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2020-05

浮遊スル猫 「CLUTCH GIRL」

浮遊スル猫 「CLUTCH GIRL」■ アルバムデータ
タイトル:CLUTCH GIRL
アーティスト:浮遊スル猫
リリース:2016年5月25日
レーベル:Victor Music Arts, Inc

アルバム総評価:93


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  ララリラ                      ★★★★★  
02  散々草々★★★★★
03  支離滅裂★★★★★
04  kirikiri★★★★☆
05  ライオン★★★★★
06  愛の海★★★★☆


■ 講評
今回紹介するアルバム「CLUTCH GIRL」は、3ピースガールズバンドである 浮遊スル猫 が、2016年5月25日に Victor Music Arts, Inc からリリースした3rdミニアルバムである。

2015年5月13日リリースの2ndミニアルバム「梦を解く」以来1年ぶりとなる新作で、"もっと女子に響く音楽を作りたい"という動機(実際は後付けの部分もあるらしいが)から生まれたアルバムということで、「CLUTCH GIRL」というタイトルにも"女子の心を鷲掴みにする"という意味が込められているということである。

なお、作詞・作曲は、メンバーであるさはらとやがわいちるがそれぞれ担当しており、全6曲を収録。初回限定盤には7曲目としてボーナストラック(本当におまけ的な会話やノイズ交じりの実験的な楽曲であり、個人的には要らないような気がする・・・)が追加されている。残念ながらオリコン週間 CD アルバムランキングでは、圏外となっている。

▼「CLUTCH GIRL」
画像



「浮遊スル猫」は、さはら(Vocal / Guitar)、やがわいちる(Bass / Vocal)、おみ(Drums)からなる2012年4月結成の3ピースバンドである。活動拠点である東京を中心に全国各地で精力的にライヴ活動を展開しており、バンド的には不本意かもしれないがそのサウンド指向からか「アンダーグラウンドガールズポップバンド」とカテゴライズされている。

バンドのキャッチコピーは「個性の違うツインボーカルとソリッドかつ重厚なサウンドが絡みあう楽曲は唯一無二。一度ハマればもう「ふゆねこワールド」からは抜け出せない。」ということで、ファンの間では「ふゆねこ」と呼ばれているらしい。ちなみに「浮遊スル猫」の「スル」は、ひらがなでは可愛すぎると言う理由で敢えて半角カタカナにしたというこだわりようである。

▼ 浮遊スル猫
画像



近年、JPOP シーンでは「Silent Siren」や「SCANDAL」のようにキュートで愛くるしく、サウンドも明るくポップテイストなアイドル的な要素を持ったガールズバンドが人気を博しているが、知り合いからそれとは間逆のエグいガールズバンドがいると聞いて着目したのが、今回紹介する「浮遊スル猫」である。2012年から活動を開始しており、その活動歴は意外に長いようだ。

「浮遊スル猫」とは極めて異色なバンド名であるが、敢えてカタカナ表記とするところが何となく大正レトロな感じで、ノスタルジックな雰囲気を漂わせるメルヘンチックなバンド名でもある。「スル」が半角カタカナというこだわりの理由もなかなか硬派でエグい感じだ。

またバンド構成も3ピースと最近のガールズバンドの中では少人数であるが、個人的な見解を言わせていただければ、各メンバーのキャラクターも凸凹して個性的であり、アイドル系とは縁遠い感じがしないでもなく、その怪しげなルックスも非常に謎めいている。

そんなビジュアル的にも個性的な「浮遊スル猫」のサウンドパフォーマンスは、驚くほどアバンギャルドだ。ギター、ベース、ドラムスのプレイもなかなか鋭くエッジが効いていて力強く、ガールズバンドというよりもかなり無骨でアグレッシヴ/エモーショナルロックを響かせる「漢なバンド」といった印象である。

そして何より爽快なのが、リスナーに全く媚を売らない我が道を行く的な「わがまま」なサウンドの潔さである。まるで鬱屈した女の情念をロックに載せて一気に吐き出すような感情豊かな楽曲群は、時に聴いているのが辛くなるほど女のイタさを感じさせる。また、そのサウンドカラーは、予想に違わずアンダートーンで重々しく、メロディも非常に変則的で癖があり、バンドとしてのサウンドへの強いこだわりを感じさせる。こうした一筋縄ではいかないサウンドへのこだわりは、1stミニアルバム「フカシンリョウイキ」から一貫したバンドポリシーのようであるが、それでもまだ今回の「CLUTCH GIRL」は、過去のミニアルバムに比べて若干聴きやすい方かもしれない。

ある意味、3rdミニアルバムまでこのサウンドで通してきたぶれることないバンドスピリッツに、「浮遊スル猫」の「男気あるバンド魂」を感じるのだが、同時にもう少しだけメロディアスでキャッチーな楽曲に舵を切れば絶対ブレイク間違いなしとも思ってしまう。だが、恐らくは「売れるために妥協なんてするわけないだろうが! なめんじゃないわよ!!」的な無骨で硬派なバンドなのだろう。3rdミニアルバムにしてほんの少しだけポップ寄りになった感じがしないでもないが、今後も大きな変化は望めそうになさそうだ。

さて、そんな「浮遊スル猫」の最新ミニアルバムが、今回紹介した「CLUTCH GIRL」であるが、特に今までリリースした2枚のミニアルバムに比べて今回のアルバムで意識的に多用されていると感じるのが、やがわいちるのサブヴォーカルである。

このサブヴォーカルが隠し味のスパイスのようにサウンドの「旨味」となってじわじわと効いてくるようで、従来のアルバムにはあまり見られなかったサウンドの奥深さが増したようだ。またメインヴォーカルとサブヴォーカルによるツインヴォーカルのパフォーマンスも巧みで、さはらの姉御的な艶のある「エロティックなメインヴォーカル」とやがわいちるのサブカル臭漂う「ロリータチックなサブヴォーカル」のハーモニーが絶妙で、そのパフォーマンスが存分に発揮された収録曲「支離滅裂」などは、まさに「浮遊スル猫」の代表曲に相応しい超絶インパクトを持った実にカッコいいキラーチューンとなっている。

加えてアルバム全体に施された巧みなサウンドアレンジにも魅せられてしまった。実に細かいところにその無骨なロックには不似合いなエフェクト等の手が加えられており、こうした丁寧な仕事は、さすがガールズバンド特有の気配りであると感心させられてしまう。それもそのはずで、メンバーによれば、楽曲の音作りにはかなりこだわっており、レコーディングにあたっては特に全ての楽器の音を曲ごとに微妙に変えて微妙な音の違いを作り込んでいるということで、ライヴでは出せないシンセなどを使ったり、ヴォーカルにエフェクトをかけたり、フレーズを繰り返す箇所では声質を微妙に変えてみたりと、特にアルバム制作に当たってはかなり凝ったサウンドメイキングをしているとのことである。こうしたこだわりがそのまま楽曲の重厚さや奥深さとなって表れているようで、実に見事なサウンドメイキングと言えるだろう。

このように現在も精力的に各地のフェスやサーキットイベントに出演し人気、実力ともに急上昇している「浮遊スル猫」であるが、次回はぜひ待望のフルアルバムに挑戦してほしいと思う。そして願わくば一念発起して一発メガヒットシングルでチャート上位を狙ってほしいところだ。「浮遊スル猫」は、その実力を十分持っているバンドである。

▼ 浮遊スル猫
画像




「浮遊スル猫」は、やがわいちるとさはらが活動していた「Wonder Spirit」というバンドが母体となって結成された3ピースのガールズロックバンドである。

「Wonder Spirit」自体は2009年11月に結成され、東京・池袋を中心にライヴを展開していたが、ドラムメンバーがなかなか固定せず先の展望が見えない中で一旦解散。その後、再始動にあたって名前を一新しようと話し合い、「目につく名前にしたいね」と話し合う中で、猫好きのさはらが「猫」を入れたいと提案。やがわいちるがとある曲の中に「浮遊する」というフレーズを発見し、「浮遊する」「猫」と並べてみたら、なんだかかっこいいねということで決着。そして「する」だと、ちょっとかわいすぎるため「する」はカタカナにしようとなり、最終的に「浮遊スル猫」になったとのことである。

その後、バンド解散の元凶であったドラムを固定メンバーとするため、ネット上で募集したり、Twitter のプロフィールに「ドラム」と書いてる人にとりあえずメッセージを送って募集活動を展開。その中でおみにもメッセージが届き、その結果、「Wonder Spirit」の曲を聴いて「面白そうだな」と思ったおみがメンバーとやりとりするようになり、2012年の2月、他にも何人かドラム候補者がいた中から見事選考される。ちなみに選考理由は、ドラムテクニックに加えて、初めて会った時にすごく元気な声で「初めまして!」と挨拶したことですごくいい子だ!と思われたことだったとのことである。

2012年 4月 2日 ライヴハウス下北沢ERAにて「浮遊スル猫」活動開始

2014年 1月22日 初の全国流通盤となる 1stミニアルバム「フカシンリョウイキ」をリリース

▼「フカシンリョウイキ」
画像



2014年 2月15日 渋谷CHELSEAHOTEL「~浮遊スル猫 presents~「フカシンリョウイキ」Release Party」開催
2014年 4月26日 新宿Motion「浮遊スル猫「フカシンリョウイキ」Release Tour Final」開催
2014年 4月29日 日比谷野外大音楽堂「NAONのYAON2014」O.Aとして出演
2014年 7月12日 「TOKYO BOOTLEG CIRCUIT'14」出演
2014年 7月20日 「関ケ原 LIVE WARS 2014 Rock onna Rock」出演
2014年10月 4日 「MEGA★ROCKS 2014」出演
2014年10月25日 新宿Motionでの初ワンマンライブ「猫の引き出し」が SOLD OUT

2015年 5月13日 2ndミニアルバム「梦を解く」をリリース

▼「梦を解く」
画像



2016年 5月25日 3rdミニアルバム「CLUTCH GIRL」をリリース

▼「CLUTCH GIRL」
画像



(出典:「浮遊スル猫 OFFICIAL SITE」他)

▼ 浮遊スル猫
画像




■ メンバー
・さはら(Vocal,Guitar)(写真:中央)
・やがわいちる(Bass,Vocal)(写真:左)
・おみ(Drums)(写真:右)

▼ 浮遊スル猫のメンバー
画像




■ アルバムリリースノート
さはら(Vo/Gt) やがわいちる(Ba/Vo) おみ(Dr)からなるスリーピースバンド。
個性の違うツインボーカルとソリッドかつ重厚なサウンドが絡みあう楽曲は唯一無二。
一度ハマればもう「ふゆねこワールド」からは抜け出せない。- Amazon

▼ 浮遊スル猫
画像




■ Music Video「ララリラ / ライオン」
Costume Design:Chihiro Ishii (marienkafer)
Visual Effects / Lighting:Eri Yoshikawa (clou-d.inc)
Direction / Camera / Edit:Chiori Morioka (clou-d.inc)



*この動画で使用されている音源は、動画をYoutubeにアップロードした 浮遊スル猫 が自ら制作したものであり、個人が収入(広告収入を含む)を得ずに運営するサイトへの貼り付けが許諾された音源です。


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
Life is music. Music is life.
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