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2020-05

The Isley Brothers 「Harvest for the World」

The Isley Brothers 「Harvest for the World」■ アルバムデータ
タイトル:Harvest for the World
アーティスト:The Isley Brothers
リリース:1976年5月29日
レーベル:T-Neck Records

アルバム総評価:98
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  Harvest for the World (Prelude)            ★★★★★  youtube02
02  Harvest for the World★★★★★youtube02
03  People of Today★★★★★
youtube02
04  Who Loves You Better★★★★★youtube02
05  (At Your Best) You Are Love★★★★★youtube02
06  Let Me Down Easy★★★★★youtube02
07  So You Wanna Stay Down★★★★★youtube02
08  You Still Feel the Need★★★★☆youtube02


■ 講評
今回紹介するアルバム「Harvest for the World」は、アメリカのソウル・ファンクグループである The Isley Brothers が1976年にグループの自主レーベルである T-Neck Records からリリースした14thスタジオアルバムである。 T-Neck Records からのリリースとしては9枚目、6人体制となってからは4枚目のスタジオアルバムとなる。

全8曲を収録しており、2001年の再リリース版には Jim Seals、Dash Crofts 作曲の「Summer Breeze」のライブヴァージョン (1980年 Bearsville Studios 収録)がボーナストラックとして収録されている。なお、The Isley Brothers の詳細については、13thアルバム「The Heat Is On」の講評記事を参照願いたい。

アルバムデザインは Micaela Boland、アートディレクションは Howard Fritzon、アルバムカヴァーはフォトグラファーの David Seltzer と Howerd Menken が担当。インナーシートのフォトグラファーには Columbia records の専属音楽フォトグラファーとして知られた Don Hunstein や 著名フォトグラファーである Al Clayton も名を連ねている。

全曲グループメンバーによる作曲・プロデュースで、カリフォルニア州ロサンジェルスにある Record Plantでレコーディング、Westlake Audio でミキシング、Artisan Sound Recorders で Joseph M. Palmaccio の手でマスタリングが行われた。また Stevie Wonder のアルバムプロデュースでも知られる Malcolm Cecil がエンジニア、プログラマー兼共同プロデューサーとして参加している。なお Malcolm Cecil は、11thアルバム「3+3」から継続してアルバム制作に参加して The Isley Brothers のサウンドに大きな影響を与えてきたが、この「Harvest for the World」が最後の参加作品となった。

リードヴォーカルを Ronald Isley が、また、バックヴォーカルを Ronald Isley、O'Kelly Isley, Jr.、Rudolph Isley のオリジナルメンバーが務めており、演奏は前作「The Heat Is On」に続いて全て新規メンバーである Marvin Isley(bass, cowbell, woodblock, percussion)、Chris Jasper(piano, keyboards, ARP synthesizer, clavinet, tambourine, percussion)、Ernie Isley(guitars, drums, percussion, congas, timbales, maracas )が担っている。

アルバム自体はリリース最初の3週間で50万枚以上という記録的な枚数を売り上げ、Billboard Top R&B/Black Albums Chart 第1位、Billboard 200 第9位を記録し、プラチナディスク認定も受けるヒットとなった。

(出典:「Harvest for the World」(27 January 2016 09:33 UTC) 『Wikipedia英語版』他)

▼「Harvest for the World」
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▼「Harvest for the World」ジャケット裏面
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▼「Harvest for the World」インナーシート
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アルバムからは1976年にアルバムタイトル曲である「Harvest for the World」を始め「People Of Today」、「Who Loves You Better - Part 1」の計3曲がシングルリリースされている。

このうち「Harvest for the World」は Billboard Hot 100 第63位、Hot R&B/Hip-Hop Songs Chart 第9位を記録するとともに、イギリスでも UK Singles Chart 第10位となるヒットを記録した。この楽曲は、世界平和という社会性を意識した楽曲で、歌詞の中にはリリース前年に終戦を迎えたベトナム戦争の帰還兵をイメージさせるフレーズも含まれている。Ernie Isley が作詞、Ernie Isley、Marvin Isley、Chris Jasper の3人が共同で作曲し、O'Kelly Isley、Rudolph Isley、Ronald Isley のオリジナルメンバー3人がアレンジを加えており、The Isley Brothers の他の楽曲同様 Ronald Isley がリードヴォーカルを、O'Kelly Isley と Rudolph Isley がバックヴォーカルを務めている。

この楽曲は多くのアーティストにカヴァーされており、1985年にはイギリスのロックバンド The Power Station がアルバム「The Power Station」に、また2005年には Vanessa Williams がアルバム「Everlasting Love」にカヴァー曲を収録。特にイギリス・リヴァプールのソウルグループ The Christians による1988年のカヴァーが有名で UK Singles Chart 第8位となるヒットを記録した。

アルバム冒頭の「Harvest For The World (Prelude)」から本編へ導入するという演出も見事で、その Prelude において抒情的に歌い上げる Ronald Isley のヴォーカルも、聴く者を捕えて離さないドラマティックな魅力に溢れている。また本編のイントロから奏でる Ernie Isley のアコースティックギターも、歌詞の世界観を反映したように哀愁を帯びた切なく心に染みるサウンドを響かせている。

こうした導入部のアグレッシヴなサウンドメイキングとは裏腹に、楽曲全体は軽快にリズムを刻むクラッピングも手伝って意外な程乗りの良いメロディアスなメロウナンバーとなっており、このギャップこそがアルバムの中でこの楽曲をより一層際立たせる要因となっているように感じる。

▼「Harvest for the World」Single 盤
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▼「Harvest for the World」by The Christians
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その「Harvest for the World」に間髪を容れずに続く「People Of Today」は、「Harvest for the World」に呼応するようなポジティヴな歌詞となっており、Billboard Dance Club Songs Chart 第3位を記録。エフェクターであるトーキング・モジュレーターを駆使したエレクトリックでうねるようなダンサブル・ファンクサウンドが印象的な楽曲である。

続く「Who Loves You Better - Part 1」も非常に乗りの良いポップテイストな R&B ナンバーで、前・間奏の Ernie Isley のスピード感溢れるエッジの効いたエレクトリックギターも一際輝きを放っており、Billboard Hot 100 第47位、Hot R&B/Hip-Hop Songs Chart 第3位を記録するヒットとなった。今回のアルバムの中で最も Ernie Isley のギタープレイが冴える楽曲と言えるだろう。

▼「Who Loves You Better - Part 1」Spain 盤
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これらシングルカットされた楽曲以外の収録曲も多くのアーティストにカヴァーやサンプリングされており、彼らの母親 Sallye に捧げた楽曲として1976年にオンエアによりヒットしたバラッド曲「(At Your Best) You Are Love」は、アメリカ人シンガー Aaliyah が1994年に R.Kerry プロデュースによりリリースしたデビューアルバム「Age Ain't Nothing but a Number」にカヴァー曲を収録し、アルバムからの2ndシングルとしてリリース。U.S. Billboard Hot 100 第6位、The R&B Singles Chart 第2位、UK Singles Chart 第27位を記録し、アメリカレコード協会(RIAA)からゴールドシングルにも認定されるヒットとなった。また近年でも Drake や Tamar Braxton など多くのミュージシャンにサンプリング音源として使用されている。

▼「Age Ain't Nothing but a Number」by Aaliyah
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▼「(At Your Best) You Are Love」by Aaliyah
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この「Harvest for the World」は、6人組となって初となる11thアルバム「3+3」以降のソリッドなファンクロック路線の中では明らかに異彩を放つメロウグルーヴなサウンドのアルバムである。

このため「3+3」などに比べると尖った感じが影を潜め、よりアダルトコンテンポラリーな落ち着いたアルバムという印象が強く、少し物足りなさを感じるといった評価も少なからず見受けられるが、収録曲の非常に粒揃いなラインナップと練られた楽曲構成によりアルバム全体としての完成度が高く、加えてポップテイストでメロディアスな楽曲が多いこともあって個人的には一押しのアルバムとなっている。

そんな「Harvest for the World」の収録曲を見ると、どうしても彼らの代表曲である「Harvest for the World」や「(At Your Best) You Are Love」に目が行きがちであるが、他にも聴き応えある名曲が揃っており、中でもエレキギターとアコースティックギターが絶妙に交錯するダンサブルナンバー「So You Wanna Stay Down」と Ronald Isley の抑え気味なファルセットブレッシングも超セクシーな珠玉のラブバラッド「Let Me Down Easy」の2曲は、前述の2曲以上にアルバム全体の印象に大きな影響を与えている The Isley Brothers ファン必聴の隠れた名曲である。

なお、今回のアルバムの中でも極めて異質な存在となっているラストナンバー「You Still Feel the Need」は、アルバム全体のメロウな空気感を一瞬で吹き飛ばすほど強烈なブラックファンクチューンであるが、従来のアルバムの中であれば特段違和感のないこの楽曲を、敢えてこのメロウでソフトなサウンドカラーの「Harvest for the World」のラストに持ってくるあたりに、The Isley Brothers のソウル・ファンクグループとしての誇りとこだわりが感じられて却って小気味良いほどである。

「Harvest for the World」は、それまでの The Isley Brothers とは一味違った魅力を堪能させてくれるアルバムにして彼らを代表する名盤と言っても過言ではない。このアルバムを The Isley Brothers のアルバムの中で最も好きなアルバムに上げるファンが多いことにも納得の The Isley Brothers を語る上で外せない一枚と言えるだろう。聴き込むほどに味が出る稀有なアルバムである。

▼ The Isley Brothers(1973年当時)
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■ アルバムリリースノート
アイズレーの一挙発売された旧譜CD化の1枚。76年作品で、彼らが絶好調の頃の1枚。最近アリーヤで大ヒットしたバラードの⑤のオリジナルもここに収められている。グルーヴがあるバラードを歌わせると、このアイズレーは本当に天下一品だ。- CDジャーナル

▼ The Isley Brothers(1975年当時)
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*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「Harvest for the World」を素材として二次利用しています。


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名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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