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2020-05

Bananarama 「Wow!」

Bananarama 「Wow!」■ アルバムデータ
タイトル:Wow!
アーティスト:Bananarama
リリース:1987年9月12日
レーベル:London Records

アルバム総評価:94


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  I Can't Help It  ★★★★★  youtube02
02  I Heard a Rumour★★★★★
youtube02
03  Some Girls★★★★★youtube02
04  Love in the First Degree          ★★★★★youtube02
05  Once in a Lifetime★★★★★ 
06  Strike It Rich★★★★☆youtube02
07  Bad for Me★★★★★
youtube02
08  Come Back★★★★☆youtube02
09  Nathan Jones★★★★☆youtube02
10  I Want You Back★★★★★
youtube02


■ 講評
今回紹介するアルバム「Wow!」は、イギリスの3人組女性ヴォーカルグループである Bananarama が1987年に London Records からリリースした4thアルバムである。

#8,#9の2曲を除く全曲の作曲にメンバーである Sara Dallin、Siobhan Fahey、Keren Woodward が関わった意欲作であり、プロデュース及びメンバーとの楽曲共作を、Mike Stock、Matt Aitken、Pete Waterman の3人からなるイギリスの音楽プロデューサーチーム Stock Aitken Waterman(SAW)が手掛けている。このアルバムは、アメリカにおいてチャート的に成功したグループ最後のアルバムとなっており、残念ながら本作以降、U.S.Billboard 200 にランクインしたアルバムは生まれていない。

メンバーの内、Sara Dallin は #04「Love in the First Degree」で、また Keren Woodward は #10「I Want You Back」と #09「Nathan Jones」でそれぞれベース演奏もこなし、バックミュージシャンには、プロデューサーである Mike Stock(keyboards and Linn programmes)、Matt Aitken(guitar, keyboards and Linn programmes)、Pete Waterman(additional drum patterns)の他、John O'Hara(keyboards)、A. Linn(drums)、Pete Hammond(mixer)らが参加。マネージャーには Bananarama の専属マネージとして知られる Hillary Shaw、ジャケットデザインには Peter Barrett、Andrew Biscomb、フォトグラファーには Andy Earl、Carrie Branovan が参加している。

本作の作詞・作曲の内容に関してメンバーの Siobhan Fahey とプロデューサーの Stock, Aitken,and Waterman の間で軋轢が生じており、その確執がアルバムリリースの数ヶ月後 Siobhan Fahey をグループ脱退へと至らしめた原因と言われており、特に #6「Strike it Rich」に関する意見の対立が大きかったようである。第4弾シングル「I Want You Back」がリリースされる頃には、既に Siobhan Fahey に代わって Jacquie O'Sullivan が加入しており、「I Want You Back」のシングルヴァージョンは、Jacquie O'Sullivan で再レコーディングされた音源が使用されている。ちなみに Siobhan Fahey は、脱退後の1989年、新しいバンド Shakespear's Sister を結成している。

その一方でアルバムは、UK Album Chart 第26位、U.S.Billboard 200 第44位とイギリス、アメリカ両国で順当な成績を収め、いずれの国でもゴールドディスクに認定。特にオーストラリアでは、ARIA Albums Charts 第1位を獲得するヒットとなった。

なお、1982年から1992年の間にリリースされた Bananarama の初期の6枚のスタジオ・アルバムは、2007年3月19日に Rhino Records からリマスター録音で再販されており、B面収録曲、シングルヴァージョン、リミックスヴァージョンなど数曲がボーナストラックとして追加されている。

▼「Wow!」
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▼「Wow!」ジャケット裏面
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▼「Wow!」インナーシート
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▼「Wow!」LP盤ラベル
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アルバムからは、1987年に「I Heard a Rumour」、「Love in the First Degree」、「I Can't Help It」、1988年に「I Want You Back」、「Nathan Jones」の計5曲がシングルリリース。

このうち1987年6月リリースの第1弾シングル「I Heard a Rumour」(B面:「Clean Cut Boy」)は、UK Singles Chart 第14位、U.S.Billboard Hot 100 第4位、U.S.Hot Dance Club Play Chart 第3位と大ヒットを記録。また、The Fat Boys 主演映画「Disorderlies」にも使用され、サウンドトラックにも収録されている。ちなみにプロデューサーチーム SAW の一人 Pete Waterman は、この曲をお気に入りの一曲だと公言しており、楽曲を聴いても分かるとおり、コード進行、基本的構成、メロディは SAW が手掛けた Michael Fortunati の1986年ヒット曲「Give Me Up」と非常に類似していることでも話題となった。

Andy Morahan が監督したミュージックビデオは、「Venus」のミュージックビデオをより一層ドレスアップした内容となっており、3人のメンバーがカウガールやブラジル人歌手・女優 Carmen Miranda のコスチュームで扮装して、背後のスクリーンに映し出される様々な映画スターのモノマネをする映像となっており、至るところに Bananarama 特有の軽薄さが散りばめられた作品となっている。中でもグループが身にまとうフレンチカンカンのドレスを捲り上げると、3人のお尻の部分にそれぞれアルバムタイトルの文字である「W-O-W」が現れる演出や、終盤に敢えてダンスをミスしたメンバーの姿を1カット挿入する趣向などは見逃せないポイントである。

▼「I Heard a Rumour」UK盤
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▼「I Heard a Rumour」UK盤(Miami Mix)
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▼「I Heard a Rumour」日本盤
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1987年9月リリースの第2弾シングル「Love in the First Degree」(B面:「Mr. Sleaze」)は、メンバーと Stock Aitken Waterman (SAW) の共作で、UK Singles Chart 第3位、U.S.Billboard Hot 100 第48位を記録。母国イギリスで最も売れた Bananarama のシングルとなっている。SAW らしいアップテンポのポップチューンで、Siobhan Fahey が原案を示し SAW と他のメンバーが練り上げたシュールな歌詞は、「第一級恋愛罪」という邦題が示すとおり「恋愛をしたおかげで裁判にかけられて第一級恋愛罪で有罪になってしまう夢を見たの。私を助けられるのはあなただけよ。」といった内容となっている。また楽曲構成は、しばしばクラシック音楽である Johann Pachelbel(ヨハン・パッヘルベル)のカノンと比較される。

「Love in the First Degree」は、1988年2月の The Brit Awards で Bananarama として Siobhan Fahey が参加した最後のパフォーマンス(黒のビキニパンツ一枚の男性ダンサーたちがエスコートしたもの)となった楽曲で、国内ベストシングル部門にノミネートされたが、残念ながら同じく SAW がプロデュースした Rick Astley の「Never Gonna Give You Up」が受賞している。

ミュージックビデオは Andy Morahan が監督し、刑務所の独房で囚人の衣装で男性ダンサーに囲まれてパフォーマンスを行う映像となっており、1957年の Elvis Presley 主演映画「Jailhouse Rock」(邦題:「監獄ロック」)をイメージしたものとなっているとのことである。

▼「Love in the First Degree」UK盤
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▼「Love in the First Degree」US盤
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▼「Love in the First Degree」Germany盤
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▼「Love in the First Degree」日本盤
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1986年7月にリリースの第3弾シングル「I Can't Help It」(B面:「Ecstasy」)は、SAW の共作・プロデュース作品で、同時期 SAW がプロデュースした多くの作品と同様、ディスコサウンドの影響を受けたポップチューンとなっている。グループを脱退した Siobhan Fahey が参加した最後のシングルで、UK Singles Chart 第20位、Australian ARIA Chart 第27位、U.S.Billboard Hot 100 第47位、U.S.Hot Dance Club Play Chart 第7位を記録している。レコードジャケットの写真は、モノクロ作品で知られるアメリカの有名ファッションフォトグラファー Herb Ritts の作品である。またこの「I Can't Help It」と「Love in the First Degree」のレコードジャケットをイギリスと北アメリカのマーケットで相互に入れ替えるというユニークな販促を展開している。

▼「I Can't Help It」UK盤
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▼「I Can't Help It」UK盤(Extended Version)
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▼「I Can't Help It」US盤
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▼「I Can't Help It」日本盤
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1988年4月にリリースの第4弾シングル「I Want You Back」(B面:「Bad For Me」)は、SAW の共作・プロデュース作品で、元々異なるコーラスで「Reason for Living」というタイトルであったが、メンバーがこのコーラスを気に入らず、歌詞を修正してタイトルを「I Want You Back」に変更。オリジナルのコーラスの要素はアルバムヴァージョンで聴くことができる。両ヴァージョンとも当初はアルバム「Wow!」のために Siobhan Fahey をメンバーとしてレコーディングされたが、Siobhan Fahey 脱退後の1988年3月に新メンバー Jacquie O'Sullivan により再レコーディングを行いリリースされた最初のシングルとなっている。

この楽曲は、グループが UK Singles Chart で記録した最高順位の第5位を記録。Australian Singles Chart でも第3位を記録するヒットとなったが、アメリカではリリースされなかった。

▼「I Want You Back」
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▼「I Want You Back」日本盤
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1988年11月にリリースの第5弾シングル「Nathan Jones」は、Leonard Caston と Kathy Wakefield が作曲し、1971年にリリースされた The Supremes の楽曲のカヴァー曲で、1988年の Dustin Hoffman、Tom Cruise 主演映画「Rain Man」のサウンドトラックにも収録されている。この楽曲も Siobhan Fahey に代わって Jacquie O'Sullivan が加入後、全く新しいヴォーカルとインストゥルメンタルアレンジで再レコーディングされシングルリリースされた楽曲である。UK Singles Chart 第15位を記録。

この楽曲のミュージックビデオは、ブリティッシュスタイルのスーツ、帽子、傘を身に着けた男性ダンサーと共にヴォーグスタイルの振付けでパフォーマンスをする映像となっており、ドレスアップしたメンバーがランウェイを闊歩するショットに花瓶や彫像などのアートオブジェやフルーツのイメージが重なるユニークな演出となっており、The BRIT Awards の最優秀ミュージックビデオ賞にノミネートされたが、残念ながら Michael Jackson の「Smooth Criminal」が受賞している。

▼「Nathan Jones」
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▼「Nathan Jones」日本盤
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Bananarama といえば、バブル景気絶頂期の1980年代のディスコブームに乗って世界を席捲した人気ガールズポップグループである。「Venus」、「I Heard a Rumour」、「Love in the First Degree」などヒット曲を連発し、日本でも当時アイドルであった 長山洋子 や 荻野目洋子 が「Venus」を、真弓倫子 が「I Heard a Rumour」を、BaBe が「Love in the First Degree」をカヴァーしてヒットしたこともあって、洋楽のカテゴリながら日本でも比較的馴染みの深い楽曲が多いグループの一つとなっている。

なお個性的なグループ名の由来は、イギリスの子供向けテレビ番組「The Banana Splits」と Roxy Music の楽曲「Pyjamarama」を合成したと言われているが、実際のところはほとんどウケ狙いで、南国を象徴するフルーツのバナナにコミカルに聞こえるようラマを付けたとのことらしい。

そんな Bananarama の楽曲は、当時のディスコでヘヴィープレイされ、イントロが流れると「お立ち台」が満杯になってホールが一気に盛り上がるという光景があちこちのディスコで見られた。また、どちらかというとセクシーな印象が強いグループであったが、ビデオクリップやライブパフォーマンスにおいて半裸の男性ダンサーたちが大量に踊るというスタイルが定着し、ゲイコミュニティーの支持を得たことから、イギリス国内では同性愛者の地位向上のための活動に協力したりすることも多かったということで、未だに LGBT と誤解されがちであるが、メンバーはいずれも異性愛者で、Sara Dallin は Bananarama の元バックダンサーの男性との間に子供を出産、また Keren Woodward は1990年代から現在まで元 Wham! の Andrew Ridgeley と同棲関係にあるとのことである。

▼ Bananarama
左から Siobhan Fahey、Keren Woodward、Sara Dallin
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そんな Bananarama のアルバムの中でも秀作として評価が高いのが、1stアルバムから3rdアルバムまでの3枚のアルバムであるが、これら初期の作品は、プロデューサーである Jolley & Swain のカラーが強く比較的ブリティッシュロックなサウンドで構成されており、ユニゾン形式のシンプルでストレートなヴォーカルも手伝って、全体に派手さはなく単調な印象のアルバムとなっている。

そんな地味目なアルバムに比べて、「Venus」のような華やかで陽気なイメージが強いいわゆる「売れ筋」アルバムが今回紹介した「Wow!」であり、中でも大ヒットしたのがユーロビート黎明期の名曲「I Heard a Romour」である。当時飛ぶ鳥を落とす勢いのイギリスの音楽プロデューサーチーム Stock Aitken Waterman(SAW)として知られる Mike Stock, Matt Aitken and Pete Waterman プロデュースによるこの楽曲は、いかにも SAW なダンサブルなユーロビートな楽曲で、今でも80年代のディスコサウンドを特集したコンピレーションアルバムには欠かすことができない楽曲となっている。もちろんアルバム自体も SAW が全面的にプロデュースを手掛けたこともあって、全編ユーロビートカラーに染まったディスコフリーク必聴のアルバムに仕上がっている。

ただし、必ずしもディスコミュージックに特化したアルバムというのではなく、ダンスミクスなユーロポップアルバムといった体裁となっており、SAW 特有の厚めで切れのあるビート&リズムは健在ながら、総体的にはダンサブルなディスコサウンドとは若干趣きが異なるため、全曲「I Heard a Romour」のイメージを期待して購入される場合は気を付けていただきたい。

なお、個人的にはラストトラックの「I Want You Back」をぜひお薦めしたい。こちらもいかにも SAW らしい乗りの良い一曲で、メロディセンスに関しては「I Heard a Romour」を上回る出来ではないかと感じるディスコティックな楽曲である。

現在もデュオとして活動を続ける Bananarama であるが、サウンド的にもディスコ時代の潮流に乗ったクラシックメンバーによる最後のアルバム「Wow!」こそが、Bananarama の最高傑作と言えるのではないだろうか。バブリーなディスコを謳歌した世代にとって忘れることができない思い出の一枚である。

▼ Bananarama
左から Keren Woodward、Siobhan Fahey、Sara Dallin
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Bananarama(バナナラマ)は、友人であった Sara Dallin、Siobhan Fahey、Keren Woodward の女性3人により1979年にイギリスのロンドンで結成されたポップミュージックのヴォーカルグループである。ポップとダンスの両チャートで成功を収め、世界の女性グループの中で最もヒットチャートにエントリーされたグループとしてギネスブックにも登録されており、その記録は未だ破られていない。
1981年にシングル「Aie a Mwana」でデビュー。以降、1982年の「It Ain't What You Do...」、「Really Saying Something」、「Shy Boy」、1983年の「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」、「Cruel Summer」、1984年の「Robert De Niro's Waiting...」、1987年の「Love in the First Degree"」など UK Top 10 入りシングル計10曲を世に送り出した。一方アメリカでは、1986年に「Venus」で U.S.Billboard 100 第1位を獲得したのを始め、1983年から1988年の間に1984年の「Cruel Summer」 、1987年の「I Heard a Rumour」を含む計11シングルが U.S.Billboard Hot 100 入りを果たしている。

Bananarama は、アメリカにおいてケーブル音楽チャンネル MTV によってもたらされた「Second British Invasion(第二次イギリス音楽の侵略)」として捉えられており、1988年に「Love in the First Degree」が、UK版グラミー賞とも称されるイギリス最高峰の音楽授賞式 The Brit Award の Best British Single にノミネートされる一方、1987年リリースの4thアルバム「Wow!」がオーストラリアの ARIA Albums Chart 第1位を獲得。また同1988年、1971年の The Supremes のヒットシングル「Nathan Jones」のカヴァー曲のミュージックビデオが Brit Award にノミネートされた。

1988年に Siobhan Fahey が脱退した後、Jacquie O'Sullivan が加入。その後脱退するまでの3年間に「I Want You Back」 (1988) や「Help!」 (1989)など UK Top 10 入りするヒットシングルを生み出した。こうしたチャート上の成功に加え、殆どのヴォーカルグループがハーモニー形式で歌う中、3人が同じ旋律を歌うユニゾン形式で歌うという珍しいスタイルを取っていたことでも知られている。

Jacquie O'Sullivan 脱退後の1992年から、Sara Dallin と Keren Woodward はデュオとして Bananarama を継続し、1992年に「Movin' On」、1993年に「More, More, More」をヒットさせる。 また2005年には、シングル「Move in My Direction」で1991年以来となる UK Singles Chart Top20 入りを果たすなど、1982年から2009年の間に UK Singles Chart Top 50 に28曲のシングルをチャートインさせるという偉業を達成している。

▼ Bananarama
左から Keren Woodward、Sara Dallin、Siobhan Fahey
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Bananarama は、1979年 Siobhan Fahey(シヴォーン・ファーイ)、Keren Woodward(カレン・ウッドワード)、Sara Dallin(サラ・ダリン)により結成。Keren Woodward と Sara Dallin の二人は イギリス西部の港湾都市 Bristol に住んでいた4歳の頃からの幼馴染みで、共に St. George's School の女子部に進学。その後 Sara Dallin が University of the Arts London(ロンドン芸術大学)の中のカレッジの一つでイギリス国内唯一のファッションに特化したカレッジ London College of Fashion でファッションジャーナリズムの勉強をしている時に Siobhan Fahey と出会い、他の学生より過激なファッションであったことから意気投合して3人は友人となる。1970年後期から80年前期にかけてのパンクやポストパンクに傾倒し、The Monochrome Set、Iggy Pop、The Jam、Department S、The Nipple Erectors などのバンドコンサートなどでバックヴォーカルとして活動する。

1981年、Bananarama のメンバーが元 Sex Pistols の Steve Jones と Paul Cook が使っていたリハーサル室の上の部屋に住んでいたことがきっかけとなり、彼らの援助を受けて1stデモテープ「Aie a Mwana」を制作。このデモテープが Demon Records の目に留まりデビューシングルとしてリリースに至る。このシングルがきっかけとなって Decca Records(後の London Records)と契約、1993年まで所属することになる。

この時期、グループのマネージメントを請け負ったが Sex Pistols や Bow Wow Wow のマネージャーで数々のスキャンダルで悪名高き Malcolm McLaren であった。Malcolm McLaren はセクシーで挑発的な新曲を提案したが、グループが持っていたおてんばで実直なイメージには合わなかったため、新曲と共に Malcolm McLaren はマネージャーをお払い箱となった。

1stシングルリリース後、イギリスのファッション誌「The Face」が掲載したグループに関する記事がイギリスの2トーンバンド(白人黒人混成バンド)The Specials のメンバー Terry Hall の目に留まり、彼の新しいヴォーカルグループ Fun Boy Three と「It Ain't What You Do It's The Way That You Do It」でコラボしないかと提案され、Fun Boy Three with Bananarama 名義でリリース。1982年、UK Singles Chart 第4位を記録するヒットとなり、Bananarama にとっても重要な意味を持つメインストリームにおける最初の成功となった。ちなみにこれが縁で Fun Boy Three は、後に Bananarama のカヴァーシングル「Really Saying Something」にバックヴォーカルとしてゲスト参加している。

1982年から1989年にかけて、イギリスの有名プロデューサーデュオ Jolley & Swain(Steven Nicholas Jolley and Tony Swain)がプロデュース・楽曲共作した1stアルバムから3rdアルバムまで3枚のアルバムをリリースし、キャリア上最も大きな成功を収める。

1983年のデビューアルバム「Deep Sea Skiving」(UK 第7位、US 第63位)からは、「Really Saying Something」(UK 第5位)、「Shy Boy」(UK 第4位)、カヴァー曲「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」(UK 第5位)とヒットシングルを連発。また1982年後期には、イギリス映画「Party Party」のサウンドトラックに The Sex Pistols の「No Feelings」のカヴァーヴァージョンを提供している。

▼「Deep Sea Skiving」1stアルバム
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こうして母国イギリスで人気を博す一方、アメリカではカレッジラジオ(大学のキャンパスを中心とした狭いエリアの中で学生向けの放送を行うラジオ局)や初期の MTV 出演などカルト・アングラ系でのヒットに留まりなかなか芽が出なかったため、1982年から1983年にかけてアメリカのマスコミ向けにプロモーションを行い、テレビ音楽番組にも積極的に出演する。こうした活動が功を奏して、1984年中頃、ようやく「Cruel Summer」が U.S.Billboard Hot 100 第9位とヒットを記録。

1984年、Jolley & Swain プロデュースによる UK Album Chart 第16位、U.S.Billboard 200 第30位を記録した2ndアルバム「Bananarama」は、より社会性を意識したアルバムとなった。これは、グループが真摯に音楽に取り組むグループとして認められたいと望み、より重い課題に焦点を当てた楽曲を作曲するようになったためであり、例えば UK Singles Chart 第58位を記録した「Hotline To Heaven」は、ドラックはイカしているという文化的風潮を否定した楽曲、UK Singles Chart 第23位を記録した「Rough Justice」は、社会的無関心を扱った楽曲となっている。この他にも「Robert De Niro's Waiting...」(UK 第3位)やグループ初の U.S.Billboard Hot 100 Top 10 入りを果たした「Cruel Summer」(UK 第8位、US 第9位)を収録。「Cruel Summer」は、1984年の映画「The Karate Kid」(邦題:「ベスト・キッド」)の中でも使用されている。また「The Wild Life」(US 第70位)は、1984年の同タイトル映画「The Wild Life」のためにレコーディングされた楽曲でもある。

同年、エチオピアで起こった飢餓を受けて発足したチャリティー・プロジェクト Band Aid によるシングル曲「Do They Know It's Christmas?」に参加。なお Bananarama は、1989年の Band Aid II の両プロジェクトに参加した唯一のアーティストとなっている。

▼「Bananarama」2ndアルバム
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1985年はグループにとって大きな活動実績はなく、次の展開への過渡期の年となる。そんな中でも London Records からリリースした「Do Not Disturb」が UK Singles Chart 第31位を記録し、グループに対する世間の注目度が以前高いことが示めされた。

1986年、1stアルバムからプロデュースを手掛けてきた Jolley & Swain プロデュースによる3rdアルバム「True Confessions」をリリースし、UK Albums Chart 第46位、U.S.Billboard 200 第15位を記録。このうちイギリスの音楽プロデューサーチーム Stock Aitken Waterman(SAW)として知られる Mike Stock, Matt Aitken and Pete Waterman プロデュースによるシングルカット曲「Venus」が、世界中のヒットチャートでナンバー1となる大ヒットとなる。「Venus」は、SAW の特徴であるユーロビート調のダンスビートが印象的なポップナンバーで、Bananarama の新境地を切り拓いてグループの代表曲となった。なお Bananarama は、プロデュースを任せる前から SAW が手掛けた Dead or Alive の「You Spin Me Round (Like a Record)」の大ファンでもあった。

更にメンバーがデビル、フランス妖婦、吸血鬼、ギリシャ神話の女神など様々なコスプレを披露したミュージックビデオが、アメリカのケーブル音楽番組 MTV で盛んに放映されて話題となり、活動初期のおてんばなイメージとは対照的なグラマラスでセクシーな大人なイメージに転換するきっかけとなる。ちなみにこのビデオ出演で好評を得てその後 Bananarama のバックダンサーを務めることとなった Toy-Boys の初出演作ともなっている。

続くシングル「More Than Physical」(UK 第41位)と「A Trick of the Night」(UK 第32位)は、メンバーの Keren Woodward が長男を妊娠したため、アルバムやシングルのプロモーション活動がほとんど行えず、売上は低迷した。

▼「True Confessions」3rdアルバム
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その後マスコミ向けの広報のためニューヨークに滞在中、映画「The Secret of My Success」のために、Siobhan Fahey がリードヴォーカルを担当し、Daryl Hall がプロデューサーを務めたことで注目を集めた「Riskin' a Romance」をレコーディング。同時期、UK での次作となる「More Than Physical」と「A Trick of the Night」も再レコーディングも行っている。

「Venus」のヒットの余韻が続く1987年、メンバーが全曲を作曲・共作した意欲作の4thアルバム「Wow!」(UK 第26位、US 第44位)をリリース。「Venus」のヒットを受け、グループのサウンドがダンス指向のユーロポップへと傾倒したため、アルバムプロデューサーも、それまでの Jolley & Swain から SAW に変更となった。こうしてアルバム「Wow!」は、1988年6月にオーストラリアの ARIA Albums Charts で第1位を獲得する。

収録曲の中でも「I Heard a Rumour」(UK 第14位、US 第4位)は、世界的な太ヒット曲となり、「Venus」と並ぶグループの代表曲となった。また「Love in the First Degree」が、UK Singles Chart 第3位と本国イギリスで大ヒットするとともに、フルーツと半裸の男たちで一杯になったミルク風呂にメンバーが入るというミュージックビデオが物議を醸して話題となったディスコ指向の「I Can't Help It」が、UK Singles Chart 第20位とマイナーヒットを記録した。

この「I Can't Help It」がリリースされた1988年初期の頃、1987年に Eurythmics の Dave Stewart と結婚(1996年に離婚)していた Siobhan Fahey が、プロデューサーである SAW からグループが受けていた指示に幻滅しグループを脱退してしまう。彼女は幼い頃からの親友であった他の2人のメンバーから疎外され、もはや彼女たちに必要とされていないとも感じていた。なお、1988年2月の The Brit Awards で歌った「Love in the First Degree」が、Bananarama としての Siobhan Fahey の最後のパフォーマンスとなった。グループを脱退した Siobhan Fahey は、1989年に Marcella Detroit とポップデュオ Shakespears Sister を結成し、1993年に The BRIT Award を受賞している。

▼「Wow!」4thアルバム
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Siobhan Fahey 脱退後、メンバーとは18歳と時からの知人で The Shillelagh Sisters の元メンバーであった Jacquie O'Sullivan が加入。1988年にアルバム「Wow!」の収録曲であった「I Want You Back」(UK 第5位)と The Supremes のカヴァー曲「Nathan Jones」(UK 第15位)を Jacquie O'Sullivan で再レコーディングする。また、1988年リリースのベストアルバム「Greatest Hits Collection」(UK 第3位)から「Love, Truth and Honesty」(UK 第23位)をリリースする。同じ時期、Bananarama は、全ての女性グループの中で歴史上最もチャートにエントリーされたグループとしてギネスブックの世界記録に登録されており、この記録は現在も破られていない。

1989年、イギリスのチャリティー団体 Comic Relief のための基金調達チャリティーシングルとして、The Beatles の「Help!」のカヴァーシングルをイギリスの女性コメディーデュオ French and Saunders と仲間のコメディアン Kathy Burke が結成したパロディーガールズグループ Lananeeneenoonoo と共にリリースし、UK Singles Chart 第3位を記録。同年、グループとして初の世界ツアーを実施する。

1991年、Youth こと Martin Glover、Shep Pettibone、Jolley & Swain の Steve Jolley など様々なプロデューサーが参加した5thアルバム「Pop Life」をリリースし、UK Albums Chart 第42位を記録。彼らのプロデュースにより、アルバムはレゲエやフラメンコギターやアシッドハウスなど幅広い音楽ジャンルを取り込んだ充実した作品となった。こうして「Pop Life」は、今までのアルバムの中でも最も力強く、ポジティヴな評価を得たが、リリースレーベルである London Records は、シングルカットした「Only Your Love」(UK 第27位)、「Preacher Man」(UK 第20位)、The Doobie Brothers のカヴァー曲「Long Train Running」(UK 第30位)が、いずれもかつてのように Top 10 入りを果たすことができなかったことを理由にプロモーションを限定したため、ラジオで楽曲が流されることはほとんどなかった。このためアルバムから第4弾シングル「Tripping on Your Love」(UK 第75位)がリリースされた後、長年マネージャーを務めた Hillary Shaw が Kim Appleby のマネージャーに転身、新メンバーであった Jacquie O'Sullivan も新たに Slippery Feet を結成するためグループを脱退してしまう。

▼「Pop Life」5thアルバム
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1992年、Keren Woodward と Sara Dallin は、デュオとして活動を再開。デュオ第一弾先行シングル「Movin' On」が UK Singles Chart 第24位を記録するヒットとなる。1993年、SAW のメンバー Stock and Waterman が再びプロデュースを務めた6thアルバム「Please Yourself」をリリース。リードシングルのタイトル「Movin' On」は、「吹っ切れ」という意味を持っているが、皮肉にもアルバムは、Andrea True Connection の「More, More, More」のカヴァー曲(UK 第24位)に代表されるように、以前のユーロディスコサウンドに回帰した内容となった。そうしたことも災いしてか、第2弾シングル「Last Thing on My Mind」は、UK Singles Chart 第71位と失速し、結果的にこのアルバムが、London Records からリリースした最後のアルバムとなった。

▼「Please Yourself」6thアルバム
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1995年、新たに日本の音楽レーベル Avex Trax から7thアルバム「Ultra Violet」(日本盤タイトルは「I Found Love」)をリリース。アルバムからは「I Found Love」、「Every Shade of Blue」、「Take Me to Your Heart」の3曲が、本国イギリスを除くヨーロッパ諸国、北アメリカ、日本。オーストラリアでのみシングルリリースされる。

▼「Ultra Violet」7thアルバム
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1998年、10年振りに Siobhan Fahey とグループを再結成し、イギリスの公共テレビ局 Channel 4 のEurovision Song Contest 記念番組「A Song for Eurotrash」のために ABBA の「Waterloo」のカヴァーをレコーディングする。ただし、あくまで番組のための1回限りの再結成で正式な復帰ではなかった。

2001年、The M6 Interactions Label から Pascal Caubet や Sara Dallin の恋人であった Bassey Walker らとコラボレイトした8thアルバム「Exotica」をフランス限定でリリース。アルバムは、グループの初期のヒット曲の再編集ヴァージョンやダンスミュージックの影響を受けたラテンや R&B サウンドなどバラエティに富んだ内容となった。シングルリリースはプロモーション用として、Keren Woodward の恋人で Wham! のメンバーである Andrew Ridgeley が共作した Wham! のバラッド「Careless Whisper」のカヴァーと「If」2曲のみで、「If」は高評価を得たもののチャート的には失敗に終わった。

▼「Exotica」8thアルバム
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紆余曲折がありながらも Bananarama は2002年までに世界中で4千万枚のレコードを売り上げた名実ともにメジャーなグループとなる。同年、イギリスで2枚目となるベスト盤「The Very Best of Bananarama」をリリースとともに、Sky TV の番組「Is Harry on the Boat?」 のために「Love Him, Leave Him, Forget Him」を、また、ドイツのディスコプロジェクトのために「U R My Baby」をレコーディング。さらに Siobhan Fahey を特別ゲストに迎えて、ロンドンのコンサートホール London Astoria で3千人の観衆を前にグループ初ヒットから20周年記念コンサートを実施した。

2005年、Solassoが Bananarama の初期の楽曲「Really Saying Something」をリミックスし、クラブで大ヒットするなど、1980年代レトロブームに乗ってイギリスのダンスチャートを賑わせたが、本家としてのレーベルからのレコードリリースは棚上げにされた。そうした中、ようやく7月になってニューシングル「Move in My Direction」がリリースされ、イギリスの国営ラジオ局 Radio 2 や多くのローカルラジオ局のサポートもあって UK Singles Chart 第14位とヒットを記録し、この楽曲はグループとして UK Singles Chart Top 40 入りした24曲目の楽曲となり、また、1991年のシングル「Preacher Man」以来の UK Singles Chart Top 20 入りのヒット曲ともなった。しかし、続くシングル「Look on the Floor (Hypnotic Tango)」は、最高第26位と振るわず、この2曲を収録した9thアルバム「Drama」も、UK Albums Chart 第169位と惨敗に終わる。

アルバム「Drama」は、2006年5月に14年ぶりにアメリカでもリリースされ、「Look on the Floor (Hypnotic Tango)」の輸入盤が U.S.Billboard Hot Dance Club Songs Chart 第2位、Hot Dance Airplay Charts 第5位を記録。1992年に「Tripping on Your Love」が U.S.Hot Dance Club Play 第14位を記録して以来のアメリカでのメジャーヒットとなった。また、続くシングル「Move in My Direction」も U.S.Hot Dance Club Play 第14位を記録するヒットとなった。

▼「Drama」9thアルバム
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2009年9月、Fascination Records から Ian Masterson プロデュースによる10thアルバム「Viva」をリリースし、UK Album Chart 第87位を記録。第1弾シングル「Love Comes」は UK Singles Chart 第44位、2010年4月リリースの第2弾シングル「Love Don't Live Here」は UK Singles Chart 第44位とチャートを賑わせることはなかった。

▼「Viva」10thアルバム
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2010年12月、Ian Masterson プロデュースによるクリスマスソング「Baby It's Christmas」をリリース。 UK Indie Singles Chart 第19位を記録するもののメインチャートである UK Singles Chart は第199位に終わる。

現在も音楽活動を継続しており、コンサートや各種イベントに参加するなど精力的に活躍している。
(出典:「Bananarama」(19 October 2016 17:45 UTC) 『Wikipedia英語版』)

▼ Bananarama(2期目)
左から Jacquie O'Sullivan(お美しい…)、Keren Woodward、Sara Dallin
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■ 現在のメンバー
・Karen Woodward(カレン・ウッドワード):1961年4月2日生、イングランド・ブリストル出身。
・Sara Dallin(サラ・ダリン):1961年12月17日生、イングランド・ブリストル出身。

<旧メンバー>

・Siobhan Fahey(シヴォーン・ファーイ):1958年9月10日生、アイルランド・ダブリン出身。
・Jacquie O'Sullivan(ジャッキー・オサリバン):1960年8月7日生、イングランド・ロンドン出身。

▼ 近年の Bananarama
左から Sara Dallin、Karen Woodward
画像



*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「Bananarama」を素材として二次利用しています。


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香山蔵之介

Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
Life is music. Music is life.
Let's enjoy music for your wonderful life.

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