえるユーロポップな Laura Branigan の「Gloria」が大健闘していることがよく分かるだろう。

01:Truly(Lionel Richie)
02:Gloria(Laura Branigan)
03:Heart Attack(Olivia Newton-John)
04:Up Where We Belong(Joe Cocker and Jennifer Warnes)
05:Heartlight(Neil Diamond)
06:Mickey(Toni Basil)
07:Maneater(Daryl Hall & John Oates)
08:Steppin' Out(Joe Jackson)
09:The Girl Is Mine(Michael Jackson / Paul McCartney)
10:Muscles(Diana Ross)
11:Dirty Laundry(Don Henley)
12:Rock This Town(Stray Cats)
13:Sexual Healing(Marvin Gaye)
14:It's Raining Again(Supertramp)
15:Nobody(Sylvia)
16:Shadows Of The Night(Pat Benatar)
17:American Heartbeat(Survivor)
18:Southern Cross(Crosby, Stills & Nash)
19:Heartbreaker(Dionne Warwick)
20:Pressure(Billy Joel)

なお、残念ながらイタリア語は理解で見ないため、Umberto Tozzi によるオリジナルの「Gloria」の歌詞の内容は不明であるが、Laura Branigan ヴァージョンの歌詞は、成功をつかむため、自分を偽ってまで男たちの後を追いかける Gloria に、「このままじゃあなた自身がだめになってしまうわよ。そうなる前に落ち着いて。そうならないように気をつけなきゃ駄目よ。まさかお互いに愛し合っているなんて思ってないでしょうね。あなたを必要としているのなら何で向こうから連絡してこないの?誰も電話してこないじゃない。電話がかかってきてもあなたは電話に出る必要なんてないの。みんな待たせておけばいいのよ。どうせみんなあなたの電話番号もあなたがこれまで使ってきた偽りの名前も知っているんだから。これからどうするつもりなの?本命に会うつもりなの、それとも手あたり次第に男を捕まえるつもりなの?お金のために結婚して午後は愛人と密会するつもりなの?一度失った純粋な心がすぐに戻ってくるなんて思ったらダメよ。でもあなた本当に覚えていないのね。彼は何か言ってたんじゃないの?それとも頭の中をグロリア電話してくれよって声が駆け巡っているのかしら。」というようにもっと自分を大切に生きなくてはと忠告するような内容となっているようだ。(翻訳が間違っていたらすいません…。)

一種のメッセージソング的な内容でリズミカルで力強いサウンドにマッチした歌詞といえるだろう。こうした力強さはオリジナルにはない Laura Branigan ヴァージョンに独特なもののようで、当時はまだ女性のロックシンガーが少なかった時代でもあり、もしかしたらこうした女性目線の元気印な歌詞も、この楽曲がヒットした大きな要因の一つとなっているかもしれない。

なお、3rdアルバム「Self Control」の講評でも申し上げたが、個人的には Laura Branigan の真髄はバラッドにこそあると考えている。このアルバムにも珠玉の名バラッド「If You Loved Me」が収録されており、少しハスキーがかった Laura Branigan 独特な艶のある歌声が非常にマッチしたドラマティックで聴き応えのあるバラッドとなっている。アルバムでは「Gloria」の影に隠れてほとんど注目されることがない「If You Loved Me」であるが、だからこそ Laura Branigan 初期の名曲としてぜひお薦めしたい一曲である。

▼ Laura Branigan
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*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表された Wikipedia の項目「Branigan」を素材として二次利用しています。


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