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2020-05

あいちトリエンナーレ2016 「名古屋地区」

あいちトリエンナーレ2016 ‐名古屋地区‐■ アートデータ
展覧会名:あいちトリエンナーレ2016
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、
名古屋市内のまちなか
会期:2016年8月11日(木・祝)‐10月23日(日)
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会

アート総評価:70


■ アート雑感 - あいちトリエンナーレ2016「名古屋地区」

先日、2016年8月11日(木・祝)から10月23日(日)までの74日間、愛知県で開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」名古屋地区の各会場を訪れた。

会期中盤の平日、しかも雨のち曇りというあいにくの空模様であったが、いずれの会場もそこそこ混雑しており人気を博しているようだ。

「あいちトリエンナーレ」(Aichi Triennale)は、愛知県で2010年から3年ごとに開催される国内最大級の現代アートの祭典である。

3回目となる今回は、2007年にヴェネツィアビエンナーレ国際美術展日本館のコミッショナーも務めた多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授の港千尋氏を芸術監督に迎えて開催。この芸術監督のコンセプトと芸術祭として掲げるテーマが毎回トリエンナーレ全体のカラーに大きく影響しているようで、今回も過去2回のトリエンナーレとは大きく趣きを異にしているように感じた。

今回のテーマは「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」(Homo Faber:A Rainbow Caravan)。常に未知への、好奇心による無限の探求のかたちをとる、創造しながら旅(キャラヴァン)を続ける人間、というコンセプトらしい。ちなみに「キャラヴァンサライ」とはペルシア語で、隊商宿を意味するということで、広い中庭には厩や倉庫や取引所があり、二階に宿泊所を設けた立派なもの。キャラヴァンが旅の疲れを癒す休息の場所でもあるとのことである。

昨今、瀬戸内国際芸術祭(香川県)や大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(新潟県)など全国的にも国際的なアートフェスティバルが盛んであるが、専ら地域の活性化を主目的とする地方芸術祭が多い中、あいちトリエンナーレの場合は、新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献することを開催目的に掲げ、現代美術を基軸としながら、ダンスやオペラなどの舞台芸術も展開するとともに、名古屋の繊維問屋街である長者町界隈などの「まちなか」でのパフォーマンスや作品展示等を展開して賑わいを創出することを特色としており、美術、映像、音楽、パフォーマンス、オペラなど、現代行われている芸術活動を「複合的」に扱う稀有な国際芸術祭とのことである。

今回は「創造しながら旅を続ける人間」というテーマに沿ってだろうか、前回の名古屋地区、岡崎地区に新たに豊橋地区が加わるなど、会場が県内広域に拡大したため、1日で全ての地区を渡り歩くことは不可能となった。そのため今回は、とりあえず1日かけて名古屋地区の会場を集中的に鑑賞することとした。

とはいっても名古屋地区だけでも拠点施設である愛知芸術文化センターを始め、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)と会場が市内に分散しているため、肉体的にもかなりハードな美術鑑賞となった。

まちなか会場となった長者町と栄は、ともに名古屋市中区に位置するオフィス街・繁華街で、特に長者町は繊維問屋街として独特の雰囲気を持つ地区である。こんな機会でもなければまず訪れることはないエリアで、しかもレトロで怪しげな雑居ビルの中に作品が展示されており、あいちトリエンナーレならではのまちなか展開により、まさに探検隊の気分でワクワクしながら各会場を周ることができた。こうしたまちなかを巡る展示手法は、もしかすると今流行の「ポケモンGO」に通じるところがあるかもしれない。

▼ 名古屋地区の拠点施設「愛知芸術文化センター」
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ただ、メイン会場となる愛知芸術文化センターを有する名古屋地区ということで大掛かりな魅せる作品を期待していたのだが、思ったよりもそうした作品は少なく、過去2回に比べると非常にこじんまりとまとまった印象を受けた。

現代美術の場合、絵画で評価されるような色彩の美しさという概念が通じないところがあるため、その分作品の形状・規模のインパクトや発想・着眼の意外性など、見るものを圧倒するような現代美術らしいパワーやワンダーを期待していたのであるが、残念ながらそうした感覚をダイレクトに刺激するような作品は少なかったというのが正直な感想である。

初回の「あいちトリエンナーレ2010」で感じられた現代美術の持つ突き抜けた迫力や華やかな祝祭感、第2回の「あいちトリエンナーレ2013」で感じられたアーキテクチャーな規模感や壮大感は感じられず、今一つ刺激に欠ける淡白な印象といったところだろうか。よく言えばノーマルで落ち着いた作品が多いということなのだが、回数を重ねた国際芸術祭としては物足りなさが残った感は否めない。

特に名古屋市美術館は、展示作品数が少ないのに加えて、アーティストの創造性やハートビートが伝わってくる作品が少なかったと感じた。よく言われるところの現代美術の持つチープさが際立ってしまっていたようで、白川公園内にあるという名古屋市美術館の立地特性や1階から2階へと連続する導線を有する施設環境も十分に活かされてはいなかった。

言うまでもなく芸術に対する価値観は実に多様である。また芸術作品は個性豊かなアーティストの自己表現の手段であり、極めて利己的なものでもあるため、その評価も一律ではないだろう。特に抽象画以上に評価が定まらない現代美術は、観る人によって作品の印象や評価が大幅に異なると思われる。

ただ、名古屋地区で散見されたあたり一面にごみや廃材を配置(散らか)した空間を作品とするような現代美術からは、アーティストの語る作品コンセプトはさておき、アーティストとしての経験や創作の積み重ねにより培われる芸術的な技巧や、創作上の労苦や葛藤の積み重ねにより纏うことができる独特の凄みといったものを感じることはできなかったし、美術鑑賞を趣味とする一人として、そうした作品を通してアーティストをリスペクトする気持ちにもなれなかった。過去のあいちトリエンナーレでも類似の作品を目にしたが、こうした作品を見るにつけ、非常に残念な気持ちになってしまうのである。まあ、これこそが現代美術と言われればそれまでであるが・・・。

そんな残念に思う作品も散見された名古屋地区ではあったが、もちろん現代美術のアーティストが持つ圧倒的な個性、インパクト、ワンダーを感じることができる作品も数多く展示されており、特に愛知県美術館の展示作品にはなかなかユニークなものが多かったと感じた。そんな訳で、名古屋地区を巡るのであれば、ぜひ愛知芸術文化センターを起点とすることをお薦めしたい。

なお、名古屋市美術館を除いて多くの作品が写真撮影可能であり、気に入った作品を比較的自由に撮影できたことは、非常にありがたかった。以下、iPhone 6 のカメラ機能で撮影した作品のうち印象に残ったものをいくつか紹介させていただくので、鑑賞の際の参考にしていただければ幸いである。

■ 愛知芸術文化センター会場

▼森北伸(日本)
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▼ LOCUS FABER TSUKULOCCA(日本)
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▼ Jerry GRETZINGER(米国)
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▼ Kawayan DE GUIA(フィリピン)
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▼ LIU Wai(中国)
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▼ Taloi HAVINI(パプアニューギニア)
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▼ 三田村 光土里(日本)
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▼ Mark MANDERS(オランダ)
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▼ 大巻 伸嗣(日本)
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▼ Valsan KOORMA KOLLERI(インド)
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▼ Ali SHERRI(レバノン)
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▼ 高橋 士郎(日本)
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▼ D&DEPARTMENT PROJECT(日本)
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■ 栄会場(旧明治屋栄ビル)

▼ 端 聡(日本)
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▼ 寺田 就子(日本)
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■ 長者町会場(吉田商事株式会社)

▼ Hassan KHAN(イギリス)
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■ 開催概要

<テーマ>

虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅(Homo Faber: A Rainbow Caravan)

<芸術監督>

港 千尋

<会 期>
2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)[74日間]

<主な会場>

愛知芸術文化センター
名古屋市美術館
名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)
豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)
岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)

<事業展開>

現代美術を基軸としながら、ダンスやオペラなどの舞台芸術も展開します。
まちなかでのパフォーマンスや作品展示等の展開により、賑わいを創出します。
幅広い層を対象とした普及・教育プログラムを展開します。
多様な主体との連携による様々な事業を展開します。
県内での広域展開を図り、より多くの方々に現代芸術に触れていただける機会を創出します。

<主 催>

あいちトリエンナーレ実行委員会


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