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2020-05

ザ・なつやすみバンド 「PHANTASIA」

ザ・なつやすみバンド 「PHANTASIA」■ アルバムデータ
タイトル:PHANTASIA
アーティスト:ザ・なつやすみバンド
リリース:2016年7月20日
レーベル:SPEEDSTAR RECORDS

アルバム総評価:95
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  ファンタジア  ★★★★★  
02  Odyssey★★★★★
03  FULL SWING!★★★★★
04  森のゆくえ(more deeply)★★★★★
05  O.V.L.U.V. part1★★★★☆
06  Donuts★★★★☆
07  GRAND MASTER MEMORIES          ★★★★★
08  lapis lazuli★★★★★
09  summer cut★★★★☆
10  O.V.L.U.V. part2★★★★★
11  蛍★★★★★
12  ハレルヤ★★★★★


■ 講評
今回紹介するアルバム「PHANTASIA」は、4ピースバンドである ザ・なつやすみバンド が2016年7月20日にメジャーレーベルである JVCケンウッド・Victor Entertainment の社内レーベル SPEEDSTAR RECORDS からリリースした3rdアルバムである。ライヴを重ねながら着実に知名度を高め、2016年7月20日付オリコン週間 CD アルバムランキングでは、過去最高となる初動第95位を記録している。

今作は、2015年3月4日リリースの初のメジャーレーベル作品となった2ndアルバム「パラード」から約1年4か月ぶりのリリースとなる。

夏の星空を思わせるジャケットのアートワークは、ザ・なつやすみバンド のこれまでの作品も手掛けているグラフィックデザイナー・イラストレーターの 惣田紗希 が担当しており、初回生産分のみ限定仕様(内装が幾何学的なシンプルデザインで実に凝っており、非常にアートな装丁)となっている。

また、今作では 中川理沙(Piano,Vocal)、高木潤(bass)、村野瑞希(drums)、MC.sirafu(Trumpet、steelpan)の現メンバーに加え、サポートメンバーとして、インストゥルメンタルバンド ja3pod の 関口将史(Cello)、親子コンサート等の活動を展開する音の家 otonoya 代表の 田島華乃(violin、Viola)、女性ラップグループの 嫁入りランド(Rap)、ソロプロジェクト CUBISMO GRAFICO やバンド CUBISMO GRAFICO FIVE として活動する 松田”chabe”岳二(Percussion)、吉田ヨウヘイgroup のメンバーでもあった 池田若菜(Flute)、LUCKY TAPES の作品にも参加している NAPPI(Trombone)、東京藝術大学で絵画を専攻したという異才 浅野達彦(Electric Guitar)の豪華ゲストを迎えるとともに、ドラムテックには空気公団のサポートドラマーとしても知られる オータコージ、エンジニアにクラムボンを始め数多くのミュージシャンのレコードエンジニアを務める 星野誠、アシスタントに 阿部真紀、マスタリングエンジニアにビクターのマスタリングエンジニア集団・FLAIR のメンバー 川崎洋 が参加している。

▼「PHANTASIA」
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今作には NHK 総合で放送中のドキュメントバラエティ番組「助けて!きわめびと」のエンディングテーマとして書き下ろされた新曲「森のゆくえ」など全12曲を収録。なお、この「森のゆくえ」は、多彩なコーラスワークやスティールパン、ホーンなどの華やかな音色が印象的なリードトラックとして iTunes Store、レコチョク、mora といった各音楽配信サイトにおいてアルバムの発売に先駆けて5月25日にハイレゾ音源も含め先行リリースされている。

▼「森のゆくえ」
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さらに YouTube において公開されている収録曲「Odyssey」のミュージックビデオは、「コップのフチ子」の原案や、「バカドリル」、「オッス!トン子ちゃん」で知られるマンガ家、映像作家の タナカカツキ が手掛けており、“宇宙の恋愛を描いた”という楽曲の世界をタナカカツキが表現したミュージックビデオには、ザ・なつやすみバンド のメンバーも様々なキャラクターで登場し、日常から飛び出した宇宙の世界がサイケデリックで美しく描かれている。

▼ ザ・なつやすみバンド
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2012年6月にインディーズレーベルからリリースされた1stアルバム「TNB!」は、実に衝撃的なアルバムであった。

ザ・なつやすみバンド は、そのバンド名のとおり、2008年4月に中川理沙(Vocal,Piano)を中心に“毎日が夏休みであれ!”という信念のもとに結成されたバンドであるが、自主制作ながらロングセールスを続けて話題となった1stアルバム「TNB!」では、バンド結成のコンセプト通り、郷愁を呼び起こす夏風の香りがする優しく爽やかなメロディと、夏休みの絵日記を思い起こさせる叙情的でセンチメンタルな歌詞、そしてピュアでハートウォームな 中川理沙 の素朴な歌声が渾然一体となって見事なほど夏休みな世界を作り上げ、そこにバンドサウンドの代名詞である MC.sirafu 奏でるスティールパンのトロピカルな音色が強烈な夏の海辺や街角に揺らめく陽炎のように幻想的な景色を演出して、子供の頃の原風景が一気に甦ってくるようで、私もすっかりザ・なつやすみバンドワールドの魅力に惹き込まれてしまったリスナーの一人である。

▼「TNB!」1stアルバム
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その ザ・なつやすみバンド が、メジャーデビューアルバムとして2015年3月に満を持してリリースしたが、2ndアルバム「パラード」である。

キーボードを始めメジャーデビューを意識した凝ったインストアレンジにより音の厚みが確実に増し、それぞれの楽曲からも堅実さが伝わってくるような腰の据わったアルバムで、前作「TNB!」に比べてサウンド的にも一皮むけた大人な印象の凝った作品となっている。

その一方で、「TNB!」で感じられたシンプルで柔らかなサウンドの持つ「旨味」は影を潜めて、緩さやまったり感が希薄になってしまったようで、サウンド本来の純朴な質感が微妙に変化してしまった印象を受けた。「TNB!」で感じられた ザ・なつやすみバンド らしい夏の季節感や、夏休みが残り少なくなった時に抱いた寂寥感や2学期が始まる時の後ろ髪を引かれる思いといったジュヴナイルな感傷が伝わってくる楽曲が、思いのほか少なかったように感じられたのである。

メジャーデビューという重圧の中で、メンバー曰く「流行の J-POP サウンドをかなり研究した。」ということであるが、そのことが結果として ザ・なつやすみバンド の持ち味であるノスタルジックで切ないイメージを想起させる独特なサウンドの香りを薄めてしまうことに繋がったのであれば、何とも残念なことである。

あくまで個人的な見解ではあるが、既成の概念に囚われない自由奔放な心の持ちようこそが、ザ・なつやすみバンドのサウンドが持つ「夏休みの余韻」を生み出す根源なのではないか・・・この「パラード」と「TNB!」を聴き比べて、改めてそうした思いを強くした次第である。

▼「パラード」2ndアルバム
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さて、そんな前作に対する印象もあって、3rdアルバム「PHANTASIA」を聴くまでは多少の不安もあったが、いざ聴いてみるとその出来栄えは実に素晴らしいものであった。

「TNB!」を彷彿とさせる幼い頃の夏休みを想い起こさせるノスタルジックな雰囲気を持った楽曲に溢れた、いかにも ザ・なつやすみバンド らしい、まさに1stアルバムへの「原点回帰」という言葉が相応しい内容で、優しさに満ちたハートウォームな中川理沙の歌声もその魅力を一段と増して、癖になる中毒性を持ったメロディアスな楽曲が見事にラインアップされたアルバムであった。

加えて2ndアルバム「パラード」で見せた凝ったインストアレンジはそのままに、その音の重層感が本来的なサウンドの「旨味」を損なうことなくメジャーアルバムに相応しい貫禄を与えているようで、「パラード」とは打って変わって楽曲とアレンジのバランスの程好さが、その「旨味」を増幅するスパイスのように一曲一曲のクオリティを高めているようにさえ感じられた。

中でも女性ラップグループの嫁入りランドをフィーチャーした #07「GRAND MASTER MEMORIES」は、今までにないアドリブ風の掛け合いが夏の校舎の雰囲気を見事に演出してバンドの新しい可能性を感じさせる、アルバムの中でも一番のお気に入り曲である。この楽曲が醸し出す、陽気で、切なく、ユーモア溢れる弾けるようなポップ感は極上で、ザ・なつやすみバンドの並外れたサウンドセンスを感じさせるピカイチの秀逸曲だ。

3rdアルバム「PHANTASIA」は、「TNB!」がよりメジャーな音になって甦ったようなアルバムで、これまでリリースした3枚のアルバムの中でも最もハイクオリティで上質な作品と感じた。一度聴けばきっとなつやすみバンドサウンドの虜になるに違いない、そんなスマッシュヒットを予感させる魅力に溢れたアルバムである。

▼ 中川理沙(Piano,Vocal)
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ザ・なつやすみバンドは2008年に結成された日本のバンドである。インディーズシーンで活躍していたが、2012年に自主制作された1stアルバム「TNB!」が口コミのみでヒットし第5回 CD ショップ大賞にメジャー作品と並んでノミネートされる。2015年には3月に2ndアルバム「パラード」を SPEEDSTAR RECORDS からだしメジャーデビューを果たす。メンバーチェンジを経て、現在はギターレスによる男女各2人による4人組編成となっている。

2008年4月に結成。バンド名には「毎日が夏休みであれ!」という信念、「聴いた人が現実逃避できるようなバンドにしたい」という想いが込められている。結成後、メンバーチェンジを経てライブを重ねる。

2010年、メンバーとして MC.sirafu が加入。MC.sirafu が担当するスチールパンやトランペットによるトロピカルなサウンドが加わり、バンドとしての個性が確立される。

2011年6月26日、サーキットイベント「Shimokitazawa Indie Fanclub 2011」に出演し、アルバムやシングルといった音源のリリースがないにも関わらず会場が入場規制となる。

2012年6月6日、自主制作アルバムとして1stアルバム「TNB!」を完成。ノンプロモーションであったが口コミのみでヒットを記録。さまざまなメジャー作品と並んで第5回CDショップ大賞にノミネートされる。

2013年7月3日、短冊8cmシングル CD「サマーゾンビー」をリリース。

2014年8月1日、4曲入りシングル「S.S.W(スーパーサマーウィークエンダー)」を期間限定で無料配信。

2015年3月4日、2ndアルバム「パラード」で SPEEDSTAR RECORDS からメジャーデビュー。「パラード」リリース記念として同年5月には東名阪のワンマン・ツアーが開催、同年8月から10月にかけて8都市8公演の全国ツアーを開催。同年 NHK「助けて!きわめびと」のメインテーマに「パラード」が使用され、8月にはNHK Eテレ「シャキーン!」とのコラボ曲「D.I.Y. ~どこまででもいけるよ」がオンエア。

2016年5月25日、iTunes Store、レコチョク、mora から配信限定「森のゆくえ」をリリース。
2016年7月20日、3rdアルバム「PHANTASIA」をリリース。同年7月24日、念願の FUJI ROCK FESTIVAL'16にも初出演。

(出典:「ザ・なつやすみバンド」(2016年5月26日 02:58 (UTC))『Wikipedia日本語版』他)

▼ ザ・なつやすみバンド
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■ メンバー(2015年時点)
・中川理沙(Piano,Vocal)写真:右
・高木潤(Bass)写真:中央右
・村野瑞希(Drums)写真:中央左
・MC.sirafu(Steelpan,Trumpet)写真:左

▼ ザ・なつやすみバンドのメンバー
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■ アルバムリリースノート
温かくも透き通った伸びやかな歌声、叙情的かつセンチメンタルな歌詞とメロディにはどこか懐かしさがあり、ピアノ・ベース・ドラム、そしてスティールパン・トランペットなども加わったアンサンブルは、トロピカリズモにも通ずる、ストレンジで癖になる唯一無二のサウンドを生み出しているバンド、<ザ・なつやすみバンド>!セカンド・アルバム『パラード』に続き、先行配信されているNHK総合『助けて!きわめびと』のテーマ曲としてオンエアの楽曲「森のゆくえ」も収録した、3枚目のオリジナルアルバム。- Amazon

▼ ザ・なつやすみバンド
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■ Music Video「Odyssey」
Music Video 監督:タナカカツキ



*この動画で使用されている音源は、動画をYoutubeにアップロードした Victor Entertainment が自ら制作したものであり、個人が収入(広告収入を含む)を得ずに運営するサイトへの貼り付けが許諾された音源です。

*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「ザ・なつやすみバンド」を素材として二次利用しています。


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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