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2020-05

The Alan Parsons Project 「Ammonia Avenue」

The Alan Parsons Project 「Ammonia Avenue」■ アルバムデータ
タイトル:Ammonia Avenue
アーティスト:The Alan Parsons Project
リリース:1983年12月
レーベル:Arista

アルバム総評価:89


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価  MV  
01  Prime Time  ★★★★★  youtube02
02  Let Me Go Home★★★★☆ 
03  One Good Reason★★★★☆ 
04  Since the Last Goodbye          ★★★★★youtube02
05  Don't Answer Me★★★★★youtube02
06  Dancing on a Highwire★★★★☆ 
07  You Don't Believe★★★★☆ 
08  Pipeline" (instrumental)★★★★☆ 
09  Ammonia Avenue★★★★★youtube02


■ 講評
今回紹介するアルバム「Ammonia Avenue」は、イギリスの音楽プロジェクトである The Alan Parsons Project が1983年に Arista からリリースした7thスタジオアルバムである。前作の6thアルバム「Eye in the Sky」からはほぼ1年半でのリリースとなる。レコーディングは、ロンドンにある Abbey Road Studios で行われた。

アルバムは全9曲構成で、すべてコアメンバーである Eric Woolfson と Alan Parsons による共作となっている。またオーケストラのアレンジ・指揮は、The Alan Parsons Project のアルバムのオーケストラアレンジを一手に引き受ける Andrew Powell が手掛けている。

またリードヴォーカルには、Eric Woolfson(#1,#3,#5,#9)の他、Lenny Zakatek(#2,#7)、Chris Rainbow(#4)、Colin Blunstone(#6)が参加している。

プロジェクトがリリースしたアルバムの中でもセールス的に成功した一枚であり、US Billboard Hot 200 第17位、UK Albums Chart 第24位、Canada Chart 第29位、Norway Chart 第5位を記録するなど、多くの国でチャート第1位を含む TOP 10 入りを果たし、RIAA(アメリカレコード協会:Recording Industry Association of America)からゴールドディスにも認定されている。

なお The Alan Parsons Project の詳細については、「Vulture Culture」の講評記事を参照していただきたい。

▼「Ammonia Avenue」LP盤ジャケット
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▼「Ammonia Avenue」LP盤ジャケット裏面
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▼「Ammonia Avenue」ライナーノーツ
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▼「Ammonia Avenue」LP盤盤面
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アルバムからは「Don't Answer Me」と「Prime Time」の2曲がシングルリリースされており、このうち Alan Parsons が、彼が信奉するアメリカの音楽プロデューサー Phil Spector の Wall of Sound と称されるサウンドメイキングの影響を受けて制作し、ミリオンセラーのスマッシュヒットを記録した1984年リリースのリードシングル「Don't Answer Me」は、US Billboard Hot 100 と Mainstream Rock Tracks charts でいずれも第15位、the Adult contemporary chart で第4位を記録するなど、多くの国において TOP 20 圏内にチャートインし、The Alan Parsons Project 最後の大きなヒットシングルとなった。また、プロジェクトとしてこの楽曲が Billboard Top 20 入りした最後のシングルとなるとともに、UK Singles Chart で記録した第58位は、本国イギリスの UK チャートで記録した最高順位となった。

「Don't Answer Me」は、従来芸術的でプログレッシヴなロックサウンドで知られた Alan Parsons の曲調とは大きく異なり、Phil Spector の音楽スタイルを意識して制作された特異な楽曲であり、リードヴォーカルを共作者である Eric Woolfson が務めるとともに、イギリスのロックバンド King Crimson のメンバーとしても知られるサクソフォーン奏者 Mel Collins が「心癒されるが堪らなくもの悲しい」と評されたソロ・サックスで参加している。

続いてリリースされた「Prime Time」も、US Billboard Hot 100 第34位、the Adult contemporary chart 第10位とヒットを記録した。

▼「Don't Answer Me」
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▼「Don't Answer Me」日本リリース盤
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▼「Prime Time」
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なお、アルバム収録曲である「You Don't Believe」も、1984年にシングルリリースされているが、この楽曲は「Ammonia Avenue」リリースに先立って1983年10月にリリースされたコンピレーションアルバム「The Best Of The Alan Parsons Project」に唯一新曲として収録された楽曲でもあるため、この「The Best Of The Alan Parsons Project」からのリリースシングルという位置付けとなっている。ちなみに「You Don't Believe」は、US Billboard Hot 100 第54位、Mainstream Rock chart 第12位を記録し「The Best Of The Alan Parsons Project」のヒット(Billboard 200 第53位、RIAA Gold Disc 認定)に貢献した。

▼「The Best Of The Alan Parsons Project」
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▼「You Don't Believe」
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当時既にMTVを通してミュージックビデオが有力な販促媒体となっていたこともあり、 The Alan Parsons Project も1984年に「Don't Answer Me」と「Prime Time」のミュージックビデオを制作している。

このうち「Don't Answer Me」のミュージックビデオは、アメリカのコミックブックアーティスト・作家である Michael William Kaluta によるアートとアニメーションを駆使したコミックブックスタイルの作品として高い評価を受けた。また「Prime Time」のミュージックビデオは、イギリス生まれの作家、脚本家である John Collier の「Evening Primrose」という作品に影響を受けて制作されている。

「Don't Answer Me」のミュージックビデオは、Michael William Kaluta がリードデザイナー兼アニメーターとして所属する the Broadcast Arts animation で制作され、セルアニメーション、ストップモーションアニメーション、クレイモーションなどの手法を組み合わせて40人構成のアニメーションチームが23日間、5万ドルを掛けて作成したものであり、ビデオは架空のコミックブックシリーズである1930年代のフロリダを舞台にした「The Adventures of Nick and Sugar」の中の一話として制作され、1985年 MTV Music Awards で第2位を獲得している。

▼「Ammonia Avenue」のジャケットを4分割した内の1枚
まさしく工業地帯にあるパイプラインである。
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アルバムの「Ammonia Avenue」というタイトルは、Eric Woolfson がイギリス北東部の都市 Billingham にある世界有数の化学企業グループ Imperial Chemical Industries (ICI) を訪れた時、最初に目にした無人で、緑もなく、ただ「Ammonia Avenu」(恐らくパイプラインにアンモニアが流れていたためと思われる。)と書かれた看板だけが掲げられた何マイルも続く数多くの無機質なパイプラインが横たわる光景に強いインスピレーションを受けて名付けたものとされている。なお、こうしたインスピレーションも手伝ってか、このアルバムのコンセプトは、大衆の大局観から生じうる産業科学の発展に対する誤解と科学的展望から生じる大衆の理解不足に焦点を当てたものとなっている。

こうした背景から「Ammonia Avenue」というタイトルを直訳すればまさに「アンモニア通り」とか「アンモニア臭が漂う路」とかいうことなのだろうが、非常に詩的で哲学的なシングルの歌詞から判断するに「Ammonia Avenue」には「産業科学が辿りつく輝かしい未来」とか「産業科学の発展から得られる恩恵」といった象徴的で肯定的な意味を持たせているようである。

ちなみに一見大型トラックの正面上部のマフラーように見えるアルバムジャケットも、プラントのパイプラインの写真を左右上下反転させて4枚組み合わせたデザインとなっている。このジャケットデザインは STd、フォトグラフは Fell/Hurworth と STd によるものである。

なお、このアルバムはアナログ機器で録音されデジタルマスターテープに直接ミキシングするという特殊な技法によって制作された3枚のレコード作品「Eye in the Sky」、「Ammonia Avenue」、「Vulture Culture」の2枚目の作品にあたる。

▼ Mel Collins(Saxophone in「Don't Answer Me」)
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以前 The Alan Parsons Project の「Vulture Culture」の講評記事でも紹介したが、6thアルバム「Ammonia Avenue」と7thアルバム「Vulture Culture」は、当初2枚組みのアルバムとしてリリースされる予定であったのを分割・独立してリリースすることになったものであるが、その後「Vulture Culture」にはよりハードなリアレンジが加えられたこともあって、「Vulture Culture」に比べると非常に落ち着いた印象のポップテイストなアルバムとなっている。

そんな中でも The Alan Parsons Project としては驚くほど明るめでポップテイストな曲調である「Don't Answer Me」と、哲学的な抒情詩を奏でるいかにも The Alan Parsons Project らしいアルバムタイトル曲の「Ammonia Avenue」は、いずれも The Alan Parsons Project の代表曲にして UK ロック史上に名を残す名曲でもある。特に「Don't Answer Me」は、今でもテレビ番組の BGM に盛んに使用されるほどのクラシックポップとなっている。また Chris Rainbow がリードヴォーカルを務めた「Since the Last Goodbye」も隠れた名曲と言えるだろう。

個人的にはこのブログで紹介した「Eye in the Sky」、「Ammonia Avenue」、「Vulture Culture」の3枚を The Alan Parsons Project のアルバムの中でも名作中の名作と思っている。この機に The Alan Parsons Project を聴いてみようと思われた方には、ぜひこの3枚合わせてお聴きいただき The Alan Parsons Project の独特な心象風景を感じていただければ幸いである。

▼ The Alan Parsons Project
Eric Woolfson(右) と Alan Parsons(左)
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■ アルバムリリースノート
アビー・ロード・スタジオを根城にするアラン・パーソンズ・プロジェクトがまたまたアルバムをリリース。あくまでも理知的な音楽を創ろうとするアランの姿勢は多くの聴衆に支持されており,今回も期待を裏切らない。- CDジャーナル

▼ The Alan Persons Project
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*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「Ammonia Avenue」を素材として二次利用しています。


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名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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