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2020-05

飯島真理 「Rose」

j0018■ アルバムデータ
タイトル:Rose
アーティスト:飯島真理
リリース:1983年9月21日
レーベル:ビクターエンタテインメント

アルバム総評価:95    
crown01《名音堂 Gold Disc 認定》


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  Blueberry Jam    ★★★★★  
02  まりン★★★★★
03  My Best Friend★★★★☆
04  Love Sick★★★★★
05  Secret Time★★★★★
06  きっと言える★★★★★
07  Shine Love★★★★☆
08  ガラスのこびん          ★★★★☆
09  ひまわり★★★★★
10  ひみつの扉★★★★★
11  おでこにKiss★★★★★


■ 講評
飯島真理(1963年5月18日生)は、日本の歌手・シンガーソングライター・ラジオ DJ・声優・女優である。茨城県土浦市生まれ、現在はアメリカロサンゼルス在住。

今回紹介するアルバム「Rose」は、1983年9月にリリースされた 飯島真理 の1stアルバムである。

ミュージシャン、サウンドクリエーターである 坂本龍一 がプロデュース、アレンジを行い、レコーディングには 後藤次利(bass)、林立夫(drums)、大村憲司(guitar)、清水靖晃(sax)ら現在も第一線で活躍中の豪華メンバーが参加している。

▼ 飯島真理と坂本龍一
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なお、豆知識的な情報であるが、1980年代のリリースアルバムのタイトルは、以下のとおり「色」をコンセプトにしていた。

・1stアルバム「Rose」 - フランス語で「ピンク」
・2ndアルバム「blanche」 - フランス語で「真っ白」
・3rdアルバム「Midori」 - 緑色
・4thアルバム「KIMONO STEREO」 - サブタイトルにGRAY(灰色)
・5thアルバム「Coquettish Blue」 - 青色
・6thアルバム「Miss Lemon」 - 黄色
・7thアルバム「My Heart in Red」 - 赤色

▼ 2nd Album「blanche」 (1984)
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▼ 3rd Album「Midori」 (1985)
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今の若い世代は、ミュージシャンとしての 飯島真理 を御存じであろうか。

飯島真理 は、1982年、国立音楽大学音楽学部ピアノ科在学中にデモテープが認められ、ビクターと契約しデビューしたという異色の経歴を持ったシンガーソングライターである。

よく誤解されがちであるが、この経歴からも分かるように、本人は決してアイドルや声優を目指していたわけではなく、音大生としてのキャリアを活かしたシンガーソングライター、ミュージシャンとしての活動を目指していた。しかし、本人の思いとは裏腹に、世間は 飯島真理 を声優アイドルとして認識することとなる。

その原因となったのが、歌手デビュー前に声優として起用された、SF テレビアニメ「超時空要塞マクロス」のアイドル歌手リン・ミンメイ役としての活動にあると言われている。

「超時空要塞マクロス」とは、それまでにないストーリー設定の斬新さと、美樹本晴彦 氏作画のキャラクターの魅力(トーンの使い方が極めて素晴らしく、トーンの付け方はその後のアニメ作画に多大なる影響を与えてたと言われている。)が相まって、「機動戦士ガンダム」と対極をなすアニメとしてオリジナル作画により映画化されるほど爆発的にヒットしたアニメである。

30年近く経った近年までマクロスはアニメシリーズが継続しており、アニメファンならずともその人気ぶりが窺えるであろう。そのファースト・マクロスにおいて絶大な人気を博したのが、主役級のキャラクターであった「リン・ミンメイ」である。

アニメ中、リン・ミンメイはアイドル歌手として登場し、声優 飯島真理 自身がリン・ミンメイとして数々の作中歌を歌ったこと、また、飯島真理 自身が非常にキュートなルックスであったことから、多くのファンが 飯島真理 に リン・ミンメイの姿を重ね合わせ、飯島真理=アイドルとしてのイメージがより強固なものとなった。

とりわけ、劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」でもミンメイ役を務め、主題歌「愛・おぼえていますか」をリリースしたことで、「アイドル 飯島真理」としての人気は決定的なものとなったのである。

シングル「愛・おぼえていますか」は、オリコン週間シングルランキング最高第7位を記録するヒットとなり、「ザ・ベストテン」などのテレビ歌番組にも数多く出演することになるとともに、歌手デビュー前にファンクラブが発足するなど、皮肉にも 飯島真理 は自分が予想だにしなかった、まさにアイドル的な人気を博したわけである。

▼ リン・ミンメイ from Macross
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▼ シングル「愛・おぼえていますか」
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そうした背景のもとでリリースされたのが、今回紹介する1stアルバム「Rose」であった。もちろん、作詞・作曲は全曲 飯島真理 本人によるものである。

プロデュースは 坂本龍一 によるが、当時 YMO として絶大なる人気を博していた異才の教授こと 坂本龍一 が若手新人の、しかも女性ミュージシャンのプロデュースをするということで、当時の日本の音楽シーンでも大変話題になったことを記憶している。

このアルバム全体を通して感じることは、何と言っても「ミュージシャン 飯島真理」の才能の豊かさであろう。20歳前後の作品であったことを考えれば、その驚きはなおさらである。

当時、アイドルのアルバムと思って購入したファンは、さぞかしリン・ミンメイとしてのイメージとアルバム収録曲とのギャップに驚いたことであろう。

各楽曲とも演奏時間が比較的短く、まるで短編詩のような感覚で聴くことができる、今聴いても実に斬新なアルバムとなっている。

歌詞については幼さは否めず特筆すべき点もないが、当時のポップスやニューミュージックとは明らかに異なるニューウェイヴなメロディーには、彼女の音大生としての優れた感性が感じられ、アイドルというイメージからは程遠い、非常にクリエイティブな印象を受ける楽曲群となっている。

それが、坂本龍一 らしいクラシカルで硬質なアレンジにより、大貫妙子 のアルバムカラーを思わせる非常に奥行きが深く浮遊感を持ったヨーロピアンな音に仕上がっており、アルバム全体のイメージを上質なものに高めているのである。

さらに、ジャケットの深いロゼ色のような彼女の透明感溢れる歌声が、アルバムのインパクトをより一層強烈なものにしている。

飯島真理 は、その後も80年代に続けて数枚のアルバムをリリースしているが、残念ながらそれらのアルバムからは、この「Rose」から受ける深く強烈な色彩のインパクトを感じることはできなかった。

アイドルとして認識されることが、結果的にその後の彼女の楽曲に何らかの影響を与えたのか、「Rose」における 坂本龍一 のアレンジが素晴らしすぎたのか、要因は様々であろうが、「Rose」は彼女のリリースしたアルバムの中でも間違いなく「異質」であり「別格」であったのだ。

結果論ではあるが、仮に「Rose」の持つ世界観を維持できていたならば、飯島真理 は現在とは違ったミュージシャンとしての在り様を見せることができたかもしれない。

「超時空要塞マクロス」においてリン・ミンメイを演じたことについて、その後もそのイメージでのみ語られることに 飯島真理 自身葛藤があったことは、ファンの間では広く知られている事実である。

マスコミにさえもアイドル声優と思われ、取材で「飯島さんて自分でも曲書かれていたんですか?」と言われることが多かったということであるから、当時の声優アイドルとしてのイメージは相当強いものであったことが推察される。

ただ、時間の経過とともにその事実と真摯に向き合い、リン・ミンメイのイメージも含めてミュージシャン 飯島真理 であるのだという境地に達し、彼女は現在もアメリカを拠点にして音楽活動を継続し、アルバムもリリースし続けている。また、マクロス関係の企画にも積極的に参加しているのである。

私自身もリン・ミンメイの声優として 飯島真理 を知った一人であり、アルバム「Rose」は、私が初めて購入した「アイドル」のLP(今では懐かしい響きである。)でもある。

その意味でも特に思い入れが深いアルバムであるが、結果として「超時空要塞マクロス」のリン・ミンメイがあったからこそ、ミュージシャン 飯島真理 を知ることができたわけであり、私自身はアイドルとして扱われた時代を含めて、彼女のミュージシャンとしての道のりを非常に肯定的に受け止めている一人である。皆さんの場合はどうであろうか。

なお、最近、2009年9月にリリースされた飯島真理21枚目のオリジナルアルバムとなる「Echo」を聴いてみた。クラシカルなアレンジをベースに全体としてはロックテイストなサウンドに仕上がっており、まだまだ頑張っているという彼女の底力が感じられるパワフルなアルバムとなっていた。

ただ、英語の歌詞による楽曲がほとんどであり、海外での暮らしが長いせいか日本語の楽曲については少し歌い方に英語の発音特有の「癖」が感じられ、ずいぶん歌い方が変わったという印象を受けた。この点において、現在の彼女の楽曲に対する評価は結構分かれるかもしれない。

機会があれば、ぜひ新しい 飯島真理 の境地を垣間見ることができる最近のアルバムも聴いていただきたい。

▼ 21th Album「Echo」(2009年)
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▼ 近年の飯島真理
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■ アルバムリリースノート
坂本龍一 のアレンジも素敵だが,真理ちゃんの歌詞とメロディーのコンビネーションがとてもうまい。子供の頃から外国のヒット曲を聴き込んでいない限り,こういう感覚は身につかない。歌唱力さえつけばすごい歌手になる。- CDジャーナル

▼ デビュー当時の飯島真理
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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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