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2020-05

Al Jarreau 「Breakin' Away」

Al Jarreau 「Breakin' Away」■ アルバムデータ
タイトル:Breakin' Away
アーティスト:Al Jarreau
リリース:1981年6月30日
レーベル:Warner Bros. Records

アルバム総評価:96
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  Closer to Your Love  ★★★★★  youtube02
02  My Old Friend(心の友へ)★★★★★youtube02
03  We're in This Love Together(奏でる愛)★★★★★youtube02
04  Easy(愛は世界をめぐり)★★★★☆youtube02
05  Our Love(明日に漂う)★★★★★youtube02
06  Breakin' Away★★★★★youtube02
07  Roof Garden
  (ルーフ・ガーデン-ファンキー、ポッピン、ステッピン)
★★★★☆youtube02
08  (Round, Round, Round) Blue Rondo a la Turk
  (トルコ風ブルー・ロンド)
★★★★★youtube02
09  Teach Me Tonight(今夜教えて)★★★★★youtube02

※ ( ) は日本語タイトル。


■ 講評
今回紹介するアルバム「Breakin' Away」は、アメリカのジャズヴォーカリストである Al Jarreau が1981年に Warner Bros. Records からリリースした5thスタジオアルバムである。

このアルバムは、名音楽プロデューサーとして知られる Jay Graydon がプロデュースを手掛けた Al Jarreau の4枚のアルバムのうち2枚目に当たるアルバムとなる。また、前作の4thアルバム「This Time」に続いてキーボード奏者、作曲家、アレンジャーである Tom Canning もプロデュースに参加している。

アルバム制作陣を見ると、ホーンアレンジには前作に引き続き Michael Jackson の「Thriller」や「BAD」のホーンアレンジを担当したことでも知られる Jerry Hey(#6,#7)が、またリズムアレンジには Al Jarreau(#1-7,#9)本人とともにプロデュースにも参加した Tom Canning(#1-#7,#9)が参加している。加えてストリングスアレンジにはジャズトロンボーン奏者の Billy Byers(#9)、Jay Graydon の盟友としてお馴染みの David Foster(#5)が参加している。

また前作同様バックミュージシャンの顔ぶれも豪華で、David Foster(Fender Rhodes Piano:#2,#5,#6・Piano:#2,#5.6)、ピアニストでコンポーザーである George Duke(Fender Rhodes Piano:#7)、セッションギタリストである Dean Parks(Electric Guitar:#9)、Chicago のメンバーである Bill Champlin(Backing Vocals:#7)、TOTO のメンバーである Steve Lukather(Electric Guitar:#2.3)、Steve Porcaro(Drums:#6)、Pages のメンバーである Richard Page、Steve George(Backing Vocals:#2,#5,#7)、フュージョン・バンド Stuff のメンバーであり名ジャズ・フュージョン・ドラマーとして知られる Steve Gadd(Drums:#1-5,#7-9)などが参加している。

L.A.POP と R&B サウンドを融合した Al Jarreau を最も代表するアルバムとして知られており、Billboard 200 に2年にわたりチャートインするとともに最高第9位を記録。また、Jazz Albums charts と R&B Albums charts の両方で第1位を獲得するなど大ヒットし、アメリカレコード協会(RIAA:Recording Industry Association of America)からプラチナディスクにも認定されている。

さらに1982年のグラミー賞で Best Pop Vocal Performance, Male を受賞。合わせて収録曲「(Round, Round, Round) Blue Rondo a la Turk」で Best Jazz Vocal Performance, Male も受賞した。また Album of the Year にもノミネートされている。ちなみにこの年の Album of the Year 受賞アルバムは John Lennon & Yoko Ono の「Double Fantasy」であった。

これとは別に収録曲「We're in This Love Together」を作曲した Roger Murrah は、この楽曲がラジオで3千回以上オンエアされたことを受けて、アメリカ合衆国の実演権団体である Broadcast Music, Inc. (BMI) から BMI Millionaire Airplay Award を受賞している。

▼「Breakin' Away」ジャケット
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▼「Breakin' Away」LP盤ジャケット裏面
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▼「Breakin' Away」CD盤ジャケット裏面
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▼「Breakin' Away」歌詞カード
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アルバムからは1981年に「We're in This Love Together」、1982年に「Breakin' Away」、「Teach Me Tonight」の計3曲がシングルリリースされており、「We're in This Love Together」は The Billboard Hot 100 第15位、Adult Comtenporary Charts 第6位、R&B Singles Charts 第6位を、「Breakin' Away」は The Billboard Hot 100 第43位、Adult Comtenporary Charts 第30位、R&B Singles Charts 第25位を、「Teach Me Tonight」は The Billboard Hot 100 第70位、Adult Comtenporary Charts 第19位、R&B Singles Charts 第51位を記録している。

なお、「Teach Me Tonight」は Gene De Paul 作曲、Sammy Cahn 作詞により1953年に制作された POP ミュージックのスタンダードナンバーであり、1954年にリリースされた Janet Brace によるヴァージョンがオリジナルとなる。その後 Frank Sinatra が1984年に Quincy Jones プロデュースによりリリースしたスタジオアルバム「L.A. Is My Lady」に収録するにあたり Sammy Cahn が新たに作詞し直しており、Al Jarreau だけでなく数多くのミュージシャンにカヴァーされている1950年代を代表する名曲である。

また、グラミー賞受賞曲である収録曲「(Round, Round, Round) Blue Rondo a la Turk」は、Dave Brubeck 作曲によるジャズのスタンダードナンバーで、オリジナル曲は1959年にジャズグループである The Dave Brubeck Quartet がリリースしたアルバム「Time Out」に収録されており、「Breakin' Away」への収録に当たって Al Jarreau が歌詞を加えてカヴァーしたものである。こちらもインストゥルメンタル曲として数多くのミュージシャンにカヴァーされているジャズの名曲である。

なお、日本リリース LP 盤の帯には「ジャズの街から、愛の旅へ・・・。爽やかに心にふれる、アル・ジャロウのやさしさ溢れるメッセージ。」と記されていた。

▼「We're in This Love Together」
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▼「Breakin' Away」
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▼「Teach Me Tonight」
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▼「Closer to Your Love」
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アルバム「Breakin' Away」から受ける印象は、Al Jarreau の個性が際立った4thアルバム「This Time」と、Jay Graydon のプロデュース色が色濃く出た6thアルバム「Jarreau」のちょうど中間な感じで、「This Time」のヒットを受けて音楽の方向性に自信を持った Al Jarreau と Jay Graydon が、その余勢を駆って更なるステップアップを目指して作り上げたというアグレッシヴな空気感がよく伝わってくる上質で完成度の高いアルバムに仕上がっている。

いい意味で「This Time」の流れを組む非常にチャートを意識したアルバムとも言えるだろうか。実際に Al Jarreau のアルバムの中でもチャート的に最も上位を記録しており、Jay Graydon プロデュース4作品の中でも死角のないアルバムという印象が強い作品である。

そうした空気感はアルバムジャケットにも表れているようで、前作「This Time」ではモノクロで落ち着いた雰囲気のポートレートであったのに対して、「Breakin' Away」では温かみのあるイエロー系のバックに笑みを浮かべたポートレートが採用されており、よりリスナーを意識したような全方位型サウンドへの変化がアルバムジャケットからも窺えるようでなかなか興味深い。ちなみにこのポートレートは Al Jarreau の妻である Susan Jarreau の撮影(アルバム全体の Art Direction 及び Design は Christine Sauers による。)によるものであるが、さすが夫婦による撮影だけあってなかなかいい笑顔を浮かべている。

このように「Breakin' Away」は、アルバムジャケットのイメージそのままにキャッチーで温かみのあるヒット性の高い楽曲が多く、Jay Graydon プロデュース4作品の中でも最も気に入っているアルバムとなっている。ただ、他の3作品が Al Jarreau と Jay Graydon の各々の個性が比較的サウンドに明確に表れてメリハリの利いたアルバムとなっていることから、その分「Breakin' Away」の落ち着いた優等生らしさが際立っているようにも感じられて、「Breakin' Away」に対して物足りなさを感じるリスナーも少なくないかもしれない。

反面、確かに前作「This Time」に比べてよりアダルトコンテンポラリーな R&B サウンドにシフトした印象が強い中で、「Easy」、「Roof Garden」、「(Round, Round, Round) Blue Rondo a la Turk」といった Al Jarreau の得意ジャンルであるジャズのテイストを取り入れてその神業のような歌唱テクニックを存分に披露するなど非常にセッション感溢れるヴィヴィッドな楽曲もしっかりラインナップされており、ツボを押さえた Jay Graydon のいぶし銀のようなプロデュース手腕が冴えるアルバムとなっている。また珠玉のラブバラッドである「Our Love」のアレンジもいかにも Jay Graydon と David Foster の Airplay コンビらしく、アルバムの完成度を高めるのに大いに威力を発揮している。

こうした計算された緻密さもあって、「Breakin' Away」は Jay Graydon プロデュース作品の中で一際完成度の高さを感じさせるアルバムであり、Al Jarreau 絶頂期を代表する鉄板の一枚となっている。日本では AOR の名曲「Mornin'」を収録する「Jarreau」に注目が集まりがちではあるが、自信を持ってお薦めしたい Al Jarreau を代表する名アルバムだ。

ちなみに Jay Graydon プロデュースの最後を飾る7thアルバム「High Crime」は、驚くほどジャズ・フュージョン系のファンキーなサウンドにシフトしており、その評価がはっきりと分かれる異色な作品となっている。Jay Graydon のプロデュースに興味がある方はぜひ前3作とはまったく異なる味付けの「High Crime」も合わせて聴いていただければ幸いである。

▼ Al Jarreau
画像




■ アルバムリリースノート
大ヒットした前作同様、ジェイ・グレイドンのプロデュース力とアル・ジャロウの唯一無二のミラクル・ヴォイスが融合した大傑作。大ヒット・シングル「奏でる愛」収録。- Amazon

ソフトで伸びやかな歌声と、`スキャット唱法`等卓越したヴォーカル・テクニックを持ち個性を確立したアル・ジャロウの、1981年発売の6枚目のアルバム。前作同様、ジェイ・グレイドンのプロデュース力と彼の唯一無二のミラクル・ヴォイスが融合した大傑作。大ヒット・シングル「奏でる愛」収録。- Amazon

▼ Al Jarreau
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*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「Breakin' Away (album)」を素材として二次利用しています。


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名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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