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2020-05

城領明子 「サイレント」

城領明子 「サイレント」■ アルバムデータ
タイトル:サイレント
アーティスト:城領明子
リリース:2016年7月6日
レーベル:SEND RETURN RECORD

アルバム総評価:94


■ 曲目リスト
   №  曲          名評      価
01  サイレント  ★★★★★  
02  この愛はにせもの★★★★★
03  ハートブレイク★★★★★
04  優しい風★★★★★
05  グッドナイトを過ごしてよ          ★★★★☆
06  ごめんねララバイ★★★★★
07  どこ吹く風★★★★★
08  モンスター★★★★☆
09  サマータイム★★★★☆
10  今日に決めてよかった★★★★★


■ 講評
今回紹介するアルバム「サイレント」は、大阪を拠点に活動するシンガーソングライター 城領明子 が2016年7月6日にインディーズレーベルである SEND RETURN RECORD からリリースした2ndフルアルバムである。前作となる2013年5月22日リリースの1stフルアルバム「ロンリーロンリー」から約3年ぶりのリリースとなる。

ドラマーとして Alchemy Studio の Chief Engineer である北畑俊明を迎え、城領明子本人によるピアノとヴォーカル、そして 北畑俊明によるドラムスのみで構成された全10曲を収録しており、従来からのレコーディング手法を踏襲して今回も全ての楽曲を一発録りで収録したという意欲作である。

▼「サイレント」
画像



城領明子自身がアメリカの女性シンガーソングライター Laura Nyro や Rickie Lee Jones から大きな影響を受けているということで、そうしたサウンド指向が窺えるフォーク、ジャズ、ブルースなどの影響が濃い音楽性と独特の気だるいボーカルで、ジャズポップなサウンドの大人な雰囲気を漂わせるアルバムに仕上がっている。

また、ピアノとドラムスのみという至ってシンプルな楽器構成が奏でる一発録りの渾身ライヴサウンドもジャジーな楽曲によくマッチして、スタジオの張り詰めた緊張感が伝わってくるようだ。

特にピアノとドラムスのアンサンブルが素晴らしく、シンプルな楽器構成からは想像できない奥深く重厚なセッションにより、フルバンド演奏かと錯覚してしまうぐらい豊かで力強いアクレッシヴなサウンドを展開している。一方で、アルバム用の、しかもワンテイクのみということもあってか、非常に丁寧な演奏に終始しているようで、ライヴ盤が持つような雑味やエグ味はほとんど感じられない。

収録曲には、今回のアルバムジャケットのようにモノクロなサイレント映画のエンディングテーマを思わせる哀愁を帯びたバラッドが多く、これまたアルバムタイトルの如く寂寥とした静けさの中にも沸々としたエナジーを感じさせる不思議な引力を持ったトラックが揃っており、緩急織り交ぜた楽曲構成でエンドトラックまで一気に聴くことができる、城領明子のサウンドクリエーターとしての力量が感じられる魅力的なアルバムとなっている。

一方、城領明子は、こうしたサウンドの印象にはあまり似つかわしくないようなストレートでソリッドな歌声の持ち主である。いい意味で予想を裏切るその歌声は、余分なぜい肉を落としたボディのようにスリムでタイトな印象で、あたかも第三のインストのようにサウンドに張りを与えており、過度に情緒的でない分、聴き様によってはその微妙な気だるさが案外艶っぽくもあり、さりげなくアラフォーの魅力を発揮しているようだ。

ホーン系やストリングス系の楽器を一切使用しないことで、女性ジャズシンガーがリリースするようなアルバムとは一線を画す独特な雰囲気を醸し出しており、様々なカラーの楽曲群は、時にブルースのようでもあり、郷愁を呼び起こすようなどこか懐かしいメロディラインはアメリカンフォークのようでもある。そんなサウンドのミックス感が、本来ジャズポップが持つスタイリッシュでソウルフルな都会的雰囲気とは異なるメランコリックで不思議と懐かしい感覚を呼び起こす城領サウンドの持ち味を生み出す要因となっているのかもしれない。

加えて 城領明子の楽曲には、歌詞がシンプルがゆえにリスナーの想像力を掻き立てるような意味深なサッドソングが多いことも印象的で、聴くほどに深く考えさせる抒情詩のような歌詞が脳内に残響する。その象徴的な楽曲が、本人も代表作と語るアルバムのリードトラック「今日に決めてよかった」である。深読みし過ぎかもしれないが美しい描写とは裏腹に実は死へ旅立つ決意を唄った歌ではないかと勘ぐってしまうような歌詞で、アルバムの中でも特に印象に残った作品である。

この「今日に決めてよかった」は、ある意味、最も城領明子らしい楽曲ではないかと思っている。機会があればぜひ聴いていただきたい一曲である。

▼ 城領明子
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城領明子(じょうりょうあきこ)は、大阪を拠点に活動するシンガーソングライターである。

1997年、バンド「SLY TRIBES」を結成。関西を中心に活動を続ける中、1998年シングル「Baby Crime」で CD デビュー。その後、シンガーソングライターである Leyona のツアーで前座を務めるなど、精力的に活動。これまでに7枚の CD をリリースする。

2008年、「SLY TRIBES」のギタリストである神俊介が上京すると同時に、ソロに転向。同時期、プライベートでも一児の母となる。

2009年より「城領明子」としてソロ活動を本格的に開始。ソロとして SLY TRIBES とは違った世界観を作り出し、等身大の自分を表現する。城領明子として数々のコンピレーションアルバムに参加するなど、精力的に活動を展開する。

2011年10月10日、33歳で初のピアノ弾き語りでの録音、基本一発録りにより暖かみのある音を表現した 1st Maxi Single「大阪ニューヨーク」をリリース。発売以降、大阪の FM802 で流れるなど注目を集め、2012年の夏には1,200組を超える中から選ばれ、見事「サマーソニック2012」に出演。その後、HONDA の WebCM に「走れマイウェイ」が起用される。

▼「大阪ニューヨーク」1st Maxi Single
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2013年5月22日、1st Full Album「ロンリーロンリー」を全国流通発売。ドラムとピアノ弾き語りでの一発録りやアレンジ、ギター、コーラスに2曲「広沢タダシ」を迎えるなど、前回以上に洗練された城領明子の世界を表現している。

▼「ロンリーロンリー」1stアルバム
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2014年より弾き語りワンマンライブ「どこ吹く風。」をスタート。第一回目からこれまで全開演 Sold Out となる。それに伴い、同年に1stライヴアルバム「どこ吹く風。」を限定発売。

▼「どこ吹く風。」1stライヴアルバム
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2015年には「どこ吹く風。vol,4」を神戸の老舗ライブハウス「チキンジョージ」にて決行。150人を越える動員の中、大盛況で幕を下ろした。

2016年7月6日、3年ぶりとなる 2nd Full Album「サイレント」をリリース。全曲一発録り、Piano、Vocal、Drums のみで構成された全10曲収録。これまでにないほど生々しく、儚く、そして何よりも優しく聴く人の心に寄り添うような作品が完成。自身が尊敬してやまない「ローラニーロ」「リッキーリージョーンズ」等、今の時代にはないような空気感を見事に作り上げた。

▼「サイレント」2ndアルバム
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2016年9月1日、大阪市の重要文化財としても有名な「大阪市中央公会堂」にてリリースワンマンライブ「どこ吹く風。vol,7」が決定。一層の活躍が期待される。

(出典:「城領明子オフィシャルホームページ」他)

▼ 城領明子
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■ 城領明子による「サイレント」楽曲解説(「城領明子オフィシャルホームページ」から転載)

01.サイレント

この曲、実はこのアルバムの前に限定発売したライブ盤「どこ吹く風。1」にも収録されています。もともとは入れるつもりもなかったのですがこの曲の持つ雰囲気なんかが、今回のアルバムの全てのような気がして再度、レコーディングしなおしました。そしてついには、アルバムタイトルになってしまいました。私自身もなんの構えもなく、すっと湧き出た曲。静かな夜に心を澄ませるような。

02.この愛はにせもの
イントロのドラム!! この北畑さんのドラム。すっごくかっこよくて大好きです。はじめは変な曲で、あまり人気もなかったこの曲(笑)アレンジも変えて、今や押し曲にしてしまったくらいです。ライブでは、1人でやる勇気があまりないですが(笑)作った当初は、自分でもどうなってるのかわからず、完成するとも思いませんでしたが北畑さんが沢山ヒントをくれました。歌詞はグロテスクですが、まぁ、そんなこともあるでしょー?

03.ハートブレイク
実はこの曲もアレンジが途中から変わったんです。私が弾き語りでやるときには、また違ったアレンジでやっています。とってもシンプルな曲だけに、レコーディングでは手に汗をびっしょりかきました。その中でもこのテイクは、ほんと、奇跡のテイクでした。少ない音、沢山の隙間、同じ言葉。ある意味、私の中でチャレンジでした。

04.優しい風
何と言えばいいのでしょうか。この曲の説明は、ほんと難しい。何が言いたいでもなく、伝えたいでもなく、ただピアノを弾いているとできあがった曲です。皆さんにはどう聞こえるのでしょうか。

05.グッドナイトを過ごしてよ
この曲が出来たのは結構前で、ライブでも話したことがあったと思いますが実は、一度「ボツ」にした曲なんです。なんだかしっくり来なくて。でもスタジオで、何となく弾いていると、北畑さんが「その曲なに?」と聞いてきたので「いや~、ボツった曲なんですよ~」と答えました。すると北畑さんに「いやいや、メチャ良いやん。やらな」と言われ、もう一度復活させた曲なんです(笑)今となれば、なんでこの曲をボツにしたのかわからないくらい、ライブでも歌ってます。そして凄く気に入っています。いろんな方にこの曲の歌詞の意味を聞かれます。でもそれは、ひ、み、つ!!

06.ごめんねララバイ
できあがってから、結構な頻度でライブで歌っています。わかりやすい内容ですね。歌詞も、曲も。とってもストレートに作りました。なんのひねりもありません。歌うときも、感情を表に出しすぎないように気をつけて歌いました。レコーディングでは2テイクくらいで終了。やればやるほど濃くなるのがわかっていました。これでよかった。ちなみに、この曲だけピアノがちがうんですよ~。気付いたかな??

07.どこ吹く風
もう古い曲です。思い起こせば、この曲が出来てからワンマンをはじめたりライブ盤を出したりと、沢山の動きが出てきました。レコーディングでは、途中の部分でアコーディオンを入れていたのですが結局はやめました。ない方が気持ち悪かったから。そうしたのです(笑)おかしな理由ですが、それで良いのです。私って人は。皆さんもこれを聞いて不思議の国へ旅して下さいませ(笑)

08.モンスター
一番新しい曲です。このレコーディング中に作り出して、そのまま収録しました。いやー。苦戦しましたね~!! 私と北畑さん、何度この曲を演奏したことか(笑)あーでもない、こうでもない、と、何度も何度も頭を悩ませました。結果、OKが出た後に、やっぱり違うと言うことになりずっと前に録ったテイクに決定しました。私、こういうとこだと思うんです。このアルバムの良さって。素っ裸になった気持ちです。恥ずかし~!! けど、気持ちぃ~!! みたいな(笑)ピンクレディーのカバーではないのであしからず。

09.サマータイム
ムフフ~。な曲ですよ。大人の歌ですよね~。なんつって。この曲も実は古い曲ですね。ライブでやるといつもテンション上がってしまう一曲。確か作曲の時には、イントロから作っていたのでこんな曲になるとは自分も思ってなかったと思う。人生わからんものですね。

10.今日に決めてよかった
このアルバムのラストを飾るのはこの曲。もう知ってる人も沢山いますよね。昨年の10月、自身も実行委員として関わっているイベント「命の渚コンサート」で150枚限定でリリースしました。ただ、このアルバムに入っているバージョンはまた新しく録りなおしました。前のは前ので、凄く気に入っていたのですが今回のはまた違った良さがあるので良いです。この曲は、とてもファンの方々からも気に入っていただいて私も嬉しいです。ここ数年の私の代表作となったこの曲で最後を締めくくりました。

(出典:「城領明子オフィシャルホームページ」

▼ 城領明子
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■ アルバムリリースノート
これまでに、サマーソニック出演や HONDAwebCM 楽曲提供など幅広く活動を 続けてきた大阪の実力派 SSW、城領明子の待望の 3rd album がついに完成!! 2nd album『ロンリーロンリー』から約3年ぶりとなる今作は、ピアノと歌、そしてドラムのみで構成された全十曲。全ての曲を一発録りで行い、ナチュラルで暖かみのあるサウンドを表現。これまでにないほどに生々しく、儚く、そして何よりも優しく、聞く人の心に寄り添うような、そんな作品に仕上がった。自身が尊敬してやまない「ローラニーロ」「リッキーリージョーンズ」等、今の時代には無いような、そんな空気感を見事に作り上げた必聴盤!! - Amazon

“サマーソニック2012”への出演や HONDAwebCM 楽曲提供など幅広く活動してきた大阪のシンガー・ソングライター、城領明子のサード・アルバム。前作『ロンリーロンリー』から約3年ぶりとなる本作は、ピアノと歌、そしてドラムのみで構成された楽曲を収録。全ての曲を一発録りで行い、ナチュラルで暖かみのあるサウンドを表現した一枚。- Amazon

▼ 城領明子
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■ Music Video「今日に決めてよかった」城領明子×北畑俊明
Vo.pf.城領明子、Drs.北畑俊明




■ Music Video「城領明子チキンワンマン2015 サマータイム」
2015/07/03「どこ吹く風。vol,4」 at 神戸 CHICKEN GEORGE
Vo.pf.城領明子、Drs.北畑俊明




*これらの動画で使用されている音源は、動画をYoutubeにアップロードした SEND RETURN RECORD が自ら制作したものであり、個人が収入(広告収入を含む)を得ずに運営するサイトへの貼り付けが許諾された音源です。


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