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2020-05

ヒロネちゃん 「目隠し 照れ隠し」

ヒロネちゃん 「目隠し 照れ隠し」■ アルバムデータ
タイトル:目隠し 照れ隠し
アーティスト:ヒロネちゃん
リリース:2016年3月23日
レーベル:mekakusirecords

アルバム総評価:93


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  少女事情  ★★★★☆  
02  ピンポンダッシュ★★★★☆
03  最後の地球★★★★☆
04  さみしいキャラメル★★★★★
05  センチメンタルちゃん★★★★★
06  目隠し★★★★☆
07  照れ隠し★★★★★
08  ミルクティー★★★★★
09  幻が死ぬ前に★★★★★
10  あなたの宇宙、わたしの鬱。          ★★★★★
11  内緒★★★★★
12  さよならモンスター★★★★★


■ 講評
今回紹介するアルバム「目隠し 照れ隠し」は、女性シンガーソングライターである ヒロネちゃん が2016年3月23日に自主レーベルである mekakusirecords からリリースした2rdフルアルバムである。

「目隠し 照れ隠し」は、2015年7月22日発表の前作「きみの死因になりたいな」から約8カ月ぶりとなる、ヒロネちゃんが自ら立ち上げた新レーベル mekakusi records より発売された新作アルバムであり、今作には従来の弾き語り曲に加え、EDM(Electronic Dance Music)サウンドを取り入れた「少女事情」、来来来チームを迎えたバンド編成の楽曲「ピンポンダッシュ」など全12曲が収められている。

弾き語り曲のレコーディングには、前作と同じくオルタナティヴ・ロックバンド ハイスイノナサでベースを担当している照井淳政が参加。1stアルバム「きみの死因になりたいな」は弾き語り主体だったが、今作はバンド・サウンドや打ち込み、ヴァイオリンを導入するなど幅広いアレンジとなっている。

なお、「さみしいキャラメル」と「目隠し」の2曲は、1stアルバム「きみの死因になりたいな」からのリアレンジトラックとなっており、「内緒」は新レーベルスタッフでギターやアレンジでも参加している野澤翔太が作曲、ヒロネちゃんが作詞した共作作品である。

▼「目隠し 照れ隠し」
画像



鍵盤と声のシンプルな表現で構成された全編弾き語りによる前作「きみの死因になりたいな」から一転、本作は彼女の新しい魅力がバラエティに盛り込まれた意欲作に仕上がっており、2015年末にミュージックビデオが公開され既に話題のリードトラック「少女事情」では、前作までのシンプルな弾き語りと逆をいくような EDM サウンドで新たな世界観の開拓に成功している。

加えて彼女の持ち味である鍵盤弾き語りのレコーディングには前作に引き続き、照井敦政を迎えこれまで以上に徹底的に繊細な音作りにこだわっており、また、来来来チームを迎えたポップでコミカルなバンド編成による楽曲でもヒロネちゃんのハイテンションでガーリーな魅力が見事に開花している。さらにはヒロネちゃんの基盤となるヴァイオリンをフィーチャーしたクラシック編成は静謐で美しく、彼女の音楽的な素養の深さを改めて感じることができる。

▼ ヒロネちゃん
画像



鍵盤シンガーソングライター「ヒロネちゃん」。クラシックとポップスの融合で確立した独自の世界観、文学的な恋愛歌詞、確かなピアノ演奏技術。様々なものを吸収して生み出された彼女の音楽は唯一無二で、宇宙のような底知れぬ魅力がある。

アルバム「目隠し 照れ隠し」を入手早々、カーステレオで聴いていたところ、同乗者から「これって子どもが歌ってるの」と鋭いツッコミが入った。聴く人によっては子どもが歌っているようにも聴こえる楽曲…。確かに名前も、歌声も、歌い方も、子どものようにピュアで、そのサウンドも実に独創的なシンガーソングライターである。

そんな異色なヒロネちゃんの歌詞の世界は、かなりディープだ。

ヒロネちゃんは、語りかけるようにさりげなく「死」を歌う。「さみしいキャラメル」では「キャラメルを食べたらもう死のう・・・」という際どいフレーズも連発する。そんなさりげない毒々しさが、自殺願望のメンヘラ女子的で怖いほど痛い。そして失恋を歌ったエンドトラック「さよならモンスター」では、元彼のことを「モンスター」と表現する感性が、見事なほどエグくて、悲しくて、寂しい。

そんな独特な歌詞の世界観を持ったヒロネちゃんであるが、見た目は今時のガーリーなふんわりした雰囲気を持った至って普通の女子といった印象である。その一方で、ブログで「弾き語りという表現方法を見つけてから、だんだん生き易くなった。だからわたしのうたを聴いたひとが、生き易くなってほしいんです少しでも」とその歌に込めた思いを語るなど、見た目に似合わず歌に向き合う真摯な姿勢が素敵な女の子でもある。

加えてそんな際どい歌詞を包み込む柔らかなメロディを生み出すセンスにも目を見張るものがある。非常に情緒豊かなメロディーを奏でるセンスは抜群で、特にアルバム後半のバラッドナンバーのラインナップは必聴である。中でも前述の「さよならモンスター」を始め「ミルクティー」、「幻が死ぬ前に」は、aiko 級の才能を感じさせる深い哀愁漂うメロディが強く印象に残るヒロネちゃんを代表する名曲と言えるだろう。

▼ ヒロネちゃん
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アルバム全体に楽曲の編曲は実にシンプルで、厳選された最小限の楽器編成によるライヴ感溢れるサウンドは、語るように歌うヒロネちゃんにピッタリのアレンジと言えるだろう。ただ、ピアノとヴァイオリンが奏でる豊かな旋律は、オーケストラで奏でればきっともっと素晴らしいサウンドに昇華するに違いないと思わせる魅力を持っており、次回作ではぜひオーケストラ演奏による楽曲も聴いてみたいものである。

さて、この「目隠し 照れ隠し」が2枚目の全国流通盤となるわけだが、「真っ暗な世界を縦横無尽に駆け巡った10代の結晶。」と評された前作「きみの死因になりたいな」に比べて編曲に厚みが増した分、明らかに一皮向けてよりキャッチーで聴きやすいサウンドとなっており、20歳にして自主レーベルを設立した彼女の覚悟と、更なる可能性を感じさせる最新にして最高傑作に仕上がったアルバムとなっている。

▼ ヒロネちゃん
画像



ちなみに、1stアルバム「きみの死因になりたいな」1枚限りでインディーズレーベル「術ノ穴」を離れ、今回わざわざ自主レーベル「mekakusirecords」を立ち上げたのには深い理由があるらしい。

ヒロネちゃんの公式ブログ「目隠し 照れ隠し」によれば、当初アルバムを全国流通させる術を知らなかったため、インディーズレーベル「術ノ穴」に所属して1stアルバムをリリースしたものの、レーベルによる管理の下でアルバムの枚数に関する情報すら一切知らされず不信感が募る中、自信作「さよならモンスター」のリリースを相談したところ否定的な見解を示され、挙句の果てには「ヒロネちゃんの曲は手癖がついているため他の人が作った歌が重要になるかも知れない」と他のアーティストの作品を暗に勧められたとのことで、レーベルサイドから自分を完全否定されたとの思いに至った結果、レーベルを離れる決意をしたとのことである。当時は精神的にも相当きつく、レーベルを去るまでには激しい葛藤もあったとのことである。

こうした話を聞く限り、たとえ十代の若者とはいえ「ヒロネちゃん」という才能豊かなアーティストに対するリスペクトがレーベルサイドに足りなかったように思われる。一方で大人な見方をすれば、ヒロネちゃんの作品のように個性が強い楽曲が幅広く受け入れられてヒットを記録することはなかなか容易ではないとの判断の中で、もしかすると彼女のキャラクターやシンガーとしての資質を活かしたレーベルなりの戦略があったのかもしれない。

ただ、仮にそうした大人の事情があったにせよ、ヒロネちゃんの「ソングライター」としての才能を否定した時点で、両者の信頼関係は崩れるべくして崩れ去ったと言えるだろう。この点においてレーベルサイドの傲慢や思慮不足があったのではないかと言われても仕方ないところだ。

こうした経過を経て、ヒロネちゃんは今回のアルバムをリリースするに至っており、「目隠し 照れ隠し」に対する思い入れもひとしおであろうと思われる。

前述のようなレーベルに対する反骨もあって、公式ブログでは「わたしにとってこのアルバムは売れてくれないと困ります。すごくいいアルバムだし、少しだけレーベルの人たちを見返したいなと思っています。悔しさが原動力でもありました。でもいちばんは、音楽が好きだから、またアルバムだすぞ頑張るぞと言う気持ちになれました。」、「わたしの一番の原動力は悔しさです。なんか少し寂しい人間かもしれないけど、そうやって生きてここまで来た。もっと強く、かっこよくなりたいです。今後も、頑張るのでよろしくお願いします!」と語っており、その正直さと前向きな姿勢が実に清々しい。

今回、微力ながらこのブログでも「目隠し 照れ隠し」を取り上げさせていただいた。一人でも多くの人がヒロネちゃんの音楽に出会うきっかけになれば幸いである。最後に誠に勝手ながら公式 Web サイト「目隠し 照れ隠し」 特設ページからヒロネちゃんからのメッセージを転載させていただく。ぜひ彼女の実直な人柄を感じていただきたい。


ヒロネちゃんから

音楽活動をはじめて、もう二年が経っていました。
はじめは周りにだれもいなくて、どうしたら良いかも分からなくて、それでもただひたすらに歌を作って歌っていました。二年前の夏、いちばん不安定な時期はなぜか毎日のように涙がとまらなかったのを覚えています。いつも漠然とした不安に押しつぶされていました。わたしには歌しかなかった、それがすごく怖かった。歌しか楽しくないし歌でしか生きてるってわからなかった。歌をうたってなかったら今の自分がなにしていたかまったく想像つかないし、あのとき野澤さんが「カロリーメイトいい曲ですね」ってコメントしてくれてなかったら野澤さんに活動を支えてもらっていなかったら今のわたしはないし、今まで起きた事ひとつひとつのすべてがほんとうに奇跡です。このアルバムもたくさんの方に助けてもらい、完成させることができました。

「目隠し 照れ隠し」にはあの頃と今が封じ込められているアルバムです。たくさんのやさしさとかと一緒に封じ込められています。あの頃の私は上手に笑えなくて生きれなくて、そんな現状を変えようと必然的にはじめたのが弾き語りだった。さみしいとか、嬉しいけど悲しい、を歌にすることによって安心出来たし、それを歌えば共感してもらえたりした。今こうやって、たくさんのやさしさや痛みを感じてできた歌たちが一枚のアルバムになりました。

「目隠し 照れ隠し」を聴いてくれた一人でも多くの方に、この音楽を、
大切だって抱き締めてもらえますように。‐ ヒロネちゃん


▼ ヒロネちゃん
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ヒロネちゃんは、鍵盤弾き語りをメインに活動するシンガーソングライターである。公式 Web サイトによれば本名は非公開。1995年7月26日生まれの現在21歳の若手アーティストである。

身長は155cmと小柄で、好きな色は薄紫、黒、白ということで、Web 上で公開されている写真からも同系色のファッションが多いようで、可愛らしいルックスの今時の女子と言った印象である。

3才からピアノを弾き始め、中高大とクラシック科を専攻。曲作りをはじめたのは高校3年生の冬で、ほぼ同時期にライブ活動も開始している。高円寺にあるライヴハウス無力無善寺での初ライブは動員ゼロであったとのことである。

現代音楽をフェイバリットに挙げており、そのサウンドは現代音楽× J-POP 的なサウンドとも評されており、不思議な世界観をもつ恋愛歌詞と、中毒性のあるメロディーが特徴的である。

2014年2月25日リリースの企画アルバム術ノ穴 presents「Hello!!! vol.8」に「少女事情」で参加。
2014年5月17日、自主製作音源第一弾となる宅録 EP「わたしのep」をリリース。(廃盤)

▼「わたしのep」
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2014年11月2日、自主製作音源第二弾となる宅録 EP「アイドルになりたかったあの子」を50枚限定リリース。(廃盤)

▼「アイドルになりたかったあの子」
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2014年11月2日、初ワンマンライブ「アイドルになりたかったあの子」開催。
2014年11月21日、自主制作音源「憂鬱ep」を OTOTOY 独占配信。

▼「憂鬱ep」
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2015年3月29日、大森靖子のワンマン・ライヴ「ナナちゃんとイくラブラブ洗脳ツアー」鳥取公演のオープニング・アクトに抜擢される。
2015年4月1日、自主製作音源第三弾となる宅録 EP「神様」をリリース。OTOTOY でも配信。DISK UNION インディーズ・チャート第1位を獲得し、話題を集める。

▼「神様」
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2015年5月30日、自主製作音源第四弾となる宅録 EP「きみはうさぎ」を限定100枚リリース。(廃盤)

▼「きみはうさぎ」
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2015年5月30日、下北沢の往来型フェス「Shimokitazawa SOUND CRUISING 2015」に出演。
2015年7月22日、19歳の時に初の全国流通盤となる「きみの死因になりたいな」をレーベルトラックメイカーデュオ Fragment 主宰の音楽レーベル「術ノ穴」からリリースする。アルバムリード曲である「カロリーメイト」は、アルバム・タイトルにもなっている「きみの死因になりたいな」という歌詞が印象的な彼女の代表曲の一つで、ミュージックビデオの監督は水曜日のカンパネラの作品も手がけた藤代雄一朗が担当している。

▼「きみの死因になりたいな」
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2015年7月26日、ワンマンライブで下北沢 THREE をソールドアウト、大成功をおさめる。
2015年10月、インディーズレーベル「術ノ穴」から離脱。
2015年11月2日、自主製作音源第五弾となる宅録 EP「あなたのep」をリリース。

▼「あなたのep」
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2016年2月1日、自主製作音源「少女事情」を OTOTOY 配信及びライヴ会場限定 CD でリリース。

▼「少女事情」
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2016年3月6日、「自主音源まとめep」をタワーレコード新宿店限定リリース。(売り切れ)

▼「自主音源まとめep」
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2016年3月23日、本人自ら立ち上げたレーベル「mekakusi records」より全国流通盤2作目となる2ndアルバム「目隠し 照れ隠し」をリリースする。

▼「目隠し 照れ隠し」
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ライヴ活動を精力的に展開しており、発売を記念して、初の全国ワンマン・ツアー「『目隠し 照れ隠し』発売記念ワンマンライブ 神隠し☆ツアー」を開催。4月24日の大阪公演を皮切りに、過去に大森靖子などもライヴを行った秋田の喫茶店「gomashio-kitchen」など全国6か所をまわる。ファイナルとなる東京公演は、ヒロネちゃんの誕生日の7月26日にすみだトリフォニーホールで開催。こちらは初のホールでの単独公演となり、同じくヴァイオリンも演奏に参加する初のバンド編成でのライヴとなる。

▼ ヒロネちゃん
画像




■ アルバムリリースノート
2015年は大森靖子のリリースツアーのオープニング・アクトに大抜擢され、同年夏リリースされた『きみの死因になりたいな』(術の穴)では各界から賞賛を受けた今大注目のミュージシャンのひとり“ヒロネちゃん”。そしてこの度、本人自ら立ち上げた“mekakusi records”より全国流通盤2作品目がリリース決定!鍵盤と声のシンプルな表現で構成された全編弾き語りによる前作から一転、本作は彼女の新しい魅力がバラエティに盛り込まれた意欲作。- Amazon

▼ ヒロネちゃん
画像




■ Music Video「目隠し 照れ隠し ダイジェスト映像」



■ Music Video「少女事情」



■ Music Video「さよならモンスター」
監督:甲斐 桜 / Vn:桃代 / Arrange:Ren hata



■ Music Video「さみしいキャラメル」



*これらの動画で使用されている音源は、動画をYoutubeにアップロードしたヒロネちゃんが自ら制作したものであり、個人が収入(広告収入を含む)を得ずに運営するサイトへの貼り付けが許諾された音源です。


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Author:香山蔵之介
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