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2020-05

あいちトリエンナーレ2016 「豊橋地区」

あいちトリエンナーレ2016 ‐名古屋地区‐■ アートデータ
展覧会名:あいちトリエンナーレ2016
会場:豊橋市内のまちなか
会期:2016年8月11日(木・祝)‐10月23日(日)
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会

アート総評価:60


■ アート雑感 - あいちトリエンナーレ2016 「豊橋地区」

現在開催中の「あいちトリエンナーレ2016」は、2010年から3年ごとに愛知県で開催されている国際芸術祭である。これまで「名古屋地区」と「岡崎地区」の2会場について御紹介してきたが、最後に御紹介するのは、第3回目となる今回初めて会場に加わった「豊橋地区」である。なお、豊橋地区は、岡崎地区と合わせて一日がかりで周ったため、体力的にはかなりきつい鑑賞行程となった。

豊橋市は、太平洋や三河湾などの豊かな自然に恵まれ、まちなかには、市民の足として親しまれている路面電車が走る風景がある、愛知県の南東部に位置する人口約38万人の東三河地方の中心都市である。名古屋からは名古屋鉄道の特急電車で約1時間、東海道新幹線では2駅目にあたることから、名古屋在住者からすると静岡寄りの非常に遠いまちという印象が強く、トリエンナーレ会場にもプチ旅行感覚で訪れた次第である。

さて、豊橋地区の展示会場も、美術館ではなく「まちなか」にある個性的な雑居ビル群が活用されており、そうした日常と現代美術という非日常が重なり合うことで、非常にユニークなアート空間が演出されており、他の会場と比べても一味違った展示が展開されていた。

特に「水上ビル会場」はなかなかの異空間で、まちなかを流れる用水路上に建てられた長さ約800メートルの細長い商店街ビル、通称「水上ビル」の空き店舗で展示が行われており、路面に連なる場末の商店街とその中に点在する展示スペースのコントラストが妙にチープかつレトロで、そんな時を逆行したかのような錯覚に陥る不条理な空間を体験できただけでも、わざわざ豊橋まで足を運んだ甲斐があったというものだ。

そんな「水上ビル会場」で一際目を惹いたのが、Laura LIMA(ブラジル)の《Fuga(Flight)》という作品である。

空き家となった4階建ての雑居ビルの1階から屋上まで一棟を丸ごと一つの大きな鳥カゴに見立て、屋上と1階に金網を設置して鳥が逃げ出さないようにするとともに、各階の空間に止まり木等のオブジェを配して小鳥を100羽放し飼いにするという驚きのインスタレーションである。その作品コンセプトはいざ知らず、実際に生きた小鳥が飛び交う巨大な鳥カゴの中に人と小鳥が共存する様は、まさに異次元な空間演出であった。

生き物を取り入れたアートを見たのは「アート・アクアリウム」以来であったが、あいちトリエンナーレ2016の公式HPを見ると、こうした展示に対して物申す人も少なくないようで、主催者も小鳥の取扱いにはかなり気を配っているようだ。自分の場合は小鳥のえさや具合など気にも留めなかったが、様々な意見や感想が出るところも常人の考えが及ばない現代美術ならではといったところだろうか。

他にも「豊橋駅前大通会場」にある開発ビルは、実際にオフィスや飲食店などが入居するビルの中で展示が展開されており、各階のフロアを渡り歩く感覚は、あたかも迷路に迷い込んだようで面白く、各フロアの展示スペースも意外に広くて、他の会場に比べて余裕を持った空間演出が展開されていたようだ。中でも光と風を巧みに取り入れた 久門剛史(日本)の作品は、その景観自体が写真のように感じられて目を見張るものがあった。

豊橋地区については、総体的に小規模な会場が多く、作風自体もシンプルでほの暗い空間に設置された暗いトーンの作品が多かったせいか、他の地区と比べても「付け足し感」が強く、残念ながら見劣りがしてしまった。

今回全ての展示会場を巡ることができたが、展示エリアを拡大したことで、作品を特定の地区に集約して展示することにより生まれる圧倒的な威圧感というものが希薄になり、第1回に比べても濃密な“mass”としての魅力が薄れてしまったように感じた。

あいちトリエンナーレは愛知県の公的な文化事業であるため、県内の地域的なバランスを考慮する必要があるのかもしれないが、闇雲にエリアを拡大することが必ずしも文化芸術の振興に繋がるとは限らないのではないだろうか。大規模な国際芸術祭としての質量を保ち続けるためにも、会場となる地区の拡大については、より一層慎重に考えていただきたいものである。

■ 豊橋駅前大通会場「開発ビル」

▼ 石田 尚志(日本)
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▼ 佐々木 愛(日本)
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▼ 岡部 昌生(日本)
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▼ Gulnara KASMALIEVA & Muratbek DJUMALIEV(キルギス共和国)
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▼ 久門 剛史(日本)
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▼ Khalil RABAH(パレスチナ)
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■ 豊橋駅前大通会場「水上ビル」

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▼ Yornel MARTfNEZ(キューバ)
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▼ Laura LIMA(ブラジル)
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■ PLAT会場「穂の国とよはし芸術劇場PLAT」

▼ Joao MODE(ブラジル)
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▼ 大巻 伸嗣(日本)
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■ 開催概要
<テーマ>
虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅(Homo Faber: A Rainbow Caravan)
<芸術監督>
港 千尋
<会期>
2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)[74日間]
<主な会場>
愛知芸術文化センター
名古屋市美術館
名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)
豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)
岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)
<事業展開>
現代美術を基軸としながら、ダンスやオペラなどの舞台芸術も展開します。
まちなかでのパフォーマンスや作品展示等の展開により、賑わいを創出します。
幅広い層を対象とした普及・教育プログラムを展開します。
多様な主体との連携による様々な事業を展開します。
県内での広域展開を図り、より多くの方々に現代芸術に触れていただける機会を創出します。
<主催>
あいちトリエンナーレ実行委員会


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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