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2020-05

稲垣潤一 「246:3AM」

j0131■ アルバムデータ
タイトル:246:3AM
アーティスト:稲垣潤一
リリース:1982年7月21日
レーベル:EXPRESS

アルバム総評価:91


■ 曲目リスト
  №  曲          名評     価
01  ジンで朝まで  ★★★★★  
02  バハマ・エアポート          ★★★★★
03  海鳴りに誘われて★★★★★
04  蒼い追憶★★★★☆
05  月曜日にはバラを★★★★★
06  246:3AM★★★★★
07  雨のリグレット★★★★★
08  ハート悲しく★★★★☆
09  日暮山★★★☆☆


■ 講評
今回紹介するアルバム「246:3AM」は、稲垣潤一 が1982年7月21日に EXPRESS からリリースした1stオリジナルアルバムである。

「246:3AM」は、「にーよんろく:スリーエイエム」と読み、同日発売されたシングルと同タイトルとなっており、その語源は、青山通り・午前3時(国道246号の3:00AM)から来ているとのことである。

シングルリリース曲である「246:3AM」、「ジンで朝まで」(B面)、「雨のリグレット」、「日暮山」(B面)の4曲を始め計9曲を収録。そのうち「月曜日にはバラを」は、とんぼ (とんぼちゃん)のオリジナルアルバム「よろしくさよなら」(1982年発売)に収録された「スクリーン」を改題して新たに詩を付けたカヴァー曲であり、「ハート悲しく」は、1981年にリリースされた Marty Balin の「Hearts」のカヴァー曲である。

▼ 稲垣潤一
画像




稲垣潤一(1953年7月9日生)は、宮城県仙台市宮城野区出身の歌手、ミュージシャンである。

中学に入り本格的なバンド活動を始め、仙台にて「フェイセス」を結成。

その後、仙台のライブハウスや横須賀や立川の米軍キャンプ等で演奏を続けるうち、「スーパーポップボーカル」というキャッチコピーで1982年(昭和57年)に「雨のリグレット」でデビュー。以降、次々とヒットを飛ばす。

現在では自作曲もあるが、そのレパートリーは他の作詞・作曲家提供による楽曲がほとんどである。その後もシングルのタイトル曲は自作していない。

「思い出のビーチクラブ」(1987年のカナダドライ・ジンジャーエール CM ソング)、「セブンティ・カラーズ・ガール」(1989年初春のカネボウ化粧品 CM ソング)、「APRIL」(1986年三洋電機)などの CM ソングを多数歌っている。

デビュー当初は、東芝 EMI との契約だったが、後にファンハウス(現在のアリオラジャパン)に移籍し、ファンハウスを傘下にする前の BMG ビクター・BMG ジャパンを、さらにテイチク傘下のコンチネンタル・レーベルを経て、やはりテイチクエンタテインメント傘下のインペリアルレコードに所属。

2007年より、ユニバーサルミュージック・USM JAPAN レーベルに移籍。なお、BMG(air Records)時代のものを除き(2013年にソニー・ミュージックダイレクトから再発されている)、Imperial Records 時代までの楽曲の原盤権はフジパシフィック音楽出版が管理しており、2008年(平成20年)に USM JAPAN レーベルからファンハウス以前のアルバムが再発された際には、フジパシフィック音楽出版のライセンシーによりリリースされている。

(出典:「稲垣潤一」(2014年11月29日 00:24 UTC)『Wikipedia日本語版』)

▼ 稲垣潤一
画像




今でこそめったに披露されなくなったが、稲垣潤一はもともとドラマーであり、デビュー当時はドラムを叩きながら歌うという非常に珍しいスタイルをとっていたことでも注目を集めたミュージシャンである。

ドラムプレイヤーのため、基本的に作曲をすることはなく、現在もニューミュージック系のミュージシャンでありながらシンガー&プレイヤーとして他のコンポーザーの作品を歌うという珍しいスタイルを貫いている。

そうしたスタイルもあってか、今に比べて妙にプライドが高く排他的であった当時のニューミュージック・シーンにありながら、テレビの歌謡曲系歌番組にも積極的に出演したり、楽曲がテレビドラマの主題歌にも採用されるなど、精力的にテレビを通じた音楽活動を展開していたことも 稲垣潤一 ならではの特長と言えるだろう。

そんな 稲垣潤一 の魅力は、様々なコンポーザーが提供する楽曲を見事に「稲垣潤一」自身の作品に昇華してしまうその独特の歌声にある。

稲垣潤一 の歌唱力については、お世辞にも声量があるとかうまいとかは言い難く、癖のある声質もむしろ苦手と感じるリスナーが多いかもしれない。

たが、その無機質な声質ながら不思議と哀愁を帯びたハイトーンな歌声は、都会的でハイセンスな雰囲気のサウンドに実に良くマッチして、こうした無機質な透明感と憂いを含んだ大人感がクロスオーヴァーする独特のフィーリングが、稲垣潤一 の大きな魅力になっていると感じるのである。

そんな 稲垣潤一 の数あるアルバムの中でも特に完成度が高く別格な出来栄えなのが、デビューアルバムから3rdアルバムまでの3枚のアルバムだ。今回紹介する1stアルバム「246:3AM」、2ndアルバム「SHYLIGHTS」、そして3rdアルバム「J.I.」の3枚で「ベストアルバム」と「ベストバラッド集」が作れてしまうほど秀逸で贅沢な楽曲が収録されており、稲垣潤一のアルバムと言えばこの3枚を押すファンも少なくない。

ただ、決して4thアルバム以降の内容が悪いということではなく、この3枚のアルバムの出来栄えが良すぎるという意味であることは、御理解いただきたい。

今回は、その3枚のアルバムの中から、最もお気に入りのアルバムである1stアルバム「246:3AM」を紹介させていただく。

アルバム冒頭の「ジンで朝まで」から「バハマ・エアポート」、「海鳴りに誘われて」と続く前半の3曲は、アルバムの発売時期である7月を意識した非常にテンポ良いサマーブリーズを感じさせるポップナンバーであり、この3曲でしっかりとアルバムのアダルトコンテンポラリーなイメージを印象付けることに成功している。

1曲目の「ジンで朝まで」は、「NIAGARA TRIANGLE」シリーズでも知られる POP'N ROLL の旗手 杉真理 が作曲を手掛けた楽曲で、杉らしい軽快で大人なシティー・ポップスに仕上がっており、作詞は、当時既に人気作詞家であった 秋元康 が手掛けている。

2曲目の「バハマ・エアポート」は、「すみれ September Love」でも知られる 一風堂 のキーボード奏者であり、一風堂 解散後は作曲家・編曲家としても活動している 見岳章 が作曲を手掛けている。

見岳章 は、1980年代後半から作詞家 秋元康 とのコンビで 美空ひばり の「川の流れのように」や とんねるずの「雨の西麻布」など多数のヒット曲を世に送り出しており、このアルバムでは「蒼い追憶」も手掛けているが、特に「バハマ・エアポート」は、キーボード奏者である 見岳章 らしい巧みなコード進行により、非常にドラマチックな楽曲に仕上がっており、これぞ JPOP 屈指のヒットメーカーが作った楽曲といったノリの良いキャッチーな作品となっている。

3曲目の「海鳴りに誘われて」は、オフコースの元メンバーである 松尾一彦 が作曲を手掛けている。松尾は他にも「246:3AM」、「雨のリグレット」、「日暮山」とアルバム中4曲を作曲しており、4thアルバム「Personally」まで 稲垣潤一 のアルバム製作に深く関わっていた。

「海鳴りに誘われて」も、いかにも夏を感じさせる爽やかなポップチューンであり、間奏のストリングスも夏らしい演出へのこだわりが感じられてポイントが高い楽曲である。

▼「246:3AM」2ndシングル
画像



そしてこのアルバム中で最も稲垣潤一らしい楽曲と言えるのが、大人な哀愁漂う 松尾一彦 作曲の「雨のリグレット」である。

イントロと間奏のキーボードが奏でるメロディーが実に泣かせる、初期の 稲垣潤一 を代表する名曲であり、デビューシングル曲としてその後の 稲垣潤一 の音楽の方向性を決定付けた楽曲とも言えるだろう。

▼「雨のリグレット」1stシングル
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最後に、このアルバムを語る上で忘れてはならないのが、アルバム全9曲中7曲の編曲を手掛けている 井上鑑 の存在である。

井上鑑 は、1980年代在籍していた東芝 EMI の「ニューウェーブ4人衆」(稲垣潤一、安部恭弘、鈴木雄大、井上鑑)の一角として注目を浴びたキーボード奏者であり、作詞家、作曲家、編曲家などマルチに活躍している音楽家であるが、もともと1970年代後半から 大瀧詠一 のユニットに参加していたこともあって、このアルバムでも随所に 大瀧詠一 ライクなアレンジが見られる。

なにせ 大瀧詠一 とは「自称・師弟関係」というほどの繋がりがあったということであり、アルバム全体に流れるドラマティックでアーバンリゾートな空気感は、やはり 井上鑑 の編曲によるところが大きいと言えるだろう。

このアルバムのように、初期の 稲垣潤一 の楽曲には、ドラマティックな香りや独特の哀愁が感じられ、ダイナミックなサウンドと叙情的な歌詞がハートに響いてくる楽曲が多かったと感じる。また、アルバム自体もドラマティックなストーリー性を待ったものが多かった。

大げさに言えば、その頃の自分の姿を投影することができるほど印象深く、共鳴できた楽曲が多かったような気がする。

既に61歳となった 稲垣潤一 である。残念ながら現在ではそんな共鳴できる楽曲も影を潜め、カヴァーを含めてこなれた楽曲が多くなってしまったような気がしてならない。

歌謡曲テイストなヒット曲に恵まれたことで、徐々に音楽の方向性が変わってしまったことを時代の流れと言ってしまえばそれまでであるが、デビュー当時の 稲垣潤一 が持っていたまぶしいほどの透明感や胸に迫る斬新なサウンドが妙に懐かしいこの頃である。

▼ 稲垣潤一
画像



*この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表された Wikipedia の項目「稲垣潤一」「246:3AM (アルバム)」を素材として二次利用しています。


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Author:香山蔵之介
名古屋音楽堂本舗の店主香山蔵之介による音楽講評です。
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