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2020-05

羊毛とおはな 「月見草」

j0165■ アルバムデータ
タイトル:月見草
アーティスト:羊毛とおはな
リリース:2011年10月25日
レーベル:LD&K Records

アルバム総評価:93


■ 曲目リスト
  №  曲          名評      価
01  月見草  ★★★★★  
02  あなたが住む街へ★★★★☆
03  朝のプリズム★★★★☆
04  ミグラトリー★★★★★
05  間違いと涙の跡★★★★★
06  Diary★★★★★
07  大きな木と小さな鳥★★★★★
08  ふたり日記★★★★☆
09  どこにも行かないのに          ★★★★☆
10  折り紙の鳥たち★★★★★
11  積み木の家★★★★★


■ 講評
今回紹介するアルバム「月見草」は、日本のアコースティックデュオである羊毛とおはなが2011年10月25日に LD&K Records からリリースした8thオリジナルアルバムである。

オリジナル・フル・アルバムとしては5thアルバム「どっちにしようかな」以来、約2年ぶりの第二作目となる。

リード曲である「月見草」は、デビュー前の2005年に制作されたもので、「一度きりの表現」や「自然」がテーマになっている。

なお、前作までは歌詞の人称に「僕」を使用していたが、結局自分達に正直に向き合うことなく逃げでしかないと思ったため、本作では「わたし」と「あなた」しか使われていない。

今回、作曲は全曲をメンバーの市川和則が手掛けている。

プロデュースは、1983年にインストゥルメンタル主体のポップ・グループ「WORLD STANDARD」を結成し、近年ではハナレグミや中納良恵のプロデュースでも知られる鈴木惣一郎氏による。

また、CDジャケットのイラストは、アルバム「どっちにしようかな」に続いて京都在住の画家 junaida が手掛けており、今回は「夜明け前のイメージ」による作品となっている。

アルバムは、2011年11月2日付 Oricon 週間CDアルバムランキング第145位、Billboard JAPAN Top Albums チャート第100位を記録している。

(出典:「月見草 (アルバム)」(2013年7月13日 11:56 (UTC))『Wikipedia日本語版』)

▼「月見草」 junaida によるアートワーク
画像




羊毛とおはなは、富山出身の千葉はな(Vo.)と、静岡出身の市川和則(Gt.)により2004年に結成されたアコースティックデュオである。

今回は、前回紹介したアルバム「どっちにしようかな」に続いて、2015年4月8日に逝去された千葉はなへの追悼の意を込めて、羊毛とおはなの最後のオリジナル・フルアルバムとなった「月見草」を紹介させていただく。

なお、羊毛とおはなの詳細についてはアルバム「どっちにしようかな」の紹介記事を参照していただきたい。

▼ 羊毛とおはな
画像



今回のアルバム「月見草」は、羊毛とおはなのライブを観た鈴木惣一郎からの声かけにより実現した市川和則が尊敬する鈴木惣一郎のプロデュースワークということであり、ジャズ、フォーク、ワルツなどをごく自然に吸収したサウンド、童謡や絵本をイメージさせる歌の世界という千葉はなと市川和則の音楽的な志向を従来のアルバムよりストレートに描き出した作品となっている。

その意味で、今まで以上に羊毛とおはなのレンジの広がりを感じさせる楽曲がラインナップされている印象を受ける。

それまでそもそも二人の性格も好きな音楽も異なることから、アルバム制作過程でぶつかり合うことも多かったという千葉はなと市川和則であるが、鈴木惣一郎というプロデューサーが加わることで、そのままの自分を表現することに向き合い、お互いに遠慮することなく自分らしさを素直に表現できたアルバムになっている。

こうした鈴木惣一郎プロデュースによる音楽に向き合う姿勢の変化は、制作過程の変化という具体的な形で表れており、「一度きりの表現」や「自然さ」といったテーマのもと、このアルバムが楽器も基本的には一発録りで、ヴォーカルのレコーディングも後から部分的に録り直すことはまったくやっていないというあえてワンテイクにこだわったレコーディングが試みられている。

例えば収録曲の「朝のプリズム」などは、レコーディング前に録音した仮歌がそのまま採用されている。

さらに歌詞についても、それまで絵本を読んでいるような感じを出すために使用してきた「僕」という言葉に替えて、「わたし」と「あなた」しか使わないこととしたということであり、こうした自己表現の本質的な変化にも鈴木惣一郎のプロデュースの影響力の強さを見ることができよう。

▼ 羊毛とおはな
画像



「遠回しな物言いをせずにみずからの思いをできるだけストレートに楽曲のなかに反映させる。」

これこそがアルバム「月見草」の最も大きなテーマであり、羊毛とおはなにとっても今後のユニットの方向性を占うメルクマーク的なアルバムとなったのではないだろうか。

千葉はなの表情豊かなヴォーカルを生音のバンド・サウンドでナチュラルに彩るこれまでの方向性を踏襲しつつ、バンド・メンバーと共にアレンジを入念に練り上げ、納得いくまで歌入れに時間を費やしたという前作「どっちにしようかな」とはまったく異なるアプローチが取られており、こうして出来上がった素晴らしい楽曲群を聴く限り、鈴木惣一朗のプロデューサーとしての力量が極めて大きかったと思われる。

アルバムのキャッチコピーは「ただまっすぐに、伝えたいコトバがあります」である。

あるがままの音と言葉を飾り立てることなく表現したこのアルバムからは、羊毛とおはながこのアルバムの制作過程でたどり着いた音楽性の新機軸や新境地に対する自信が伝わってくる。

少なからずファンがこのアルバムにこれまでの羊毛とおはなとは違った新規性を感じるのは、そんなところに理由があるのかもしれない。

▼ 羊毛とおはな
画像



さて、アルバム「月見草」はサウンド的には前作「どっちにしようかな」に比べてよりジャズ風なアレンジが強まったアルバムと言う印象を受けるが、この辺りはジャズシンガーでもあった千葉はなの思いを反映したものであろうか。

そんな中でも市川和則作詞・作曲の「ミグラトリー」(=渡り鳥という意味)は、ミディアムテンポのやさしさが伝わってくるシンプルなバラッド曲であるが、千葉はなの生と死を思い起こさせる歌詞のフレーズが切なくてやり切れなくなる心打つ楽曲となっている。

また同じく市川和則作詞・作曲の「ふたり日記」も、千葉はなの悲しいくらい美しく透き通った歌声も切ないメロディアスなラブソングだ。

これらの楽曲を聴くにつけ、改めて千葉はなという表現者の素晴らしさを実感せざるを得ない。

アルバム「月見草」は、まさに羊毛とおはなの最高傑作といえる名盤である。

千葉はなさん、どうぞ安らかにお眠りください。

▼ 千葉はな
画像




■ アルバムリリースノート
羊毛とおはな、約2年ぶりとなる待望のフルオリジナルアルバム。 今回の作品は楽曲制作の段階から鈴木惣一郎氏をプロデューサーとして迎える事により、従来の作品が持つ魅力にさらなる新しい魅力が加わりました。 ただまっすぐに、伝えたいコトバがあります。- Amazon

ヴォーカル・千葉はな、ギター・市川和則によるアコースティック・デュオ「羊毛とおはな」の、約2年ぶり(2011年時)となるアルバム。- Amazon

▼ 羊毛とおはな
画像




■ Music Video「ふたり日記」




■ Sound Video「月見草」




■ Sound Video「ミグラトリー」




*これらの動画で使用されている音源は、動画をYoutubeにアップロードした LD&K が自ら制作したものであり、個人が収入(広告収入を含む)を得ずに運営するサイトへの貼り付けが許諾された音源です。

*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたWikipediaの項目「月見草 (アルバム)」を素材として二次利用しています。


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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